未だにしつこくトリニダード・トバゴ(略してTT)にいます。かれこれ3週間近くも滞在してることになります。こんな物価が高い上にそんなにすることのない国でいったい何をしているんだろうって感じです。最大の理由としては、ガイアナ泥棒事件で受けた精神的なショックや疲れがなかなか取れなくて、動こうという気持ちがしばらく起きなかったことでしょうね。しかし、ある日突然やる気が沸いてきて、デジカメを新しく買い、トバゴというもう一つの島へ行くという行動力がよみがえりました。トバゴへ行く目的は、ずばりカリブ海。ダイングやシュノーケリングやビーチでのんびりや、そういったことをしたいと思います。
デジカメは品揃えも少なく値段も法外に高い中からPENTAX OPTIO M20(7メガピクセル)を4万円も出して買ってしまいました。3週間デジカメの無い旅行生活を送ってきましたが、デジカメがあるとやっぱり楽しいですねー。俄然観光する気が沸いてきましたね。
※ちなみに、TTはトリニダードとトバゴという二つの島からなっていて、トリニダードの方が10倍くらい大きくて政治や経済の中心でほとんどの人口が住んでいるというメインの島、トバゴは人口5万人の小さい島でカリブ海的なビーチライフを楽しむ観光客が訪れる観光地です。かの有名なサッカー選手ドワイト・ヨークはこの小さい方のトバゴ出身らしいです。
TTは元々物価の高い国(宿は最安で一泊1800円、食事は中華テイクアウトで500円)なのですが、トバゴはさらに高かったです。宿は最安で2200円、食事は外食すると確実に800円以上という西ヨーロッパ並みの高め設定です。ダイビングもやっぱり高くて1ダイブで8000円も取られたりします。しかし、運良く安いダイブショップを見つけることが出来ました。他のホテル併設のきちんとしたダイブショップと違い、民家に併設の倉庫にダイブ器具を入れているような所で、地元のおっちゃんが趣味的に一人で切り盛りしているみたいです。その名もレッドマン。かといって色が赤い訳ではなく白髪混じりの超陽気な黒人でした。こっちだと1ダイブ4800円です。
さすがトバゴは海が売り物だけあって水はものすごく綺麗。黄緑色に光っていて俄然気分は盛り上がります。8人乗りくらいの小さいボートにレッドマンとボートマン(こいつも超陽気)と僕の3人で乗ってダイブサイトへ。雨季にもかかわらず天候にも恵まれて透明度はかなり良かったです。20m以上は見えてたと思います。サンゴがとにかくカラフルで種類が多くてサンゴを見てるだけで楽しかったです。黄色、オレンジ、赤、ピンク、青、紫、緑、とあらゆる色のサンゴがいました。ダイビング中は写真を撮ってないのでネットで拾ったダイビング写真から僕の潜ったダイビングにイメージが近いものをピックアップして載せているので、雰囲気を味わってください。
1本目に潜ったのがジャパニーズ・ガーデンというダイブサイト。潜ってみると確かに日本庭園のような趣があります。誰が名づけたのか知らないけど、上手いネーミングかも。砂地の上に適度に植物のようなサンゴと岩のようなサンゴが配置されていて、それが絶妙な趣を醸し出していました。
トバゴのダイビングは流れが強い所が多かったです。流れに乗って潜っている時はかなりのハイスピードで進んで行くのでカラフルなサンゴがどんどん後ろに流れていきます。ゴーッといううなるような音と一緒にカラフルな魚達と速い流れに身を任せて泳いでいると、まるで映画の中の世界のよう(最近宿のテレビで放送されていたファインディング・ニモを見たからか?)。途中狭い岩の間をくぐり抜ける所なんかもあり、スリルもあります。
今回は合計4本潜りましたが、ジャパニーズガーデン以外のサイトの名前は知りません。最後に潜ったところは世界で一番大きいといわれるノウサンゴ(脳みそのようなサンゴ)がありました。ノウサンゴって見ているとかなり不思議な生き物ですね。なんなんでしょうか、あの脳みそのような皺は。
