今回は、赴任後1年半頃をめどに提出した、第4号報告書です。
いよいよ次回(第5号報告書)が最終版です。活動の経過としてご覧ください。
※長い文章ですので、時間があるときにお読みください。
≪要約≫
活動も2年目に入り、一年目には実行できなかったさまざまなイベントに取り掛かることとなった。現地の学校との対話を重視したため、実行まで時間を要することが多かったが、その分、彼らにとっても納得できる形で行うことができるので、より充実感を得られることが分かった。特に、今年6月に行った算数フェアの実施は、現地の教師からの要望で始まったもので、私がサポートする形態をとっているため、今後も継続的に実施される可能性が高い。また口コミで他の学校からもオファーが来ているので、今後の活動の基本路線として、計画実行していく所存である。
課題としては、現時点で、どうしても一部の学校に偏っている学校巡回の在り方をどのようにしてサーキット全体に広げられるかである。非巡回校のなかにも、街のスーパーなどで、よく訪問の打診を受ける学校がたくさんあるのが、それらをどうやってサポートしていくかが今後の悩みの種でもある。
≪活動の進捗状況≫
昨年に引き続き、地区内の小学校を巡回して、算数科担当教員の指導補助をしている。今年は、特に視覚化・具現化した教材作成の在り方を探っているが、時間的な問題もあり、一部の先生のみとしか議論できていないのが現状である。それは、どうしても一つの授業(単元)を作り上げるまでに、最低でも、3日から1週間程度の時間を要することに起因する。多くの学校より来てほしいとの要望があるにも関わらず、その期待に応えられないのは、誠に遺憾である。
そこで、教員向けワークショップを開催したいところだが、一部の教員から開催の要望があるにも関わらず、CIやサーキットオフィスからのバックアップがあまり期待できないため、予想以上に準備に時間がかかっている。次タームでの開催に向けて、学校巡回をしばらく停止して準備、実施する方が賢明であると考えている。
さらに、今年から一部の学校で低学年の指導補助を始めている。現地語での指導は困難ではあるが、要望が強く、学級担任制により時間割調整が容易で、継続的な指導が可能なため、今後も可能な限り協力していくつもりである。
≪課題解決に向けた取組み・進捗・結果≫
昨年来、日本の指導法を紹介することに加えて、教員同士が切磋琢磨できるよう模索してきた。その一つがワークショップであったが、前項でも述べたとおり、未だ実施に至っていない。
そこで、今タームでは、別のアプローチとして、算数フェアを計画、実施した。これは複数の学校の生徒および教師を一箇所に集めて、ペアになって同じ問題を解くことにより、お互いの持つ知識を共有するというイベントで、日本ではペアワークと呼ばれる指導法である。従来は子どものみがペアになることを想定しているが、教員にもペアになって問題を解いていただいた。第1回は、今年6月に行い、5名の教員に参加してもらい、子どもを介して、それぞれの指導法を学ぶ良い機会となった。またそれを他の学校教員にも紹介することで、今後、他校での開催を模索するつもりである。
また、一部の学校で、算数科の校内研修という新たな試みを考えている。低学年では、複数学級あるため、同学年、同内容を教える教員が校内に複数いる。そこで、それらの教員を私を媒介として結びつける試みを考えている。
≪活動事例の紹介 成功例・失敗例≫
教師を補佐する立場をとっているため、教師によっては、授業を見られたくないからか、授業直前に別の用事を思い出す人、私に全てを任せて失踪する人、また突然欠席する人がいる。もちろん多くはないが。そのため、当日学校に行くまで、活動できるかどうか分からない状況が続いた。また校長先生などの管理職がいるときといないときで、活動の質が変わってしまうことも少なくない。そこで、いくつかの学校を拠点校にして、担当教官を決めることにした。そうすることによって、事前の打ち合わせが円滑に行うことができ、一つ一つの参観授業の質が上がったように感じる。その一方で、要望の強い非巡回校の教師とは疎遠になってしまっている。
