瞑想修行、エベレスト・トレッキング、美食、たくさんの旅友達との再会、と色々あり、合計8週間近くも滞在したネパールをついに出国して、みたびインドへ入国しました。ちなみに一カ国で8週間の滞在は、タンザニアでの5週間を抜いて一カ国の滞在期間最長記録更新です。
インドでは、ヒンドゥー教の大きなお祭りホーリーをヒンドゥー教の聖地バラナシで見るために、一路バラナシを目指しました。カトマンドゥからバラナシへはバスと電車を乗り継いで約28時間の道のりでした。
ホーリーというのは、みんなで街に繰り出して、色の水や色の粉をかけあって楽しむお祭なのだそうです。しかし、イスタンブールにいる時に、インドに詳しい旅人はこう言いました。
「バラナシのホーリーは凄い。この日は日ごろの差別の元となっているカーストが無くなるので、低カーストの人は日ごろの溜まっている鬱憤を思いっきり発散する。強盗・殺人・レイプは当たり前。外国人も当然狙われる。ホーリーの当日は街には人影がなくなり、警察も逃げ出し、宿の門も閉ざされるので旅行者は外に出してもらえない。」
それ以来、”バラナシのホーリー”というのは常に僕の頭の中にあったのです。そして、タイミング良く僕はバラナシにてホーリーの日を迎えることができました。
バラナシへ来るのは二度目です。今回は、ホーリーの他にも二つ大きな目的があります。一つは、前回来た時は真冬の1月だったので、寒くて出来なかったガンジス川での沐浴(地元インド人や根性ある旅人はその時期でもしてましたが。)。もう一つは、前回は泊まれなかった”伝説の日本人宿・久美子ハウス”に宿泊することでした。何といっても、久美子ハウスは、かの長淵剛やオウム真理教の麻原が宿泊したこともあるという、まさに伝説的な宿です。久美子ハウスには、ホーリー直前のチェックインだったけど、あっさりと無事宿泊できました。久美子さんも、想像していたよりも遥かに感じの良い人だったし、とても居心地は良いです。長淵剛や麻原が泊まっていた時の話も久美子さんから聞けて、すごく面白かったです。朝食と夕食は宿でみんなと一緒に食べるのですが、そのご飯も結構おいしいし、とても良い感じです。これで、僕が勝手に名付けている世界4大日本人宿を全て制覇できました。ああ、すっきりしました。(ちなみにその他の3つは、エジプト・カイロのサファリホテル、メキシコシティーのペンション・アミーゴ、トルコ・イスタンブールのツリー・オブ・ライフです。)
沐浴に関しても、あっさりとクリアできました。今のバラナシは日本の真夏並の暑さなので、川沿いを歩いていると川で気持ち良さそうに泳いでいるインド人達がとても羨ましくて、ついつい近くで見ていると、「おーい、日本人、一緒に泳ごうよ!」と今から川に入ろうとしているインド人達に誘われて、水着も何も用意してなかったけど、その場でパンツ一枚になって、一緒に泳ぎました。
ガンジス川の水は、それはもう、物凄く汚いです。ヒンドゥー最大の聖地であるにもかかわらず、インド人はガンジス川で、ゴミは捨てるし、洗濯はするし、食器は洗うし、体は洗うし、歯を磨くし、死体を焼いて灰を流すし、焼いていない死体をそのまま沈めたりするし、もう、なんでもありです。インド人は、ゴミや死体が浮いているすぐ側で笑顔で泳いだり、洗濯したり、ボートでデートしたりしています。日本人とは、感覚が根本的に全く違っています。日本だと、真っ白でパンパンに膨らんで死臭が漂う腐乱死体が川でプカプカと浮いていたら、腰を抜かすほどびっくりしますよね。でも、それがインドのガンジス川だと、まるで水草か何かが浮いてるかのように、みんなまるで関心を示さないのです。やっぱりインドってすごいですね。