あと、面白かったのがレッドマンがダイブ中に僕のことなどそっちのけで魚を捕ることに夢中になっていたことです。モリを持って魚を追いかける姿は、まるで宇宙空間で連邦軍の戦艦を狙うシャアが操る赤いゲルググのようでした(名前がレッドマンだけに)。かっこいいぞ!しかも見事に60cmくらいある銀色の魚をしとめていました。そうこうしているうちに1時間以上潜っていて、僕のエアタンクが空になりかけたこともあったけど。。。
生き物は、ウミガメ、ロブスター、カニ、タコ、バラクーダ(銀色の大きい魚)などが、今回初めて見れた者たちです。ウミガメは1.5mくらいあるでっかいのが岩の下でぼけーっと寝ているのと、シュノーケリング中に小さいのが泳いでいるのと、2回見れました。小さい方は僕が近づくと物凄いスピードで泳いで逃げていきました。亀のくせに速い。後、印象に残っているのは緑色の大きいウツボです。上を向いて目を見開いてひたすら口をぱくぱくさせてました。その姿がなんか発狂しているみたいでした。
ダイビングをしている以外の時間はビーチで海水浴をする地元の親子連れをぼんやり眺めたり読書をしたりしてのんびり過ごしました。トバゴ自体が、とても平和でのんびりとした空気が漂っているのです。最近はジョージタウンやポートオブスペインという治安の悪い町に長く滞在していたので、こういう雰囲気が新鮮に感じられるし心地良いフィーリングが身体に染み込んでくるようです。地元の人たちも親切だし気さくに話しかけてきたりして、物価が高いことを除けば、完璧なリラックスできる場所ですね。すっかり泥棒疲れは癒されました。
イギリスっぽい民家
さすがカリブ。ラスタマンがいっぱいでした。
今はトリニダードに戻ってきてメキシコ行きの飛行機を探しているところです。宿にインド人とアメリカ人のそれぞれ一人旅の旅行者がいます。インド人は24歳の若さで工場を経営しており、しかもそれは副業で本業はジャーナリストで、家はプール付きの大豪邸なのだそうです。さすが物価の安いインドから物価の高いカリブ海へ長期旅行に来ているだけのことはあります。アメリカ人がインドの文化にとても興味があるみたいで色々と質問していて、カースト制度やムスリムやシークとの関係など興味深い話が聞けました。とにかくインド社会は宗教による差別に満ちているようなのです。ヒンドゥーとムスリムの間の差別(というか対立。時には殺し合いになることも)、ヒンドゥー内のカーストによる差別。彼はカーストの中ではブラフマンという最も高いカーストにいるらしいのですが、友達も恋人も結婚相手も必ずブラフマンの中から選ばないといけないらしいです。もしブラフマン以外の人と結婚したら、社会から追放されるのだそうです。彼は過去に、それにも関わらずムスリムの彼女がいたらしいのですが、デート現場を見られると終わり(いろいろと)なので、毎回スパイ活動のように周到に人目の付かないところで会っていたそうです。また、ヒンドゥーにとって外人など異教徒はカーストが低いとみなしているみたいです。これを聞いて、なるほどと思いました。今までインド人と会うと妙な違和感を感じていました。それも少し不快な。白人や黒人やアラブ人や他のアジア人からは感じない何か違う不快な感じを。それは彼らが差別的な社会で生きることに慣れていて、外人に対しても同じように差別的な感情を抱き、それが視線や態度に表れていたからなのかも、と。インド人と長く会話をしたのはこれが初めてなので、本当のところは分からないけど。とにかく面白く興味深い会話でした。なんにせよインドに行くのが楽しみですね。
あまりにも長くここにいるのでだんだんと焦ってきました。早くメキシコに行きたいっす!