もう12月。毎年のことながら、1年が過ぎるのはとても早いです。年を重ねるとなおさら、そう感じてしまいます。
学校横の公園の木々は、枯れ色のはっぱを落として寒そうです。
先日は、学生たちと一緒にそのはっぱを掃除しました。集めても集めても次々に落ちて来て、同じところを何度も掃きました。寒空でも、話をしながらぽかぽかと楽しい時間でした。
今月は、公務員科では、最後のホームルームにクッキングコンテストのイベントを計画しています。この一年一緒に勉強してきた仲間との共同作業です。私は、審査員として招待を受けています。おいしいお料理が今から楽しみです。
今年4月から、高卒認定試験対策講座に来ていたAくんは、高校にはほとんど行かず、20歳になる現在はアルバイトをしていました。
家族の後押しもあり、当校に入学してきました。口数が少なくいつも聞かれたことだけをぽつりと答えるような青年ですが、高卒認定を取ろうとしてこの学校に来た時には、きっと固い決意の上だったに違いありません。
彼は、それまでのアルバイトを午前中で切り上げて、午後から始まる授業に来るのですが、仕事が終わらず遅れてくることもありました。しかし終わってみて、感心することは、彼は、4月から講座が終了するまで、1日も休むことがなかったことです。今年は特に厳しかった真夏の暑い日も、外での作業が多いアルバイトを終えて学校に来るのですから、くたびれて休みたいときもあっただろうと思います。
まったく高校に行っていないので、彼は、文部科学省が認定する高卒認定の単位をすべて取得しなくてはなりません。4月から8月の第一土、日曜日の試験までに8科目の内容をすべて終えなくてはなりません。高校3年間の科目とその内容をマスターするには、時間がたりるかどうか、私たち指導する側も内心不安でしたが、彼の、アルバイトと両立させながら毎日通ってくる真面目さに、私たちも絶対に合格させるという意気込みで、授業にも力が入りました。
8月の試験では、奇跡的に8科目中7科目が一度で合格をし、本人もにっこり笑って嬉しそうでした。
今はほとんどの人が高校へ進学する時代。でも、「人間関係の悩み」「勉強が思っていたのと違った」などを理由に、2011年度はおよそ5万人の人が高校を中退しているそうです。
その時は、「今の環境から逃れたい」ということだったことが、就職のとき、進学の時に「高卒の条件」という壁が行く先を阻んだと言います。また、高校という集団から離れることで、人との関わりが少なくなって孤立してしまうこともあるとも言います。次の一歩を踏み出す方法の一つにこの認定試験が設けられていることを知ってほしいと思います。
高卒認定は、高卒の学歴が得られることではなく、文部科学省が、高校卒業と同等またはそれ以上の学力を認定してくれるものです。次へのステップなのです。
11月の2回目の試験で、彼は残り1科目を受験しましたが、受験勉強中の当校での授業は、何か資格を取りませんかと提案して、パソコンのワードとエクセルの勉強もしました。タイピングもほぼ初めての彼でしたが、ワードはすでに3級の試験に合格し、今月エクセル3級の試験も受けることになっています。
彼にとってこの半年はどのような時間だったのでしょうか。
あまり口数多く語ろうとはしないので、時折話すアルバイトのことや家族のことから総合すると、とてもハードでなおかつ充実した時間だったのではなかったかと思います。その中には家族の応援と、彼が家族のその思いにこたえる優しさや、決意の固さを伺うことができました。
あと数日で、11月の認定試験の結果の発表です。合格していてくれることを心から願っています。合格していれば、次のステップです。彼はこの後、専門学校に行くことを希望しています。
そして、同じ思いの人が次年度この学校に来た時、次のステップを踏み出すお手伝いを私たちがまたできればと思います。
生活していく中で、私たちはどうしても目の前のことだけに悩み苦しみこだわり、生きていきますが、1年後2年後、10年後のことを考えて、今やっておくべきことがあるような気がします。
それは、大きな花を咲かせるための種をまく作業に似ていると、私は思うのです。
学生たちが、今一生懸命自分の夢を叶えるために勉強をしていることも、実習で苦しい思いで頑張っていることも、きっとその頑張りから芽が出て、双葉を付けて葉を実らせ花を付けることと思います。
大人である私もこの先のために、種をまくことを忘れないでおこうと思います。
