立山プロムナード・雄山
6月26日通常国会が閉会しました。この150日間について、国民として真剣に国会の在り方を見直したいと思います。
政府や内閣・行政各省に幾多の法令違反や不適正な行政処理がなされ問題になりました。
3月の19年度予算成立までは、森友・加計問題や「毎月勤労統計」の不正で追及していた野党も、参院選が近づき 政府が対決法案の提出を控え「安全運転」に徹したため、静かな会期末になりました。
予算委員会は2月に厚労省の統計担当者を参考人招致しましたが、与党側は参考人に質問をしませんでした。
国会として不正の原因の解明と再発防止の検討に努めたとは言い難く、与党も政府の不正を見逃しています。
言論の府である国会がこんなことでよいのでしょうか。
根本匠厚労相は「毎月勤労統計」の不正調査問題では、不正を調査した特別監査委員会の厚労省職員への聞き取りの3分の1は、同省の他の職員が担当し、監査委の報告書も同省職員が原案を作成したことが明らかになりました。
監査委メンバーは聞き取りに同席せず、第3者による検証がされない不正調査であり、調査報告書の中立性が揺らぎました。
厚労省が56基幹統計を点検したところ、半数近い22の証拠統計で計31件の不適切な処理案件が見つかりました。
統計不正があった基幹統計は、政策決定に影響がある総務相が指定した特別に重要な統計です。
見つかった統計不正は、統計法違反の可能性がある事案。財務省の調査項目を公表していなかった法人企画統計。調査対象を変更する際に、総務相への申請を怠っていた経済産業省の商業動態統計などです。
安倍政権はアベノミクス偽装のため国民の生活環境、労働政策、金融政策について、組織的な隠ぺい工作を続けてきたのです。
遡って、2015年以降、森友・加計問題ではどんな「政と官」の歪んだ関係があったのかを見て行きます。
安倍政権からは、森友・加計問題での殆どの疑念について正確な説明は全くありません。
不正の証拠が出てきても、組織的な隠ぺいを図っています。
不正が明らかになったり、証拠や証言があれば、本来ならば、政府自ら警察・検察の捜査により明確にできるはずです。
首相の妻昭惠氏付き政府職員谷査恵子氏が「森友学園側から優遇を受けられないか総理夫人に照会があり、当方から問い合わせた」との事実が財務省の交渉記録にあります。
首相の証言は「私や妻が学園の認可、国有地払い下げには一切かかわっていません。」です。
近畿財務局の交渉記録には、認可申請先の大阪府に対し「安倍晋三記念小学校」と説明している記載があります。
首相は「校名は私の名前でなく「開成小学校」で申請されていたのが事実であろう。」です。
宇治市からの構造改革特区提案に、加計学園が候補との記載がある。
首相は17年6月、加計学園の計画を知った時期について「(国家戦略特区の前の)構造改革特区で申請されたことは承知していた」と国会答弁。
翌7月に加計学園の特区への申請を知ったのは1月20日の特区諮問会議だと修正。
加計幸太郎氏は18年6月の記者会見で、首相と初めて獣医学部新設の話をしたのは17年1月以降かとの質問に「そういうことだと思う。」と答えている。
首相は、「腹心の友」と呼ぶ加計幸太郎氏とはゴルフや会食を繰り返しているが、17年から今年(Ⅰ8年5月)は加計氏とは話をしていないと否定している。
首相は森友・加計問題では真摯な答弁はなく、公文書隠蔽・改ざん問題では原因や経緯を説明していません。
権力集中の弊害が目立ちます。「力は一つに集中すると乱用されます」
第2次安倍政権発足以来6年半を振り返ると、見逃せないのは「忖度」という言葉に象徴される「政と官」の歪んだ関係です。
首相は、衆議院選挙で大勝すると野党の質問時間を削減する「数の力」を利用して、野党の主張や疑問に耳を貸さなくなりました。
内閣法制局長官には、解釈改憲に積極的な小松一郎氏を法律遵守の慣例を無視して選任する人事を行いました。
安倍政権になってから内閣人事局において官僚の人事権を行使することになって、官邸が行政を集中管理ができるようになりました。
森友・加計問題は正に、安倍政権への「政と官」の「忖度」が働いた結果です。
国有地売却で8億円の値引きと言う核心部分を解明せず、当時の理財局長らを処分して幕引きを図り、後にこの局長を国税庁長官に昇進させたのが麻生財務相です。
憲法は、41条、65条、76条で立法、行政、司法の三権分立を定めています。
安倍政権は、一強独裁政治を体現しています。
司法も犯罪である森友・加計問題には一切手出しをしません。
麻生太郎財務相が老後の生活費が2千万円不足するとした金融庁審議会報告書の受け取りを拒むという奇策で、国会の議論封じを図りました。
民間有識者に諮問した事項について、調査内容が気に入らないとしてその調査書類を受け取らない財務相の暴挙は許されません。
麻生氏は先の国会でも両院から問責決議案を受けています。
前財務事務次官による女性記者に対するセクハラ問題で、麻生氏は「セクハラ罪と言う罪はない。」などと開き直りました。
地元福岡県では少子高齢化に関し「子供を生まなかった方が問題なんだから」と言い放ちました。
この様な首相にもなったことがある麻生氏を、続投させている安倍総理の任命責任は重いと思います。
安倍首相は、公的年金制度が将来も維持できると「百年安心」と言っています。
マクロ経済スライドによって100年安心の制度が出来た。給付と負担のバランスを調整できるとしています。
マクロ経済スライドは財源の範囲内で給付水準を自動的に抑えることから、高齢者には痛みが出ます。
年金財政の健全性は3年に1回、今年6月に生活基礎調査し、漸く7月2日になって労働省調査が出ました。
高齢者世帯で生活が「苦るしい」と答えた割合は55.1%にあがり、全世帯でも57.7%1.9ポイント増えました。
厚労省は年金不安が高まる中で「働く高齢者が増える一方、依然として公的年金で暮らす人が多い」と認めました。
5年に一度の年金財政検証の公表は、厳しい状況で選挙後に先送りです。
国の予算は100兆円を超え、社会保障制度の充実として、保育の無償化、介護人材の処遇改善、介護保険の負担策等、出費は膨らむばかりです。
安倍首相は、成果のない参院選には憲法改正を公約にしており、三分の二の議席を獲得する勢いです。
自民党政権を支える与党の国会議員は国民に代わって政権の不行跡を質問し、国政を調査、監視することがなくなりました。
この様に与党過半数の国会が国政に機能しなくなった現在、国会の民主主義も機能しなくなって行きます。
国会は最早、看過できる状況ではなくなりました。
少数野党には期待できない現実を持って、国民は参院選にどの様に臨むのでしょうか。
蘇生