イスラエル旅行記

旅行記が完成したので、あとは普通に。、

32.受胎告知教会 

2006年09月03日 | Weblog
 今まで聞いたこともなかった新しい知識が、脳みそを駆け巡って落着く場所を探しているような、そんな気分でした。まもなくナザレに到着です。バスを降りて少し坂道を歩きますと、右手前方にとんがり帽子の屋根をした教会が見えます。中に入る前にアベ・マリアの頭文字、AとMを表している場所を教わりました。正面の壁にAの形がデザインされており、門の形がMになっています。

「この教会はですね、マリヤがお告げを受けた洞窟の上に建てられたものです。中に入りますと、真ん中の祭壇の所にその洞窟があって、岩がむき出しになっていますから、よくご覧になってください。この建物自体は1969年に完成したもので、中近東最大のモダンな建物といわれております。それではどうぞ中にお入りください」
 暗いせいか、賛美歌が厳かに聞こえて、お腹の底に響きわたります。ちょうど巡礼者のミサが行われていて、今回もお告げのあった洞窟の近くまで行けなかったのが残念です。

 2階は大きな礼拝堂になっていて、回りの壁には世界の国々から贈られたという、とても大きな聖母子の絵がはめ込まれていました。それぞれのお国柄が出ていて興味深く、日本から届けられたのは真珠をはめ込んだ「華の聖母子」、長谷川路可の作品でした(写真)。各国の豪華な聖母子を見終わって、最後にとんがり帽子の天井を見上げます。
「わあ、きれ~~い」
「おりがみ細工のようね」
 透き通るような、飴色のヒダが清楚で美しく、から傘を広げたように繊細です。
「これねえ、ユリの花をイメージして作られたんですって」
「そう? ユリの花言葉って何でしたっけ?」
「それは知らないけど、ここのは聖母子の象徴だって書いてあったわ」
 
 ひそひそ勝手なことをしゃべりながら、そのまま2階の出口から中庭を抜けて、聖ヨセフの教会に行きました。階段を下りて洞窟の中へ入りますと、ビザンチン時代の地下の礼拝所やぶどうを作った所、またサイロ等があり、さらに大工ヨセフの仕事場、もしくは聖家族が住んでいたと思われる住居跡までありました。
「あぁ~、かつてはイエスがここで・・・・」
 込み上げてくる一瞬です。

※関連写真:2006/12/3、2007/1/4
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31.ナザレ

2006年09月03日 | Weblog
 メギドを後にして、ナザレの受胎告知教会へと走ります。旧約聖書には一度も出て来ないナザレ・・・。当時としては大して重要ではない、目立たない町だったのかも知れません。ぐんぐん坂を上って走ります。

「ええと、みなさん、右手に崖が見えてきました。あれは「突き落としの崖」といってですね、イエスがナザレの教会でイザヤ書を読んで説教した後、人々は彼の言葉に怒って突き落とそうとしたという、あの崖です」(ルカ4:16~29参照)
 みな一斉にカメラを向けます。
「ナザレは海抜350mのガリラヤの丘陵に位置していまして、現在、人口4万5千人のアラブ人の町となっています。発掘によって、受胎告知教会と聖ヨセフ教会の間の地下からですね、いくつかの洞窟、ぶどうとオリーブの臼、水槽、穀物貯蔵用のサイロなどが発見されました。
「へえ~」
「そのことからですね、ナザレの町は、古くから農業が盛んだったのではないかと、言われております。確かにイエスのたとえ話には、農業に関係あるものが多いですよね」
「ん~、なるほどな」
「ナザレは、みなさんがよくご存知のように、マリヤが聖霊によって身ごもったことを告げられた町であり、また、イエスが伝道活動を始めるまでの30年間、両親と共に過ごした町でもあります」
 みなうなずいています。
「さて、このナザレの町で、イエスの墓を警備したことに関係のある碑文が発見されました。墓泥棒の碑文と呼ばれていまして、紀元10年頃にギリシャ語で記されたものを、次のように訳されています。
『皇帝の命により次のことを要望する。父、母、子供、親類にせよ、その死者に対する尊敬の払われたすべての墓は、永久に荒らされないように保存すべきである。死体に手を出したり、悪意で棺や墓石を動かす者は誰でも、神と人間との法を侵害する者として告訴されるであろう。その死体には、大きな尊敬が払われるべきであり、誰も合法的にそれを動かすことはできない。そのような犯罪を発見された者は墓泥棒として死刑に処せられるべきである』
というようなことですね。ですから、ピラトはですね、イエスの墓を整備するように手配した時、この『皇帝の命による法律』をよく知っていたであろうと言われております」(マタイ28:11~15参照)
 みな深く感じて、言葉も出ないようです。
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