私は3月1日に八十路を迎え、貧乏と平穏無事な人生を懐かしく振り返っています。

私は生まれたとき育った土地と建物を戦時中飛行機場に接収され、4歳では父を戦闘機で、15歳には母を肺結核で亡くしました。

憲法に違反する安全保障関連法、特定秘密保護法、共謀罪法を制定した安倍政権が、「憲法改正原案」を国会に提出すること自体が憲法違反です。

2018年11月26日 | 違憲法案制定内閣の憲法改正

 

各務原航空祭

自民党総裁選で三選された安倍晋三首相は、総裁選で訴えた自衛隊の存在を明記する憲法9条改憲に対し「力強い支持が得られた」として、2020年の新憲法施行に向けて改憲を加速したい意向を示しました。

憲法とは、国民の側から国家権力を縛る最高法規です。行政府の長の首相が改憲の旗を振ること自体、立憲主義にそぐわないことです。

首相と閣僚は憲法99条で憲法尊重義務を負い、違憲の法律を提案することができず、憲法改正の発議は国会のみに与えられています。

憲法99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」とあります。

国政のトップである首相が、憲法が定める民主主義の普遍的価値に敬意を払わないのは、安倍政権発足以来の姿勢であり歴史観です。

この5年間、「安倍カラー」で大規模な金融緩和政策の継続で長期国債を大量に買い、国を借金地獄化し、中下層の国民の生活と権利をないがしろにして来ました。

一強故に、与党内部からの批判が声を潜め、独善的な政権運営にブレーキがかからず、次のような現在の状況を作っています。

国民の「知る権利」を脅かす特定秘密保護法、自衛隊の単独自衛権を歴代内閣が違憲としてきた集団的自衛権の行使に道を開く安全保障関連法、捜査当局による乱用が懸念される共謀罪の導入といった重要法案を、与野党の合意形成を丁寧な議論で得ることなく、与党の「数の力」で異論を押し付けました。

今年の憲法記念日の前に新聞社が実施した世論調査では、安倍政権下での改憲に「反対」は58%で、「賛成」は30%のほぼ倍になっていました。政策の優先度で改憲を挙げたのは11%でした。国民の平和と戦争と自衛権の行使に関する意識に反するものです。

安倍首相が自衛隊明記の改憲を提案しましたが、そこで持論を披瀝する人が政府解釈や憲法体系を全く理解していないのには驚きです。

憲法9条について首都大学東京教授木村草太さんが中日新聞社「明日を探る」で政府解釈を確認しています。

憲法9条には「国際関係における武力行使を一切禁じている」ように見えます。

しかし、他方で、憲法13条は、国民の生命や自由を国政上で最大限尊重しなければならない旨を定めています。

政府は、強盗やテロリストのみならず、外国の侵略からも国民の生命等を保護する義務を負っています。

この義務は、国家第1の存在意義と言うべきもので、政府はこれを放棄できません。

そこで政府は、外国からの武力攻撃があった場合に、防衛のための必要最小限の実力行使は「9条で認められる例外的な武力行使」だとして来ました。

これを批判する見解は「外国からの侵略で国民の生命・自由が奪われるのを放置することも、憲法13条に反しない」との前提に立つことになります。

軍法会議の規定を憲法に盛り込もうとの提案があります。

自衛隊法には、自衛隊を規律する罰則が既にあります。

規律が不十分であればそれを改正すればよく、「軍法」を肯定する理由はどこにもありません。

他方、安倍首相による改憲提案に対し「集団自衛権行使や安保理決議に基ずく国連軍・多国籍軍への参加など」は、国際法上合法な武力行使はすべて可能であり、改憲の必要ありません。

9条2項の「前項の目的を達するため」の文言は、侵略戦争に使う軍・戦力の保有だけを禁止する趣旨で挿入されたとする説を根拠にしています。

これに対して、集団的自衛権行使の全面的容認が禁じられるとする根拠は、9条の文言だけでなく、統治機構の条文構造にあります。

天皇に統師権と軍編成権があった明治憲法と異なり、日本国憲法は軍事権を類型ごと排除しました。

新憲法下では、国内統治作用たる「行政」の範囲を超えて外国の主権領域で実力行使する「軍事」の権限を行使することは許されないのです。

これを9条で禁じていないとして軍事活動を認めれば、権限行使の責任の所在や手続きを憲法で統制ができないことになります。

今国民が憲法を巡って議論すべきは、従来の「専守防衛のための自衛隊」とすべきか、2015年に安保法制で拡大された「存立危機事態での限定的な集団的自衛権」を容認するかです。

しかし、「存立危機事態」の定義はあまりにも不明瞭で、それを条文にしても意味が定まりません。権利の乱用を招くだけです。

以上では9条と軍事・平和を見てきました。

 次は改憲を加速しようとしている安倍首相は、どこまで憲法を尊重して来たかを見て行きます。

31条 適正手続きに寄らなければ刑罰は課せられないと定めています。

安倍首相は「その生命もしくは自由を奪われたり、その他の刑を科せられない。」を無視・軽視して来ました。

集団的自衛権を行使できるようにした安全保障関連法や、カジノを含む統合型リゾート施設整備法の採決強行。

森友・加計問題では真摯な答弁なく、公文書隠蔽・改ざん問題では原因や経緯を丁寧に説明する手続きを無視しました。

権力集中の弊害が目立つ。「力は一つに集中すると乱用される。」

憲法41条、65条、76条で立法、行政、司法の3権分立を定めています。

昨年末には、憲法53条に基づく野党の臨時国会召集要求を3か月も放置した挙句、一切の審理を拒んだまま衆議院を解散してしまいました。

首相は、衆院選で大勝すると野党の質問時間を削減する圧力をかけ「数の力」を背景に、野党の主張に耳を貸そうとしません。

国会の役割は内閣を監視して過ちを正していくべきで、野党の質問時間削減はもってのほかです。

内閣法制局長官に解釈改憲に積極的な小松一郎氏を慣例を無視して選び、都合の良い人事を行いました。

内閣人事局で官僚の人事権を官邸が集中管理することで、官僚が忖度するようになり、安倍独裁が加速しました。

その結果が森友・家計問題を生みました。

安倍首相は、今年の終戦記念日に我が国の犠牲者に対して「加害と反省」の意思を6年連続表明しませんでした。

閣議決定をした14日に「首相談話」で「私たち国民は、世代を超えて、過去の歴史に正面に向き合わなければなりません。」といいながら、

その前段で「あの戦争には何のかかわりのない、私たちの子や孫……達に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」と述べました。70年後の首相は謝罪の必要はもう無いとしています。

これに対して平成の天皇陛下は、今年の追悼式で「ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」と述べられました。

安倍首相は集団的自衛権を行使できる違憲状態の「自衛隊」を憲法に明記する9条2項改憲案を提起しています。

権力を縛る現憲法。歴史の教訓。権力を持つ者の自制。メディア野党による権力批判。

戦前の軍事16年間と戦後の平和70年間の歴史を紐解き、激走する安倍政権にブレーキが掛けられるか。

正念場を迎えています。

蘇生

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-12-16 19:34:50
安倍首相批判する割には自衛隊の各務ヶ原自衛隊航空祭の画像を使うってどうよ。今はもう12月だよ書くことないならもうやめたら?
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