欧州諸国でも、新型コロナウイルス対策による行動制限が進み、学校が再開し始めました。
フランス政府は、休校による教育格差が広がることを懸念し、早期再開を模索してきました。
今週から幼稚園と小学校の再開に踏み切りました。一斉休校から2か月ぶりの登校になります。
政府が定めた衛生基準が厳しく、子供は休み時間でも常に1メートルは距離を取り、咳やくしゃみをする度に手を洗うとなって、動き回る子供に日中一度も手を互いに触れ合わないようにするのは無理です。
10人のクラスに感染した子が出ると「優先職業」の家庭以外の3ないし4人の家庭の子から選ぶことが恣意的にならざるを得ません。
ドイツでは現状では一日数時間の授業時間しか確保できていない学校も多い。
多くの州で、重症化リスクのある60歳以上の教員に自宅待機などの措置を取る。教員不足から、十分な授業数をこなせるかは見通せません。
イタリアでは、9月まで閉校が続きます。その間オンライン授業ができるように、政府はタブレット端末を家庭に配布する計画を経済対策に盛り込んでいます。
英国は、再開の判断は小学校は6月1日以降に、再開させ、中学校の生徒は進学試験を控えた学年の実先生と面談で決めるとしています。
以下は日本の安倍首相の緊急事態宣言の延長・解除についての影響です。
世界的な移動制限や外出自粛で、需要が蒸発してしまいました。
ソニーは前年まで2年連続で前年に株式売却益を計上した反動が重なり、テレビ、カメラ、スマートフォンの営業自粛で前年比36・5%減の5821億円の減益になりました。
航空や鉄道業界は、需要の「蒸発」の影響を受けANAホールディングスと日本航空の3月の旅客数は国内線で前年同月比6割減、国際線で7割減、共に通期で減収減益に。
鉄道では、JR各社で乗馬する東日本、東海、西日本、九州の4社すべてで通期の純利益が前年よりりました。
新車が売れなくなった自動車産業はホンダは4半期として4年ぶりに営業赤字に転落しました。
小売業界では三越伊勢丹HDの通期の純損益が111億円の赤字に転落しました。
商社の大手7社、鉄鋼大手3社、赤字転落や白紙。
政府は14日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言について、直近1週間の新規感 染者が10万人当たり0.5人程度に減少したとして特別警戒を一部を除き解除すると発表しました。
解除された地域では、経済活動が再開されるが、外出や営業を自粛する流れは暫らく続くと見られています。
経済学者は、新型コロナウイルスにより、国内総生産(GDP)の1割弱に相当する45兆円の経済損失が出ると試算していましたが、今回の解除により、37・6兆円に縮小すると見ています。
外出や外食の抑制は、コロナの冷え込みと、今回の解除が大都市圏は除外され、影響は限定的になると見られます。
新型コロナウイルスの影響を受けた企業の倒産件数は、14日時点では147件に上っています。エコノミストによると「外需が予想以上に落ち込み、日本経済に深刻な影響が出る。」と見ています。
政府は、企業の財務基盤を強化する資本注入策をとして、政府系金融機関が、資本に近い「劣後ローン」を貸したり、議決権のない優先株を引き受けたりすることを検討しています。
第2次補正では、中小事業者中心の支援だけでなく、中堅企業や大企業の支援も必要と判断し、大企業の自動車や航空機にも危機に陥るのを防ぐ考えです。
出口戦略では、東京都と大阪府では感染者数、感染経路不明な新規感染者、重症病床の使用率について、大阪知事は休業要請を巡って独自の基準を設定しました。
これに対し、小池東京都知事は緊急事態宣言の緩和には慎重な姿勢で、コロナウイルスの第2波への警戒心から「東京は感染拡大の危機のまだ真っ最中にある」として休業要請の緩和に向け「ロードマップ」を公表しました。
特別措置法に基ずいて要請している外出自粛や休業を巡り、「要請を緩和する基準」となるのがロードマップです。
東京都が緩和に指標とする基準は、①新たな感染者数②感染経路が不明な人の割合③週単位の増加比率④重症患者数⑤入院患者数⑥PCR検査の陽性率⑦受験相談窓口での相談件数の7項目です。
都内で15日に確認された感染者は9人で、3月22日以来の1桁となりました。ただ、累計の感染者数は5千人を超え、死者数も連日確認されていて、収束と言うには程遠い状況です。
新たな感染者が1週間平均で1日50人以上、感染経路不明な割合が50%になるなどすれば、外出自粛や休業を再び要請することにしています。
国の緊急事態宣言を解除した愛知、三重、岐阜の各県で16日、都市部では営業を再開する店舗が一部にあり、人通りが少し戻って来ました。しかし、伊勢や高山の観光地は自粛継続し閉店のままが多く、閑散としていました。
米国のトランプ大統領は15日、書簡で国務省のリニック査察官を「査察官は信頼できない」として解任しました。不法な報復人事で、権威主義者として4月以降で4人目です。
新型コロナウイルスの感染で、死者が3万人を超える深刻な影響を出したイタリアで6月3日から入出国を一部撤廃するとコンテ首相が発表しました。欧州からの観光客の受け入れが可能になります。
イタリアの観光業は、GDPの13%を占める主要産業の一つです。
政府・与党は18日、検察庁法改正案について今国会での成立を断念しました。
その背景には東京高検検事長黒川弘務の定年延長を1月31日の閣議おいて決定し検察庁法改正案を今国会に提出して、成立させ黒川氏を検事総長にする心算でした。
