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5年目となる「官製」3%以上の賃上げ目標、黒田総裁就任5年を超える異次元緩和の日銀政策、2%上昇を物価目標とするアベノミクス経済、どれもこれほどの無謀な財政拡大への依存をしていいとは思えません。
政府は、ノーベル経済賞受賞の米プリンストン大学のクリストファー・シムス教授の理論に従っているのです。
シムズ理論は「金融政策は同じ処方を続けたのでは効かなくなる。景気を押し上げる必要があるときに政府が借金をして財政出動をする。これからは増税してすぐに回収することはないと国民に思わせる。」のです。
政府の財政再建策には増税や歳出削減が必要ですが、安倍政権は選挙を意識してこれを避けているのです
アベノミクス実施から5年、各種経済指標は良好です。
名目国内総生産(GDP)は40兆円以上増加し、求人倍率は26年ぶりの高水準です。
株価はアベノミクスの始まる前の2倍を超えています。外国人観光客は急増し、ホテルが急増しています。
この長期的好景気が続いているのに経済は浮揚しているとは言えません。
マネタリーベースを2年で2倍に増やし、超金融緩和政策で100兆円に及ぶ財政投資を行いました。
日銀のゼロ金利政策はもう20年近く続いています。
量的緩和政策でお金は市中にだぶだぶに流れ、家計に保有する金融資産はこの間に1.5倍の1800兆円に膨らんでいます。
その資産の半分は消費されず、現金か銀行預金で貯蓄されています。
株価の上昇・景気拡大は1%の富裕層を作るだけです。
2000年以降は、経済はゼロ成長で人口減少・高齢化社会が進んでいます。
お金は、一部は国債や投機的金融市場に向かい、国の財政は赤字であるのに国債価格は維持されており、株式市場はバブル的様相を示しています。
金融緩和政策による持続的な成長があっても、企業の構造的変化が出て来て、投資には多く結びついていません。
長期停滞と呼ばれる先進国の趨勢的な成長率の低下と、21世紀のAIによるオフィスの自動化です。
近い将来には労働人口の半分の職業が、技術的にはAIに置き換えられます。
世界では企業の総務、経理、人事などのホワイトカラーは消えてゆくと見られています。
日本には、そこに「人口減少と超高齢化」の波が加わる大問題があります。
20年後、税収が頭打ちになり、財政が悪化すると、財政破たんが現実味を帯びて来ます。
「国の財政政策が危機」に陥ると何が起きるでしょう。
政府資金が流出し、円安加速で超インフレ。金利が上がり、利払いが膨らんで財政破綻します。
終戦直後の日本では、国の債務のGDP比率は250%を超えたため、国が財政破綻しました。
預金や不動産などに最高税率90%の空前の「財産税」を貧しい人にも例外なく対象として収奪を断行しました。
徴収した財産税は一般会計予算に匹敵する規模に達し、その財産税を原資にて、国債を償還しました。
その際、政府は国民が預金を引き出せないように「財産税」に先行して「預金封鎖」を実施したのです。
国家は、いざとなれば「課税」という合法的な手段で国民から資産を収奪するのです。
国と地方の長期債務残高は、平成29年には1108兆円となりGDPに対する割合は196%となって、終戦直後の250%に迫っています。
債務残高の殆どは、国債ですが、これを国民が負担すると一人当たり874万円になります。
現在では世界最低の債務国になっています。
私は年金受給者で住んでいる土地は有りますが、株はやっていません。
国が破綻したとき土地は国に取られて住む所が無くなります。
終戦直後の「財産税の悪夢」の二の舞はご免です。
アベノミクスの実施から5年で戦後2番目の長期好景気が続いて、社会の成熟があり我々の生活が真の意味で十分ではありませんが快適に暮らせるようになりました。
地球の全人口の1%に満たない100億ドルの富裕層を作るための経済活動を今後も続けていく必要はありません。
日本で言えば、2014年に年収1億円以上の収入があった人は1万7348人、全就業者の0.027%いました。
そして、同じ年に非正規社員やパートタイマーの増加で年収300万円以下の人口は4割に達し、格差社会を生みました。
金融緩和政策によって消費を喚起するのは難しいことがはっきりしました。
今国民が求めているのは、公共的で格差のない社会です。モノが溢れる物質的な豊かさではありません。
経済膨張主義や超赤字国債はもはや限界だと思われてなりません。
蘇生