横浜港大桟橋
安倍首相は、今月26日に旧日本兵による真珠湾攻撃で沈没した米戦艦アリゾナの残骸があるアリゾナ記念館にオバマ米大統領と訪れ、大戦の犠牲者を慰霊するという。
米ホワイトハウスは「かっての敵同士を共有する価値観により結束させ、最も緊密な同盟国に変えた和解の力を示す機会となる」ことを強調しました。
安倍首相は、ハワイ・オアフ島の真珠湾で「2度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。その未来に向けた決意を示したい」と語りました。
年末の公務多忙なこの時期に、突如、計画された日米両政府首脳の訪問は、安倍首相の4月訪米時の米議会演説と、8月の戦後70年談話発表、オバマ大統領の広島訪問時から検討されて来て、首相が先月ペルーの首都でオバマ大統領に会った際の立ち話で、決めたことを明らかにしました。
この訪問は、次期米大統領にトランプ氏が当選し、選挙ではトランプ氏が日本との同盟関係の見直しを示唆していたことが念頭にありました。
安倍首相はトランプ次期大統領に、日本が一方的に太平洋戦争を起こした真珠湾に出かけて 「日米和解の価値を世界に発信する機会にした。」と述べたいのです。
首相と大統領が、双方国内にはこの訪問に反対する意見が多くある中で、太平洋戦争で多くの犠牲者を出したハワイ・オアフ島を「相互訪問」することになったのです。
来年発足のトランプ政権との良好な関係維持のために、私も大いに歓迎したいと思います。
首相は、「真珠湾訪問では、戦争の犠牲者に心からの哀悼の意を表するとともに、戦後日本が歩んできた平和国家を国際社会に発信する好機である。」としています。
戦争の反省の下に「戦後70年間歩んできた平和国家日本」の自衛隊は、新憲法第9条の「武力の不行使」を守って来ました。
昨年、その憲法に反する集団的自衛権の行使を閣議決定し、国会で強行採決した首相の言葉とは思えない立派な「不戦の誓い」です。この言行不一致は、厚顔無恥、虚言癖、大風呂敷に見えます。
真珠湾攻撃では日本空軍が宣戦布告なしで、ハワイ・オアフ島に戦闘機による奇襲攻撃を加えて、約2400人の米国人を死亡させ、戦艦アリゾナの沈没で搭乗兵1177人の命を奪いました。
12月8日にオアフ島アリゾナ記念館で行われた真珠湾攻撃75年追悼式典において、生き残った元米兵150人が参列して、安倍首相が年末の26日にオアフ島を訪問することが遅くなったと怒ることや恨みを口にすることもなく、多くは賛意を示していることに感動を覚えました。
一方では首相が進めている安全保障関連法に基ずく自衛隊海外派兵や、南スーダンでの内戦ではPKO部隊での「駆けつけ警護」他国軍との「宿営地の共同防護」が具体化しています。
日本国憲法の下で自衛隊が守ってきた「自衛のための武器行使」と集団的自衛権の行使は矛盾しないのでしょうか。
オバマ大統領の「原爆不使用宣言」と安倍首相の「不戦の誓い」は、世界各国やAUが同盟・協調・共助から自国優先主義・保守主義に転じ、国内・国外に紛争を抱えている時期に表明するのは素晴らしいことです。
真珠湾訪問を自衛隊員はどの様の見ているでしょうか。
隊員の肉声は聞けませんが、新聞によると元隊員や家族の意見は、安全保障関連法の国会審議や、強行的な法案可決を見ていると、真珠湾攻撃を実施した当時の内閣の動向と非常に類似しており、将来の自衛隊の先行きを心配をされています。
世界が景気も良く、経済成長率が高い時代は、先進国がリードして生産性向上によって、後進国を援助して、労働力を確保できました。
しかし、現在の日本は強い経済力や軍事力を作ろうと背伸びして、企業は利益を追求して非正規雇用を増やして格差社会と貧困層を増やしてしまいました。
地球の未来は市場原理主義の台頭で、格差社会が常態化し、社会保障を軸にした再分配システムも機能不全に陥っております。
英ではAU脱退表明、米では共和党トランプ氏の当選、オーストリア極右派の自由党ホーファー氏は僅かの差で大統領選挙落選、イタリアでは憲法改正国民投票で右派政党「五つ星運動」「北部同盟」が憲法改正を阻止しました。
格差社会の拡大、難民、移民政策の行き詰まりで保守主義、極右勢力が拡大し、先進国までが貧困層の大幅な拡大により、ポピュリストの扇動があり世界は大きく右傾化しようとしています。
今こそ過去の歴史を丹念に検証し、各国は国際連合に結集して安全保障常任理事国は解体して、国連全体により多数決原理により、コロンビアの内戦のように紛争国を「和解の道」に向けたいものです。
日本は、75年前の真珠湾攻撃を思い出して憲法改正を持ち出すことなく、安倍首相の「不戦の誓い」を堅持して、集団的自衛権を排し「和解の力」を「国際紛争を解決する手段」として自衛隊の武力は使用すべきでないことを確認したいと思います。
12月26日追記。日米両首脳、真珠湾で戦争犠牲者を慰霊
日米両政府首脳はハワイ・オアフ島を訪問して、先の大戦の犠牲者を慰霊して日米両国が「和解の力」で強固な同盟関係を築いたことを協調しました。
予想通り、両首脳が過去に区切りをつける「未来志向」を優先する同盟を評価しました。
この「和解の力」が米国第一主義をとるトランプ次期政権に通用するのでしょうか。 キューバ、南スーダン、ウクライナ、シリアに対して安倍首相の「不戦の誓い」が有効に機能するかのでしょうか。
南スーダンへの武器禁輸の制裁決議案に日本は、南スーダン政府が反発しているとして支持をせず、制裁案は否決になり英米仏から批判をうけています。南スーダンでは民族間憎悪が深まり大量虐殺の心配が懸念されており武器禁輸の決議採択が望まれます。
安倍首相の美しい言葉でする演説は、国会での平和法制の審議での言行不一致、厚顔無恥、大風呂敷であっても、真珠湾演説の中身も首相を知らない若い人には、世界に一つだけの花、申し分のない指導者の演説に映ります。
安倍首相がいれば日本だけでなく世界中が、瞬く間に全ての紛争国において和解が出来てしまうような幻想を受けます。
首相が、日本国内でもう少し国民の気持ちに近づき、真珠湾演説で戦争の犠牲者の慰霊に示した深い誠意を、国民や沖縄県民、少数野党議員にも示して欲しいものです。
蘇生
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