
例えば観光地。「もうそこは、以前に行ったからもっと別のところへ行ってみたい。」という人は結構多いですね。フロンティア型と呼ぶべきか、征服型と形容すべきか。何度も記していると思いますが、私は前に行ったところをもう一度訪ねたいと思うクチです。昔、訪れた頃の気持ちをなぞってみたい。どうもベクトルが過去に向いているタイプ。回帰型とでも呼びましょうか。そうして、訪れるたびに少しずつこの土地に愛着がわいてくる。その土地が自分の頭の中で整理できるようになり、少しずつ好きになってきます。
山陰の松江を訪ねるのは、ちょうど6年ぶり。6年前にこの近辺を訪れたときのことはこのブログにも記しています。
13年目の車検間近のクルマが米子道から松江にへたりこんで、停めたのが島根県庁の駐車場。休日は県庁が閉庁で、来客用の駐車場が観光客に無料で開放されるのだそうです。なんと太っ腹なこと。私の住む県の庁舎駐車場は、休日は観光客相手にしっかり料金を取っていますよ。秋の行楽シーズン、松江城近辺はもっと混雑しているものと覚悟していたのに、心配するほどではありませんでした。島根県庁舎の横を歩いてお堀まで行く途中、面白いものを発見。
島根県では県庁を見学することを参観と呼ぶんでしょうか。そういえば、18の年に訪れた松江市だったか、出雲市だったかで、「月決駐車場」という言葉を見て驚いたことがあります。その土地その土地に変化があるのは楽しいことです。
近頃は私も少しずつ興味の方向が変わってきたようで、堀川めぐりの遊覧船に乗ってみることにしました。一人旅です。以前なら絶対乗らなかったはず。堀をめぐる船を撮影するには、船に乗っても仕方がないと考えるタイプです。それが乗ってみる気になったなんて。一周約50分。楽しかった。船頭さんの穏やかで優しい語り口がよかった。また低い橋を通過するために、屋根が電動で下がる仕組みになっているのですが、乗客も姿勢を低くすることを命じられます。
乗客は出発前に稽古をさせられます。乗客にもちゃんと任務があるというのが運命共同体としての一体感につながります。船の幅ぎりぎりしかない狭い水路の橋もあり、通過した後思わず拍手をしてしまいました。他の乗客もつられて拍手。住宅街を通るときは、「静かに」なんて看板があって、名物の船頭さんの案内も一休みになります。団体で乗り込んだりしたらどうしてもお祭り気分になりますからね。英語、中国語、韓国語で書かれているところを見ると外国からのお客さんがうるさいのかな?私たちの船は紳士淑女の集まり。静かなものです。
堀端には四季折々の花が咲くように手入れしてあるのですが、ちょうど端境期なのか、花が少なかったのが残念なところです。堀に水上茶席も作られています。和服の女性がたくさん。優雅な雰囲気です。
帰宅してから気づいたのですが、この切符は一日乗船券と書かれています。その日なら何度でも乗り降りできたのですね。団体予約の船は別として、遊覧船は運行時刻が決められている、いわば路線バスのようなものだそうです。ですから、お客さんが1人もいなくても走らせるのだとか。船頭さんに教えてもらったことに、松江の瓦は、全国と反対で「逆への字」になっているんですって。
松江っていいところだなぁ。
(つづく)
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