マレラネ地区の教員を観ると、授業への事前準備にかなりの差があるため、その結果として、指導力格差がはげしい。ある教師でうまくいった事を、他の教師に紹介しようと試みるが、彼らのレベルによっては、まったくもって対応できないことがしばしば起こる。あまりに難しいことを言ってしまうと、意気消沈する。かといってあまりに基本的なことを言うと、彼らのプライドを傷つけてしまう。一人一人にあった形でのアシストが必要になる。
≪受入国の人々の変化(活動のインパクト)≫
私が来て以来、劇的に変化したことは見られない。それは、私の活動形態が巡回型のため、一人ひとりの教師と関わる時間が長くないのも少なからず影響していると考えられる。しかし、まったく変化がなかったというわけではない。例えば、教師の子どもたちとの関わり方である。私が来るまで、現地の教師は、休み時間や授業中を含めて、生徒のことをよく見ていなかった。何日も同じ制服を着ていても、子どもたちが喧嘩していてもそれを気にかける教師はほとんどいなかった。私は、生徒との対話が成り立つことがいい授業をする前提と考えているため、生徒とのコミュニケーションを欠かさないように努力しているので、当初は戸惑っていた現地の教師たちが、子どもたちの微妙な変化に気を向け始めたことは、よい変化と感じる。
また、一部の教師ではあるが、授業でも、一方通行な指導形態から子どもとの対話を重視した指導法に少しずつ変わってきているように感じる。今後も現地教師とも対話を重視した授業を考えていく所存である。
≪その他特記事項≫
1)MASAジャーナル発行
今期(半年)もMASAジャーナルを2部(4号、5号)発行した。詳しくは別添資料をご覧ください。
2)共同通信への記事投稿
JICAを通じて、共同通信より依頼を受けた記事が、全国の9つの地方紙に掲載されました。
掲載されたのは、東奥日報、デーリー東北、山梨日々、岐阜新聞、福井新聞、高知新聞、西日本新聞、長崎新聞、沖縄タイムズです。
3)国際児童画コンクールへの応募
JAXAの主催する国際児童画コンクールへマレラネ事務所内の3校約30名が応募した。
以上
上記の報告書とは別に『活動状況表』なるものを提出しています。
興味がおありの方は、ご連絡ください。
いよいよ次回(第5号報告書)が最終版です。活動の経過としてご覧ください。
※長い文章ですので、時間があるときにお読みください。
≪要約≫
活動も2年目に入り、一年目には実行できなかったさまざまなイベントに取り掛かることとなった。現地の学校との対話を重視したため、実行まで時間を要することが多かったが、その分、彼らにとっても納得できる形で行うことができるので、より充実感を得られることが分かった。特に、今年6月に行った算数フェアの実施は、現地の教師からの要望で始まったもので、私がサポートする形態をとっているため、今後も継続的に実施される可能性が高い。また口コミで他の学校からもオファーが来ているので、今後の活動の基本路線として、計画実行していく所存である。
課題としては、現時点で、どうしても一部の学校に偏っている学校巡回の在り方をどのようにしてサーキット全体に広げられるかである。非巡回校のなかにも、街のスーパーなどで、よく訪問の打診を受ける学校がたくさんあるのが、それらをどうやってサポートしていくかが今後の悩みの種でもある。
≪活動の進捗状況≫
昨年に引き続き、地区内の小学校を巡回して、算数科担当教員の指導補助をしている。今年は、特に視覚化・具現化した教材作成の在り方を探っているが、時間的な問題もあり、一部の先生のみとしか議論できていないのが現状である。それは、どうしても一つの授業(単元)を作り上げるまでに、最低でも、3日から1週間程度の時間を要することに起因する。多くの学校より来てほしいとの要望があるにも関わらず、その期待に応えられないのは、誠に遺憾である。
そこで、教員向けワークショップを開催したいところだが、一部の教員から開催の要望があるにも関わらず、CIやサーキットオフィスからのバックアップがあまり期待できないため、予想以上に準備に時間がかかっている。次タームでの開催に向けて、学校巡回をしばらく停止して準備、実施する方が賢明であると考えている。