検察庁法改正案が、元検事総長ら検察庁OBの反対意見書やハッシュタグ付きツイッター上など著名人からの投稿が数百万人に上り、高まる批判に、現職のまま黒川弘務検事長を総長にすることができなくなりました。
19年の森友・加計学園、「桜を見る会」の問題では、国会で蹴散らかしてきた安倍「一強」内閣も今国会を強行突破は出来ません。
政府が当初案として国会に提出しのは、検察庁法改正案と、国家公務員の定年制を延長する改正案などと一本化した法案を見直す心算でした。
法改正は、政権に近い黒川弘務氏を検事総長にするためであったことが判明して、安倍首相は改正案の国会提出を断念しました。
改正案の国会提出を断念した直後の21日に、黒川氏が産経新聞社の記者らと賭けマージャンをしていたことが明らかになり、コロナで緊急事態宣言中に4回も同じ記者3人と麻雀をしたことを認めました。
国家公務員である黒川検事長は、森雅子法務大臣から22日訓告処分を受け、即日、総理大臣に辞職願を提出しました。
20年1~3月期の国内総生産(GDP)の1次速報値 は、実質で前期より0.9%減り、このペースが1年続くと仮定した年率換算では3.4%減でした。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、個人消費や輸出を中心に主要項目が軒並み落ち込み、2四半期連続のマイナスとなりました。
GDPは消費税増税後の昨年10~12月期以来、約4年ぶりで、マイナス成長が2四半期と続くと、「景気後退」見なされるのが一般的です。
今年4~6月期にはコロナの影響が全面的に表れ、年率20%減ほどの記録的な落ち込みを予想する専門家が多いです。景気はすでに後退期に入ったのは確実のようです。
4月に成立した補正予算に含まれる経済対策の実質GDP押し上げ効果は1.2%程度を加味しても焼け石に水で,財政をさらに圧迫することでしょう。
自民党は企業の経営を支えるために、10兆円超の資本支援をする提言をまとめました。先ずは既存の日本政策投資銀行や産業革新投資機構よる劣後ローンや優先株など10兆円超の新たな支援枠を作りたいのです。
コロナ禍が長期化すれば、体力がある大企業でも資金不足で経営が行き詰まりかねません。海外では大手航空会社の経営危機が相次いでいます。
資本支援の目的や資本改修の道筋を十分に説明できるのでしょうか。
英国は新型コロナウイルスによる収束を見いだせないまま迷走を続けています。初動の遅れや首相の入院が響き、犠牲者数は欧州最悪の3万5千人を記録しました。
英政府は外出制限などの緩和にかじを切り、休業補償や企業支援策を大規模に展開して国民生活への不安を和らげましたが、政府の債務(借金)の対GDP比率は約60年ぶりに100%を超えてしまいました。
世界の感染者数は5月21日、米国ホプキンス大学の調査で累計で500万人を超え、死者は32万8千人を超えました。
世界のコロナ感染者数は4月3日に100万人を超え、同15日に200万人、28日に300万人、今月10日に400万人に達し、3月からの間12日毎ごとに100万人づつ増加したことになります。
感染者数は米国が155万人超、約31万人のロシア、約29万人のブラジルが続きました。アジアではインドが最多で11万人を超えました。死者は米国が9万3千人超でした。
新型コロナはすべての国への脅威だが、対応は国ごとで、国際協力に失敗しています。
現代史の方向
① 米国のリーダーシップの弱体化 米国は世界一の経済力と軍事力を保持しているのにもかかわらず、世界に関与する意欲を失った。
米社会を支えてきた中間層を没落させ、不平等を広げた。
「米国第一」を唱え、大衆先導する人物が、彼らの不満のはけ口となった。
② グローバルな協力の衰退
このままでは世界秩序のさらなる崩壊、社会で不平等の拡大を加速しかねない。
各国は公的支援に動いた。倒産を防ぎ、失業者を救済するには必要な政策だが、巨額の財政赤字が残る。
国家の役割の増大はナショナリズムを高める。国際協力には冬の時代だ。
③ 大国間の不和
「新冷戦」状態の米中は、責任のなすり合いを始めた。
トランプ大統領は「武官のウイルス研究所が発生源だ」と非難を強めた。
中国はコロナ克服の成功モデルと言う自画像を描き、宣伝戦に走る。
コロナ後の世界はどう生きるのか。
国連などの国際組織や制度は欠陥を指摘されながら、加盟国がおおむね枠の中に納まっている。
核兵器があるために、紛争解決に軍事力を行使するリスクはあまりにも高い。 軍事リアリズムも共有されている。
グローバル化した世界では、人権や環境などの分野でNGOや個人が活躍し、国家を超えた思想やアイデンティティが育っている。
コロナを克服する対策を打ちながら、同時に、国際社会が抱える欠陥を補修する作業は、長い困難な道のりになる。
WHOの新型コロナウイルスへの調整機能を中心とした国際的な危機対応について、公平で独立した包括的な検証を行うことを強く主張しています。
トランプ大統領は29日、「WHOは中国に支配されている」として世界保健機構からの脱退を表明し、「一国二制度」を前提とした香港への優遇措置を見直すよう中国に反発ました。
「人類共通の敵コロナ」に結束して立ち向かう力も気概もない大国同士がいがみ合う茶番劇は「陳腐な冷戦」と呼ぶべきか。(朝日新聞社アメリカ総局長沢村亙)
政治への信頼を取り戻し、誰もが人として尊重される世界を築くことは、容易ではない。民主主義がどう生き残るかというチャレンジに等しい。
蘇 生