まあ、そういう訳ですので、ガンジス川に顔は絶対につけたくなかったけど、一緒に泳いだインド人がふざけて水をかけてくるので、油断していた僕はもろに顔に水をかけられてしまいました。うをお、唇の隙間から川の水が少し口に入ってしまいました。うげえ、気持ちが悪い・・・。でも、インド人達は老若男女問わず、みんな平気で顔を水につけて気持ち良さそうに泳いでいます。そういえば、この川の水で歯を磨いたり、さらには飲料水として直接飲んだりしていますよね、あなたたち・・・。ほんと、インドってすごいですね。
ゴミだらけの川で沐浴し、神妙にして佇むインド人のおっさん
ゴミの溜まった川岸にて洗濯する(または石に服をたたきつける)人
ゴミが浮き、観光客向けボートが浮いている中で、食器を洗ったり沐浴したりするインド人女性
水牛もいたりします。
ああ、気持ちええ~
さて、ホーリーです。3月21日は前夜祭という感じで子供達が色水をかけあったりして遊ぶ日です。そして、翌日の22日が本番で、一年に一回、大人のインド人が酒を飲んで酔っ払い、全てのカーストが無礼講になる日です。いったいどうなるのでしょうか。期待と不安でワクワクします。(ちなみにインドの祭は太陰暦が元なので毎年日付は変わります。)
まずは、前夜祭の日、久美子さんから宿に置いてある要らない服を上下で150円で買い、色粉を水に溶かしペットボトルに入れて、子供との水掛合戦に向けて出陣しました。子供達は、毎年のことで慣れているし、人数も武器の数も多いし、散々色水を掛けられてしまいました。でも、まあ、たまに童心に返るのは楽しいですね。
さあ出陣!(2回目なので、もう結構色水で汚れている)
翌日は、怖いので外出せずにビルの屋上同士での色水爆弾合戦をしました。水風船やビニール袋に色水を入れて隣のビルの屋上同士で投げ合うのです。これも、インド人軍団に対して弾薬の数の多さで完敗していた僕ら久美子ハウス陣は散々インド人にやられました。でも、たまに隙を見つけて相手方のボスに爆弾が命中したりすると、してやったり!という感じになって楽しいです。まあ、当てられた方の相手ボスが逆に嬉しそうに太鼓をたたいたりするので、むかついたりもしますが。
相手方のインド人軍
一応一番左に座っているおっさんをボスということにして戦いました。
対する我ら久美子ハウス軍
弾薬不足で苦戦気味
色水合戦に飽きて、踊り狂うインド人達
踊るのに飽きると、また色水爆弾を投げてきます。
今年は、例年ほどはバイオレンスではなかったようなので、昼過ぎごろに外出しました。その頃には、すっかり”祭りの後”的な雰囲気で、インド人達の多くは帰宅中であったり、ガンジス川に入って体についた色水を落としたりしていました。でも、中にはまだまだ楽しみ足りない、まだまだおわらへんでえ、というインド人も結構いて、そういう人達が僕のような外人観光客を発見すると、思いっきり絡んできます。ホーリーでのインド人の絡み方は、1.まずは服を破り捨てる、2.色水がべったりとついた手で顔や体に色を塗りたくる(ついでに乳首をつねる)、3.それに飽き足らず直接色粉を掛けてくる、4.そして一緒に踊り、5.その後、「ハッピー・ホーリー!」と言って熱く抱擁する、という感じです。
そうすると、こうなります。
話で聞いていたような”強盗・殺人・レイプ”などは、僕の周りでは全くなかったし、むしろ平和な雰囲気で、みんなハッピーかーい!という感じの幸せなお祭りでした。
しかし、普段飲み慣れない酒に飲まれてしまいおかしくなったインド人もたまにいました。川沿いを歩きながらそろそろ宿に帰ろうかと言う時、手に牛の糞をたっぷり持ったインド人が「ハロー、ジャパニーズ!カモーン!ハッピー・ホーリー!」といいながら、こっちに走ってきます。もちろん全速力で走って逃げました。振り返ると、そいつはまだこちらを狙ってしつこく近づいて来ます。すると、後ろからそいつに忍び寄った別のインド人が、そいつの頭に思いっきり牛の糞を擦り付けました。いったい何をしているんだ・・・。そのどさくさに、僕はこっそり逃げて無事に宿に帰れました。いやあ、まったくもって、インドってすごいですね。