先日、六本木の国立新美術館に行って参りました。
表題の「モダン・アート・アメリカン」と「二紀展」です。
まずは「モダン・アート・アメリカン」のご紹介をいたします。
アメリカのフィリップスコレクションから110点の作品が紹介されています。
「アメリカ美術の真の価値を知らしめたい」というフィリップス夫妻の情熱が築いた「夢」のコレクションです。
20世紀、ヨーロッパの前衛美術に触れたアメリカは第2次世界大戦後、抽象表現主義の登場によって国
際的なモダン・アートの潮流に大きな影響を与えました。
19世紀後半からアメリカン・モダニズムの時代を経て、ボロック、ロスコに代表される戦後のアメリカ絵画
隆盛期にいたるアメリカ美術の軌跡をたどります。
その中で感銘を受けた作品をご紹介いたします。
「パワー」 エドワード・ブルース 1933年作。
80年も前のアメリカ。もうこんな高層ビルがあったのですね。
アメリカのシンボルのニューヨークの高層ビルに降り注ぐ、太陽から発せられる光線は強いパワーを感じる
ことができます。これから益々巨大化するアメリカを強調していますね。
(ひとり言:私にもパワーを与えてくれー!!)
「1912年冬、6時の光景」 ジョン・スローン 1912年
1912年と言うと日本では明治時代末期。アメリカでは既に高架に電車が走っていたのですね。
慌しい、駅の様子が誠に細かく描写されています。
電車がホームに入るゆっくりとした電車の動き。
夕方の薄暗い空にほんのり光る駅の外灯、路面電車の明かり。
交差する行きかう人々の動き。
これから買い物をする貴婦人の朗らかな表情、シルクハットの男性とおめかしした女性、これから食事にでも
いくのでしょうか、何かお互いが話しているのがわかります。多分服装からしてブルジョア階級です。
その反対に駅に向う人は賃金労働者らしく仕事疲れなのでしょうか?無表情で歩いています。
階級の格差が絵になっていますね。
ホームには電車を待っている人たちでごった返しています。
しかし、こんな数本の鉄骨で作られた弱々しいホーム、あぶないですね。
人も転落しそうですね。
ジョン・スローンは当時の階級の差を絵にして訴えたかったのですね。
(ひとり言:高所恐怖症の私は絶対ホームへ上がれません!こわい・・・・。)
「大移動シリーズ №23;広がる移住」 ジェイコブ・ローレンス 制作年不明
昔、アメリカには多くのアフリカ系アメリカ人が南部の農村で暮らしていました。
生活は苦しく、危険にさられた生活を強いられていたのです。
彼らはより良い生活と自由を求めて北部の町へ移動したのです。
ごった返す電車。彼らは裕福な暮らしや自由を手に入れられたのでしょうか?
(ひとり言:故郷を捨てて移動する彼らの心境を考えると辛いものがありますね。)
美術って考えさせられますねえ。次回は二紀展をご紹介いたします。