うんたま森のキジムナー

マスター

新人スタッフ、タッツン、サワちゃん、2人とも、
毎日、海へ行くのが楽しそうだ。
初めのうちは、誰もがそう・・・ 
1~2年もすれば変わっていくということを
よく知っている。いつまでも最初の気持ちを忘れて
ほしくないものだ。

「お客さんの安全を守って、思いやりを持って
接してあげてくれ、そして自分もお客さんと一緒に
なって楽しんで潜るように」とお願いした。
「一人で見えられるお客さんが多いので、船の行き帰り
など出来るだけ、様子を見て話かけてあげて」とも
言った。

最初は気持ちいいねぇ~ 「ハイッ!」という返事が
返ってくる。少し暇になって、男のお客さんが一人だけ、
仕事に慣れるまでお客さんが少ないほうがいいが、
出航するとさっそく冷たいお茶を入れて、
「コンニチワ、サワでぇ~す」
タッツンも、「どちらから見えられたんですか?」と、
確かに言われた通りにお客さんに声をかける。水着姿の
若い女性に「いらっしゃいませぇ~」と声をかけられて
いるようなもので、男なら誰しも悪い気はしないだろう。

一人で見えられるお客さんの中には不安がいっぱいで、
気持ちが高ぶっている人もいる、出来るだけ話しかけて、
お客さんの様子を知る。それで少しでも事故を未然に
防ぐことが出来る。本来の目的はそういう意味が
あるのだが。最近では私のことを船長と呼ばずに
「マスター」と呼ぶ人さえ現れた。


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