沖縄では、たいてい梅雨明けと同時に夏至南風(カーチバイ)が吹き出す。
これは南シナ海から吹いてくる10m〜15mの南西季節風である。
片雲は飛ぶように流れ、蒸し暑い日が続く。
この頃は台風の接近も少なく、風も安定しているので、
昔は北へ航海する帆船が、よくこの季節風を利用したという。
地上天気図では、太平洋高気圧の尾根がフィリピンまで達し、
梅雨前線はまだ本州南岸沿いに停滞している。
フィルムカメラが主流であった頃、沖縄の梅雨明けを狙って、
カメラマンが来ていた。青いペンキで色を塗ったような空、水平線の下の方から
湧き上がる真っ白な雲、ビーチの砂浜が白く見える。
沖縄らしい写真が撮れる数少ない日が梅雨明け時期だった。
気象台から梅雨明け宣言がされる頃から夏至を過ぎる数日まで。
沖縄のパンフレットや宣伝に使われる写真のほとんどがこの時期に撮られたものだった。
今は、デジタル技術が発達して、それほど天気にこだわらずに写真が
撮れるようになったそうだ。
昔はよくカメラマンを案内してビーチを駆け回った時代があった。
使わなくなったフィルムカメラを捨てられずに今でも持っている。
もう使うことはないとわかっていても捨てられない。