蒲郡市ラグーナテンボス
日米安保条約は1月19日で署名から60年が経過しました。
日本は終戦後、現行憲法で恒久平和の念願し、軍国主義とファシズムを打倒して9条に「戦争と武力の行使を永久に放棄する」と策定しました。
戦争は明治憲法が規定する神聖不可侵の天皇制に一因があるとの反省から、日本側の憲法改正草案にあった「天皇は国民統合の象徴」とされ、GHQ側も天皇制を温存したのです。
新憲法下で1951年に日米間で結ばれたサンフランシスコ講和条約は、9年後に米国の日本防衛義務などを明記する全面改訂が行われました。
この日米安全保障条約には、学生たちが戦争に駆り出されるのではないかという危機感から「60年安保闘争」が、日本全国に燃え広がりました。
条約改定成立前の6月15日には法案に反対する全学連が国会に突入して、警察隊との衝突で東大生樺美智子さんが亡くなりました。
当時、私も戦争反対で労働組合の「安保反対行動」や反対署名に参加していました。
日米間安保反対署名から60年を迎えました。
日本はこの間、米国の求めに応じて自衛隊の役割を拡大し、自民党政治を引き継ぐ安倍総理は自衛隊と米軍の一体化や米国製武器の購入を推進しています。
18年5月に米国のトランプ大統領核合意離脱を表明しました。
昨年7月にはイランが核合意の上限を超えるウラン濃縮の再開をは表明しました。
これに対し、合意の維持や自制を求めていた欧州連合(EU)は、イランのロウハニ大統領に非難が相次ぎました。
フランスのマクロン大統領はウラン濃縮度引上げは核合意をさらに弱体化させるとしてイランに懸念を伝えました。
イスラエルはイランは安全保障を脅かす「仮想敵国」だとして、国連安全保障理事会にイラン制裁を求めました。
日本はイランと交易があり、その後、ホルムズ海峡付近でタンカー2隻が運航中でしたが、攻撃を受けました。
米軍の無人偵察機は中東を飛行中にイランの「革命偵察隊」に撃墜されました。
ロシアはイランの核濃縮再開はアメリカに責任があるとしています。
イスラエルはイラン核合意に反対し、核合意離脱に反対を表明したトランプ政権を支持ています。
艦船2隻を派遣して自国タンカーを護衛しているインドは中国に次いで大きなイラン産原油輸出先であり、政治関係があるイランとは対決姿勢は取っていません。
しばらく静かであった中東で、トランプ大統領は突飛な行動に出ます。
イランのソレイマニ革命防衛司令官の殺害命令です。
昨年暮れに米軍が駐留するイラク北部キルクークの基地が攻撃され、米国人が死亡したことがあって、数日後にバグダッドの米大使館がデモ隊により襲撃を受けたテレビニュースを見てトランプ大統領は殺害計画を承認したのです。
ソレイマニ氏はシリアからバグダッドの国際空港に到着して、車で移動中にドローンのミサイル攻撃により殺害されました。
米軍による詳細な監視と追跡がなされていたのです。
殺害を知ったイランの外交・国防を統括する最高安全保障委員会が緊急会議を開き「反撃方法の決定に達した」とする声明を出しました。
殺害の現場はイラクのの首都の空港で、イラクは主権を踏みにじられ反発しています。
イラク議会は米軍を含む駐留部隊の撤退要求を決議しました。
中東からの撤退すると言っているのはトランプ大統領です。
大統領のイランに対する強気姿勢は再選の掛かる大統領選に有利との計算があり、イランは核開発が最終段階に入ったと強硬派を勢い付けました。
イラク国会は米軍などの駐留部隊を撤収するよう政府に求めました。
一つ間違えれば世界的な戦争状態に発展。
日本政府は、中東での日本船舶がイランに攻撃を受け被害を受ける事態に対応するため海上自衛隊派遣を閣議決定しました。
この中東派遣は一年間と限定していますが、国民の批判の歯止めに過ぎず、海外活動が将来無限大に拡大することは確実です。
今回の派遣は防衛省設置法の「調査・研究」名目であるとして閣議決定しました。
本来外国への派遣は国会における特別措置法の制定によりすべきです。
外国への派遣活動をなし崩しに拡大する危険があります。
次は米中関係です。
関税合戦を繰り返してきた米中は貿易協議で部分合意にこぎ着けました。
中国は最先端技術の振興を国を挙げて進めており、米国は中国の人工知能(AI)や第5世代(5G)移動通信システムが米国の安全保障に関わり、覇権の行方に関わる「新冷戦」に入っています。
中国は『AIや5G』が日本にナンバー2の力があって、米国を脅しているとして警戒しています。
日本は、中国とは摩擦をできるだけ減らし、安定した関係を築くことが必要です。
エネルギー供給の大動脈ホルムズ海峡などで民間船舶を守る米国主導の「有志連合」に対し、関係国は慎重な対応が目立ちます。
