今年はかろうじて、小雨の中、満開の桜を見ることができました。
薄桃の淡い色合いに小さなため息がこぼれます。これほど均整の取れた花があるでしょうか。
本校の入学式がもう少し早く行われていたら、喜びの学生たちに桜の花びらのシャワーができたことと思いました。
今年度もたくさんの学生が本校を選んで入学をしてくれました。この学生たちの夢を叶えるために全力でサポートしなければならないと、入学式に臨んで身が引き締まる思いがしました。
1年後、2年後の今日、卒業したばかりの学生たちはそれぞれの職場でなりたい自分になって、今度は新人として同じように緊張していることでしょう。
今年は、学生全員に手帳を配付しました。私も、この仕事をするようになって手帳は手放せなくなりました。特に最近は記憶に自信がなくなって、重要な仕事に穴を開けては大変とばかりに、自分のスケジュールはしっかりと手帳に記録するようになりました。
ただそれだけのために手帳があるように捉えがちですが、改めて学生たちに手帳の話をすると、いろんな効用が見えてきました。
朝のホームルームでは必ず手帳を開き記録をするように言っています。持ってくる物や1日の記録を手帳に書きこむことで書くことに慣れるとともに、自分の時間の使い方を目で見て認識できるようにします。時間を意識して行動するようになり、時間を守る、締め切りを守る意識付けができます。
この手帳は、学生用なので「1週間の振り返り・次への対策」を記入できるスペースが作ってあります。毎日の生活が流れていかないように、きちんと振り返り、次へのステップにすることが成長に繋がるということですね。
自分で学び、考え、行動でき、自己管理ができる能力が付くようになるのです。自ら考え行動できる人は、どの省庁、企業からもきっと引っ張りだこです。
今月の写真は、チューリップ。ここ佐世保ではハウステンボスで色とりどりのチューリップを見ることができます。チューリップは春の訪れを告げる花の代表選手です。
父が元気だったころ実家の庭には、春になるとチューリップが咲き誇っていました。チューリップは1個の球根から一株しか咲かないので、私は何だかもったいないようにいつも感じていましたが、秋になると、父は決まって前の春に取っておいた球根や、新しく買ってきた球根を丁寧にプランターに並べて植えていました。
毎日水をやり、小さな雑草が一つ二つ生えても丁寧に取り除き、大切に育てていたからこそ大輪の鮮やかな花を咲かせることができたのでしょう。
チューリップには、ロマンティックなオランダの伝説があります。
昔、美しい少女がいました。
この少女に3人の騎士がプロポーズし、それぞれの家宝である王冠、剣、黄金を贈りました。美しく優しい少女は、大切なものをくれた彼らの気持ちを思い、断れず結婚相手を選べませんでした。悩んだ少女は、花の女神フローラに自分を花に変えてもらいました。
この花がチューリップです。3人の騎士は、大切にそのチューリップを育てました。
この伝説から「博愛」や「真面目な愛」という花言葉が生まれたとされています。
入学式のころの桜もいいけれど、ルンルンと跳ねたくなる春の花は、やっぱりチューリップでしょう。
これから桜の木々には、黄緑色の若葉が鮮やかに新緑の季節を迎えることになります。
四季の移り変わりは日本固有の特権である気がします。四季の色では、春の色は青でしたね。「青春」もここから来ています。
これからの1年で季節が移るように、本校の学生たちも目標に向かって学力も人間力も伸びて行ってくれることでしょう。暑い夏、静かな秋、厳しい冬をも乗り越えて、そして、来年の春には大輪の花を咲かせてくれることを期待しています。
朝礼で学生の前で話をすると、素直な視線を一身に浴びます。この学生たち全員の澄んだ瞳が、1年後、2年後喜びの色に染まるよう、私たち職員も、丁寧に大切にこの学生たちの夢を育てていこうと誓った一日でした。
Photo by Mizutani