海上自衛隊は23日、朝鮮半島に向かっている米海軍の原子力空母カール・ビンソン打撃軍艦隊と西太平洋上で共同巡航訓練を開始しました。
海上自衛隊からは、護衛艦「さみだれ」とイージス護衛艦「あしがら」の2隻が参加し、フィリピン沖で合流しました。
参加艦艇は東シナ海を北上しながら、同一指揮下で陣形を整える戦術運動訓練や、通信訓練などを行うことで「日米連携のプレゼンス」を誇示します。
この訓練は、朝鮮人民軍の創設85周年記念日の25日に予想した軍事的挑発を牽制する狙いがありました。
空母カール・ビンソンは今月8日シンガポールを出港し、当初予定したオーストラリアから朝鮮半島に進路を急に変更したもので、変更は北朝鮮の核開発、新型弾道ミサイル発射の挑発を警戒する中で行われました。
トランプ大統領と安倍首相は、北朝鮮に挑発行為の自制を求めて今月の6、9、24日の3回電話会議をしています。
北朝鮮に対して国連安保理事会や、中国はじめま関係国と連携していく他、首相は、米政権が対北朝鮮には軍事行動をも排除しない政策を高く評価すると伝えました。
米空母カール・ビンソンと海上自衛隊が、朝鮮半島危機の最中、北朝鮮の目と鼻の先の海上で「共同訓練」を行うことは、実際には、自衛隊を米軍による北朝鮮軍への先制攻撃をアシストさせ、なし崩し的に米朝戦争に参戦させるシナリオになっていたものと思われます。
政府は昨年12月末に国家安全保障会議が開き、自衛隊法第95条の2の運用に関する指針を決定しました。この指針は、安保法改正で日本が北朝鮮に対して武器使用を可能にするために規定された疑いがあります。
安保法改正で新設した95条の2は、自衛隊の武器使用条件を米軍など外国軍との共同武器警護に拡大したのです。
そして運用基準として、自衛隊の武器使用が可能な「我が国の防衛に資する活動」として
(ア) 弾道ミサイルの警戒を含む情報収集・警戒監視活動 (イ) 我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に際し行われる輸送、補給等の活動 (ウ) 我が国を防衛するために必要な能力を向上させるための共同訓練
の3点が規定されて、 カール・ビンソン艦の「武器防護」が可能になり、北朝鮮に対して「武器使用」で可能になりました。
注目されるのは、空母カール・ビンソンとの「共同訓練」が、朝鮮半島有事への布石として日本側から安保法制の実績作りをしようとして、安倍首相官邸主導で働きかけて進められたことです。
このように新安保改定は、日本がなし崩し的に米朝戦争に引きずり込まれて行くのです。
北朝鮮は、現時点では在日米軍基地への報復攻撃を宣言していますが、自衛隊がもし北朝鮮を相手に米戦艦と武器を使えば、北朝鮮は日本を敵国として、日本全土をミサイル攻撃の対象にするでしよう。
ペンス米副大統領が日本を訪れ、19日には米海軍横須賀基地に寄港の原子力空母ロナルド・レーガン艦で米兵と海上自衛隊2600人を前に演説で「日米同盟は地域安定の礎だ。全戦力で日本を防衛する」と述べました。
そして、北朝鮮の軍事的挑発に対する牽制から「力による平和」を追求するトランプ政権の基本戦略を前面にしたシリア空軍基地攻撃を北朝鮮にも適用することを排除しませんでしたが、日韓など中国とも連携・協力して北朝鮮攻撃の動揺を抑える動きを見せました。
米高官ペンス米副大統領の米朝の衝突回避したい意向が示されたことは、緊迫した状況にある中で北朝鮮の強硬策は軽率には取れないと思われます。
日本にとって現在必要なことは、東南アジア諸国との平和と安全を確保し、中国とロシアの協力を得て、話し合い、どんな理由があろうとも、戦争を回避し、国民に血を流させないことです。
安倍首相が目指すのは、日米同盟による、軍隊を強化し、国民の生命や生活より、一部の軍事産業のために国民を利用するだけです。
アメリカの先制攻撃に手を貸してはいけません。米軍空母との共同訓練は戦争を誘発します。 メディアで国民に恐怖心を与えて、日本国民の戦意を高揚させてはいけません。
戦前の日本政府、ドイツのナチス時代を学習して、反省し、武力を行使することがないように新安保法を廃棄して、憲法改悪を阻止しましょう。
蘇生