ホルムズ海峡はイラン、オーマン間の海峡でペルシャ湾とオーマン湾間を結ぶ世界の原油の2割が通過します。
このうち8割は日中韓やインドなどアジア向けであり、米国政府は「有志連合」に説明会を開き、次の通り日韓や英仏独を名指しで説明会への参加を呼びかけました。
説明会への参加呼びかけは、対イランの軍事連合作りでなく、海賊の監視機能向上が目標でした。
英国は、米主導の「有志連合」とはEU離脱が絡んで一線を画し特別な関係にありますが、ホルムズ海峡を巡っては欧州主導の船舶保護体制を目指す方針を採っています。
以上のとおり米国トランプ大統領が米国主導の国際秩序を否定する挙に出ているのでは、イランとの交易を続ける日本の針路は難しくなりました。
中国の習主席の日本来訪が内定し、日中関係の構築を実りあるものにしなければなりません。
日本は国会の議決を得ずに中東への自衛隊派遣を決めました。
米国が求める「有志連合」に自衛隊は参加しないものの、戦闘に巻き込まれる危険性は増大しています。
ここで令和2年の日米安全保障条約を現状を見ます。
条約では戦争放棄と戦力不保持の憲法9条の制約が前提です。
自衛隊は「盾」として専務防衛に徹し、「矛」としての米軍が打撃力を受け持つ関係にあります。
日本は米軍への施設提供義務、米国は日本防衛義務をそれぞれ負っています。
日本は条約では義務のない米軍人件費や、光熱水費を「思いやり予算」として負担し続け戦闘機やミサイルの高価な装備も増強しています。
憲法上許されない装備を増強し海外派遣のため、事実上空母化した戦艦、長距離巡航ミサイルを導入しています。
米国の高額な駐留経費等の負担や自衛隊装備は、国力に会った「必要最低限度」の軍事力はどうあるべきか真剣に検討する時期に来ました。
来年度予算で宇宙作戦隊やサイバー空間など新領域の強化、電子戦隊、地上配備型迎撃システムイージス・アショア、最新鋭ステレス戦闘機F35を27機を含む米国製の防衛装備品の調達などに5兆3千億円を予算計上しています。
ステンレス戦闘機F5はじめ巨額の米国製兵器の購入をトランプ氏にアッピールする安倍首相は、米軍の駐留経費も大幅に増額させられています。
米軍関係の事件・事故が沖縄では後を絶たない中、法的地位や基地の運用を定める日米地位協定の抜本改正が実現しません。
陸上自衛隊の新屋演習場が地上配備型迎撃システムの配置候補地に浮上した地元秋田県が配備に反対しています。
自衛隊は世界の警察官としての米国の力が弱くなり、米国にすべてを頼ることは出来ず日本の独自防衛構想の練り直しに迫られています。
中国以外の近隣諸国との関係を見ます。
ロシアのメドベージェフ首相が北方領土の択捉島を訪れ「ここは我々の土地だ」とロシアの実効支配を強調しました。これに対して河野外相は「国民感情を傷つけるもので、極めて遺憾だ」と抗議しました。
安倍首相がプーチン大統領と会談を重ねてきた経緯から、解決には日本が経済協力で歩み寄り、4島返還から2島返還に方針を転換することで平和条約締結を提案しましたがロシアから回答はありません。
韓国については昨年の11月23日に日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄通告の効力を停止すると発表しました。
前日の22日午前0時の期限の直前、協定の破棄は回避されました。
WTOの紛争解決手続きを中断することを表明しました。
日本はこの決定を評価し、輸出規制の見直しを視野に日中韓間協議に入る見通しです。
北朝鮮とは日本拉致問題も解決の見通しがない。安倍首相は条件を付けずに金正恩委員長との会談を目指す方針を伝えましたが、一蹴されたままです。
昨年7月には日本を射程に入れる弾道ミサイルを日本海域に打ち上げました。
東アジアの安全保障環境は、中国の軍事力増強や北朝鮮による核・ミサイル開発など厳しい状況にありました。
令和に入った世界状況は、5月以降の6か月間を見れば明らかなように、イラン、イラク、シリア、レバノン、トルコ等の中東において民兵組織戦闘、空港爆撃、司令官殺害等の小競り合いが幾多繰り返されています。
安倍政権が描く日本の姿は専務防衛の平和憲法でなく、自衛隊の行動ついて集団的自衛権確保して海外への派遣を先行実施しています。
自衛隊を戦力としての実績を作った上で、憲法を改正を目指しています。
今回の自衛隊派遣はその一環で、オマーン湾とアラビア海北部、アデン湾の公海上と限定して実施しするようです。
先に7月にはホルムズ海峡においてイギリスタンカーがイランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」に拿捕されました。