photo by mizutani
学校横の公園の木々は、枯れ色のはっぱを落として寒そうです。
先日は、学生たちと一緒にそのはっぱを掃除しました。集めても集めても次々に落ちて来て、同じところを何度も掃きました。寒空でも、話をしながらぽかぽかと楽しい時間でした。
今月は、公務員科では、最後のホームルームにクッキングコンテストのイベントを計画しています。この一年一緒に勉強してきた仲間との共同作業です。私は、審査員として招待を受けています。おいしいお料理が今から楽しみです。
今年4月から、高卒認定試験対策講座に来ていたAくんは、高校にはほとんど行かず、20歳になる現在はアルバイトをしていました。
家族の後押しもあり、当校に入学してきました。口数が少なくいつも聞かれたことだけをぽつりと答えるような青年ですが、高卒認定を取ろうとしてこの学校に来た時には、きっと固い決意の上だったに違いありません。
彼は、それまでのアルバイトを午前中で切り上げて、午後から始まる授業に来るのですが、仕事が終わらず遅れてくることもありました。しかし終わってみて、感心することは、彼は、4月から講座が終了するまで、1日も休むことがなかったことです。今年は特に厳しかった真夏の暑い日も、外での作業が多いアルバイトを終えて学校に来るのですから、くたびれて休みたいときもあっただろうと思います。
まったく高校に行っていないので、彼は、文部科学省が認定する高卒認定の単位をすべて取得しなくてはなりません。4月から8月の第一土、日曜日の試験までに8科目の内容をすべて終えなくてはなりません。高校3年間の科目とその内容をマスターするには、時間がたりるかどうか、私たち指導する側も内心不安でしたが、彼の、アルバイトと両立させながら毎日通ってくる真面目さに、私たちも絶対に合格させるという意気込みで、授業にも力が入りました。
8月の試験では、奇跡的に8科目中7科目が一度で合格をし、本人もにっこり笑って嬉しそうでした。
今はほとんどの人が高校へ進学する時代。でも、「人間関係の悩み」「勉強が思っていたのと違った」などを理由に、2011年度はおよそ5万人の人が高校を中退しているそうです。
その時は、「今の環境から逃れたい」ということだったことが、就職のとき、進学の時に「高卒の条件」という壁が行く先を阻んだと言います。また、高校という集団から離れることで、人との関わりが少なくなって孤立してしまうこともあるとも言います。次の一歩を踏み出す方法の一つにこの認定試験が設けられていることを知ってほしいと思います。
高卒認定は、高卒の学歴が得られることではなく、文部科学省が、高校卒業と同等またはそれ以上の学力を認定してくれるものです。次へのステップなのです。
11月の2回目の試験で、彼は残り1科目を受験しましたが、受験勉強中の当校での授業は、何か資格を取りませんかと提案して、パソコンのワードとエクセルの勉強もしました。タイピングもほぼ初めての彼でしたが、ワードはすでに3級の試験に合格し、今月エクセル3級の試験も受けることになっています。
彼にとってこの半年はどのような時間だったのでしょうか。
あまり口数多く語ろうとはしないので、時折話すアルバイトのことや家族のことから総合すると、とてもハードでなおかつ充実した時間だったのではなかったかと思います。その中には家族の応援と、彼が家族のその思いにこたえる優しさや、決意の固さを伺うことができました。
あと数日で、11月の認定試験の結果の発表です。合格していてくれることを心から願っています。合格していれば、次のステップです。彼はこの後、専門学校に行くことを希望しています。
そして、同じ思いの人が次年度この学校に来た時、次のステップを踏み出すお手伝いを私たちがまたできればと思います。
生活していく中で、私たちはどうしても目の前のことだけに悩み苦しみこだわり、生きていきますが、1年後2年後、10年後のことを考えて、今やっておくべきことがあるような気がします。
それは、大きな花を咲かせるための種をまく作業に似ていると、私は思うのです。
学生たちが、今一生懸命自分の夢を叶えるために勉強をしていることも、実習で苦しい思いで頑張っていることも、きっとその頑張りから芽が出て、双葉を付けて葉を実らせ花を付けることと思います。
大人である私もこの先のために、種をまくことを忘れないでおこうと思います。
photo by mizutani