虹の国へ-日々を楽しんだり嘆いたりしちゃったりして-

平成21年度3次隊青年海外協力隊として
南アフリカ共和国での活動記録

現地語授業で学力は上がるか

2011-04-27 18:58:54 | 南ア-学校-

以前にも書きましたが、
南アの旧黒人学校の授業は、
Gr.1~3は、現地語(私の任地では、SiSwati)
Gr.4~12は、英語で行うことが求められています。

旧白人学校では、
Gr.1~12までAfrikkansもしくは英語で行われているようです。

しかし、
現実として、旧黒人学校の授業は、
Gr.1~7は、現地語が90%以上。
Gr.8~12は、英語と現地語が半々といったところでしょうか。

つまり、政府からのお達しを守っていないわけです。

テスト問題は、英語で書かれています(現地語SiSwatiを除く)。

授業で学習する用語以外は、英語をほとんど使わないため、
テストで問題の意味を理解できない子がかなりいます。

英語に慣れていない
 ↓
テスト問題の意味が分からず、いい点がとれない
 ↓
テストの成績が悪いため、現地語で補足説明する
 ↓
ますます英語の問題を理解できない

実際、私が授業すると、生徒の英語力が低く、
理解につながらないケースが多々あります。
(私の英語力にも問題はありますが‥。)

また普段全く英語を話す必要がない、現地語で話す先生が、
英語もろくに話せないのに、
生徒に英語で授業できるわけないという論理も納得できるのではないでしょうか。

極端な例ですが、
日本で小学校4年生から授業はすべて英語で行うとなれば、
それはそれで大混乱になるのが想像できると思います。

そのため、学校現場で、先生たちは現地語で授業を行っています。

これは多人種国家で、国際化をめざす南ア政府と
田舎の学校現場との見解の相違のようなものです。

私としては、
「英語で授業を行ってくれないと
各々の先生の授業の意図が100%把握できない」
という思いと、
「英語で行うと子どもたちが理解できないので、
現地語授業がやむを得ない」
という現状にジレンマになりながら活動しているわけです。

では、半ば形骸化している、Gr.4からの英語での授業を、
すべて現地語授業に変えたらどうかと提案する、先生が相当数います。

そうすれば、黒人たちの成績は、飛躍的にあがると。

しかし、それは必ずしも正しくありません。

例えば、このテキスト。

現地語で問題が書かれています。
(字が読みづらくてごめんなさい。)

Gr.3の問題ですが、
問題自体は、それほど難しいものではないのに、
ほとんどの子どもが理解していません。

彼らが日常的に使用している、現地語なのに。

要は、算数の概念の理解度の問題であって、
言語の問題は、その次なわけです。

もちろんすべて現地語で行うことのメリットもあります。

しかし、もうすでに
事実上、ほぼ90%以上を現地語の授業を行っていて、
試験で点が取れないというのは、そこに理由がない証拠のように思います。

南アの先生たちの苦悩は分かりますが、
言語の影響は極めて低いように思います。
(もっと詳細な研究をすれば、解決策はあるのかもしれませんが。)

南アの先生たちの算数科の授業の課題は、
もっと別のところにあると思う、今日この頃でした。