安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

長かった夏

2010年09月02日 | 月刊ブログ
 長かった夏、うだるような暑さも、9月の声を聞くと、吹く風も少しだけ柔らかく感じます。毎年のことながら、大忙しの夏でした。
 当校恒例の夏期講座には、約90名の高校生や大学生、一般の方が参加され、秋の本試験目指して一生懸命勉強に取り組んでいました。授業をする私たちも、一人でも多くの人が公務員試験に合格してほしいと熱が入ります。この時期、私がいつも夢中になる甲子園も、いつの間にか終わってしまっていました。
 
 今月の写真は、栗の幼果です。10月の運動会の頃には、店頭に大粒の栗の実が並ぶことでしょう。今から楽しみです!

 当校では、毎日午後9時まで学校が開いていて、自習室を開放しているのですが、土曜日は模擬試験のみで早く学校が閉まります。土曜の夕方学校を出るときには、1階エントランス横の公務員初中級科の教室はすでに灯りが消えています。なんだかいつもの教室ではないような、閑散とした様子に、少しだけ寂しくなります。
 毎朝、私が出勤して1階教室横を通る頃には、もうすでに、数名の学生が登校してきておしゃべりをしたり授業の準備をしたりしています。教室には明々と灯りがともっています。その灯りを見るとほっとして、今日も頑張ろうという気持ちになります。
 誰もいない部屋と、灯りがともってその中で言葉や笑顔が飛び交っている部屋では、同じ部屋でも全く違った印象を受けます。人がいてその体温を感じる場所は、ホントに暖かい感じがします。

 私個人では、この夏は遠方からの来客も多く、また、いろんなことがありました。その中でも、夫の親友が春に病気で亡くなって、その家族が納骨するために横浜から来たときのことは、忘れられない感情でした。
 その家族とは一緒に海や山に行ったりして仲良くしてもらっていたので、佐世保に着いたその日、私たち家族とご飯を食べようということになりました。その会食の場所に、遺影が一緒だった時には、間近でそのような場面を経験したことがなかったので、ちょっと驚きました。明るく朗らかな奥さんと子供たち兄妹が、何もなかったかのように、久しぶりに会いに来た友人のように、にぎやかに会食をしました。ただ、その会食する部屋の上座には、きちんと亡くなった友人の遺影が置かれていたことは、その現実を受け止めざるを得ないことでした。
 私は、妻という同じ立場のその奥さんに、何も語りかけることができずにいました。社交辞令のような一言、二言では語り尽くせないと感じたから、いっそ今は何も話さないで触れないでおこうと思いました。まだ、そのことをゆっくり話せるだけの時間は経っていないし、気持ちの整理もできていないような気がしました。
 しかし、ときおり故人の話になると、当の遺族は普通に話をするのに、私たち周りが感情的になってしまっていました。その長男の話し方、その声があまりにもそっくりで、途中何度もハッとして、思わずその横顔を見てしまっていました。

 今まで居た人がいなくなるという現象を消化できずにいました。もし、自分が同じ立場だったら・・・そんなこともつい考えてしまいました。

 いつもそこに居る人がいないことは、心の中にとてつもなく大きな空洞ができるのではないかと思います。いつも灯りがついていて人が動いている場所が、今日は明かりが消えて閑散としていたら、なんだかひどく寂しくなります。

 いつもの風景、いつもの人、いつもの家族、そんな毎日が普通にあるということが何よりもうれしく、幸せなことだと、この夏、いろんな人から気づかされました。

 
 さて、当校では、いよいよ公務員本試験の始まりです。今度の日曜日には国家Ⅲ種試験が実施されます。例年通り会場に応援に行くつもりですが、本当言うと、私たち教員のほうがどきどきしているのではないかと思うくらいです。みんな、これまでがんばってきた実力を発揮してくれるといいなと、祈るばかりです。

一日一日と日が短くなるころ、秋はもうそこまで来ています。

photo by mizutani

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