安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

松柏千年の青

2010年11月04日 | 月刊ブログ
 大好きな秋が、あっという間に通りすぎて冬になったような、この1週間でした。
どこからか、きんもくせいの香りが漂ってきました。なんとなく胸がキュンとなって幼いときの郷愁を誘います。
 ちょうど4年前の夏、このブログに、甲子園の決勝のことを書きました。現在楽天で活躍している田中将大くんと、対照的に大学へ進学し東京6大学の早稲田大学で主将を務めている斎藤佑樹くんの対決でした。
 そのせいか、当時から私はこの二人のことを、やはり気になってずっと注目してきましたが、期待通り二人とも大きく成長してくれました。きっと二人とも、血のにじむような努力を重ねてきたことでしょう。斎藤くんは、ドラフトでは4球団から1位指名を受けました。昨日は、なんと50年ぶりという早稲田大学と慶応大学の決勝戦が行われ、斎藤くんが先発で投げ、同じドラフトから1位指名を受けている大石達也くんが継投して見事に勝利を収めました。
 斎藤くんは、優勝パレードのあと、主将としてのあいさつのとき、「僕には仲間がいたから」とにこやかに述べていました。一緒にプレーした仲間、応援してくれた仲間がいたから、今の自分がある、ということなのでしょう。選手(プレーヤー)としての実力だけでなく、いつも思うのは、スポーツを通してその人の人間性が大きく高まっていくことのすばらしさです。
 私たちの学校でも、面接練習や、2次試験に提出する志望動機や自己PRなどを書いた「面接カード」の添削などするときに、学生たちがたどってきた道をちょっとだけ同時体験させてもらっています。スポーツだけではなく、苦しんだり悩んだりしたことを乗り越えたとき、学生たちは、自分自身への自信、信頼、満足を感じているような気がします。このことを経験しやり遂げたから、または、乗り越えたから、どんなことでも成し遂げることができる。自己暗示のようにそしてそれが自信と夢への情熱へとつながっていくのですね。

 先日の上級コースと初中級7ヵ月ゼミコースの修了式には、私は、学生たちにこんな言葉を贈りました。
「子曰く、歳寒くして然る後に松柏の彫むに後るることを知る」(孔子)
 寒さの厳しい季節になってはじめて、松や柏が緑の葉を枯らさぬことのすごさがわかる、という意味です。
 松や柏は、周りの木々が青々としているときは、地味で目立たない存在です。しかし、厳しい寒さがやってきて回りの木々の葉が枯れしぼんだ時、寒風に耐えてなおも緑の葉をつけている松や柏の存在が際立ってきます。
 昔から、中国では、『松柏千年の青』といって、逆境に耐えて緑の葉を保ち続ける松や柏のような生き方を称えてきたそうです。季節が変わっても、自分の変わらぬ姿を保ち続け自分の信念を曲げずに生きていく強い意志を象徴しているそうです。
 人も逆境や苦難のときこそ、その真価がわかります。逆境にあっても揺るがない信念をもち、どっしりとその姿を変えない強い生き方への敬意を忘れてほしくないと思います。

 いろんな苦難を経験し乗り越えてきた人は、自分に自信を持つことができると同時に、その力や成果が決して自分だけのものではなく、周りの支えや協力によって成り立っていることを、ちゃんとわかっています。

 斎藤くんは、こうも言っていました。この決勝戦で相手チーム慶応大学のすばらしい選手と戦えたことに感謝をします、と。
『松柏千年の青』をちゃんと認め称えることができていることに、なお一層感動しました。

 当校学生たちにも、この学校で学んだ期間のことを忘れず、また、がんばった自分を認め、がんばった仲間の功績も十分に称えることのできる心の大きさと、周りの人たちにも感謝する気持ちを、ずっと持ち続けてほしいと願っています。


 今月の花は、珍しい時計草です。花言葉は「聖なる愛」。花の形が十字架にかかったキリストの姿に似ているからだそうです。花一輪にロマンを感じます。

Photo by mizutani

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