さらに、今年から一部の学校で低学年の指導補助を始めている。現地語での指導は困難ではあるが、要望が強く、学級担任制により時間割調整が容易で、継続的な指導が可能なため、今後も可能な限り協力していくつもりである。
≪課題解決に向けた取組み・進捗・結果≫
昨年来、日本の指導法を紹介することに加えて、教員同士が切磋琢磨できるよう模索してきた。その一つがワークショップであったが、前項でも述べたとおり、未だ実施に至っていない。
そこで、今タームでは、別のアプローチとして、算数フェアを計画、実施した。これは複数の学校の生徒および教師を一箇所に集めて、ペアになって同じ問題を解くことにより、お互いの持つ知識を共有するというイベントで、日本ではペアワークと呼ばれる指導法である。従来は子どものみがペアになることを想定しているが、教員にもペアになって問題を解いていただいた。第1回は、今年6月に行い、5名の教員に参加してもらい、子どもを介して、それぞれの指導法を学ぶ良い機会となった。またそれを他の学校教員にも紹介することで、今後、他校での開催を模索するつもりである。
また、一部の学校で、算数科の校内研修という新たな試みを考えている。低学年では、複数学級あるため、同学年、同内容を教える教員が校内に複数いる。そこで、それらの教員を私を媒介として結びつける試みを考えている。
≪活動事例の紹介 成功例・失敗例≫
教師を補佐する立場をとっているため、教師によっては、授業を見られたくないからか、授業直前に別の用事を思い出す人、私に全てを任せて失踪する人、また突然欠席する人がいる。もちろん多くはないが。そのため、当日学校に行くまで、活動できるかどうか分からない状況が続いた。また校長先生などの管理職がいるときといないときで、活動の質が変わってしまうことも少なくない。そこで、いくつかの学校を拠点校にして、担当教官を決めることにした。そうすることによって、事前の打ち合わせが円滑に行うことができ、一つ一つの参観授業の質が上がったように感じる。その一方で、要望の強い非巡回校の教師とは疎遠になってしまっている。
マレラネ地区の教員を観ると、授業への事前準備にかなりの差があるため、その結果として、指導力格差がはげしい。ある教師でうまくいった事を、他の教師に紹介しようと試みるが、彼らのレベルによっては、まったくもって対応できないことがしばしば起こる。あまりに難しいことを言ってしまうと、意気消沈する。かといってあまりに基本的なことを言うと、彼らのプライドを傷つけてしまう。一人一人にあった形でのアシストが必要になる。
≪受入国の人々の変化(活動のインパクト)≫
私が来て以来、劇的に変化したことは見られない。それは、私の活動形態が巡回型のため、一人ひとりの教師と関わる時間が長くないのも少なからず影響していると考えられる。しかし、まったく変化がなかったというわけではない。例えば、教師の子どもたちとの関わり方である。私が来るまで、現地の教師は、休み時間や授業中を含めて、生徒のことをよく見ていなかった。何日も同じ制服を着ていても、子どもたちが喧嘩していてもそれを気にかける教師はほとんどいなかった。私は、生徒との対話が成り立つことがいい授業をする前提と考えているため、生徒とのコミュニケーションを欠かさないように努力しているので、当初は戸惑っていた現地の教師たちが、子どもたちの微妙な変化に気を向け始めたことは、よい変化と感じる。
また、一部の教師ではあるが、授業でも、一方通行な指導形態から子どもとの対話を重視した指導法に少しずつ変わってきているように感じる。今後も現地教師とも対話を重視した授業を考えていく所存である。
≪その他特記事項≫
1)MASAジャーナル発行
今期(半年)もMASAジャーナルを2部(4号、5号)発行した。詳しくは別添資料をご覧ください。
2)共同通信への記事投稿
JICAを通じて、共同通信より依頼を受けた記事が、全国の9つの地方紙に掲載されました。
掲載されたのは、東奥日報、デーリー東北、山梨日々、岐阜新聞、福井新聞、高知新聞、西日本新聞、長崎新聞、沖縄タイムズです。
3)国際児童画コンクールへの応募
JAXAの主催する国際児童画コンクールへマレラネ事務所内の3校約30名が応募した。
以上
上記の報告書とは別に『活動状況表』なるものを提出しています。
興味がおありの方は、ご連絡ください。