政府は「ホルムズ海峡はイランとオーマンの領海であり、我が国が活動することはない」と説明しています。
昨年6月に石油をペルシャ湾を経由して我が国のタンカーが輸送するとき攻撃を受けたことがありました。
今年の海上自衛隊の艦艇の中東派遣は、ホルズム海峡を除外しています。
このブログを書き終え投稿し終えようとした矢先、イギリスがEU離脱しました。
欧州や関係各国は、移行期間の11カ月以内に自動車生産台数など貿易協定の交渉が待っています。
英国は、EUがこれまでに米国や日本と結んだ貿易協定からも外れます。
戦乱に疲れた欧州市民が夢見た「優しさに満ちた時代」であった欧州28か国の統合が、英国の離脱によってEUは「仲良し社会」から、また「競争社会」に戻ったのです。
日本は世界貿易機関(WTO)加盟し、「国際ルールに基づいた透明な市場競争」などによって民主化が期待できるはずでした。
経済発展の援助を受け「世界の工場」をせっせと利用して低コストの恩恵をむさぼり「世界の市場」の購買力に耽溺するうちに、人権状況を批判しなくなりました。
その結果、独裁体制と強大な経済力が併存する大国中国が出現しました。
中国は、国家主導の産業政策、外国企業からの技術移転の強制や知的財産の登用などで経済成長をカバーしました。
米中貿易戦争の狙いはその流れを歯止めすることです。
共産主義国は、批判者を拘束し、言論の自由を封じ、テクノロジーを駆使して国民を駆使して国民を監視化して置くシステムを作っています。
中国はウイグル族を収容所に送って「再教育」をしています。
アジアの民主主義国は、米大統領が人種や宗教による差別的言動を繰り返し、自らの米の批判者には「フェイク」呼ばわりしてメディアを攻撃します。
米大統領は自国主義に耽り、経済力と軍事力を誇示して、多国間の協調やルールを傷つけます。
英国のEU離脱で、欧州では台頭するポピュリズム・極右勢力の主張が目立ちます。 (中日新聞社説より)
相対的に衰退する米国と、浮上する中国の自信から、かみ合わない領域が出来て来ました。米中対立を生まないよう東シナ海と南シナ海各国の連携が大切です。
中国がファーウェイや5Gシステムを世界に普及させることになると、米国の反発明らかです。
米中関係は世界システムの担い手として双方が円満に話し合いで技術の普遍化すべきです。
米中両国は1月15日に貿易交渉を巡る「第一段階の合意」で正式署名ができ、2年近くに及ぶ貿易戦争の休戦を宣言しました。
米国は2月に制裁関税の引き下げをします。 中国は19年の国内総生産が29年ぶりの低水準に減速しました。
この両国の経済状態での貿易交渉の妥結は両国関係に少し明かりが見えた感じがします。
イラクでのミサイルの誤射による旅客機追撃もあり、何が起きてもおかしくない中東へ日本が自衛隊派遣を調査・研究名目で強行派遣する安倍内閣は恐ろしい。
令和元年5月からの半年間の世界の武力衝突や紛争情勢を見て来ました。
日本に関係ありそうな国だけを取り上げましたが、アフリカ大陸や中南米諸国でも地球温暖化による異常気象が原因と思われる紛争や人口問題が発生しています。
昨年11月に幕張メッセで開かれた「DSEI JAPAN」見本市おいて主催者は開催インタビューで「近年の日本国憲法の一部改正に伴い、軍備拡大、自衛隊の海外派遣、日本の防衛産業のより積極的な海外展開が可能になった」として総合防衛展示会を開催しました。
憲法改正が進まない軍需産業界では、憲法改正は既定路線との認識だったのでしょう。
さらに続けたインタビューでは「日本の防衛予算は、記録的な増加を続け、遂に460億ドルに達しました。過去に前例のないレベルで防衛力強化を目指しています。」と述べています。
幕張メッセでは、これ以前の6月には第3回防衛装備技術国際会議があり、海底から宇宙までをカバーした防衛技術の開発、運用、取引のための見本市を開催していました。
安倍首相は昨年の自衛隊幹部が集まる「高級幹部会同」において、新防衛大綱は安全保障環境の変化の中にあって、従来の延長線上にない防衛力のあるべき姿を示しました。
その大綱の中には、宇宙・サイバー・電磁波という新たな領域利用が急速に拡大したとして、その変化に対応するため「多次元統合防衛力」を陸・海・空各自衛隊の領域での対応力強化を図るとしました。
従来の「専守防衛」から「集団的自衛権」に憲法に反する政策に変質させたのです。
21世紀の世界は故郷を超える問題に満ちています。気候変動、感染症、金融危機など、この時代は国を超えて政治の可能性を考えた欧州連合のように政治の可能性を探って行かないと世界市民は生きて行けません。
自国第一主義や移民・難民の排泄を言い募り、グローバルな問題をナショナルな対策で解消しない政治が期待されます。
蘇 生