イスラエル旅行記

旅行記が完成したので、あとは普通に。、

39.山上の垂訓の山 B

2006年09月07日 | Weblog
 さて、昨年12月のことです。単純な疑問が生じました。
『マイクもないのに、こんな広い場所で?・・・・おびただしく集まった群衆に、果たしてイエス様の声が聞こえただろうか。山の斜面に座っている男性だけでも5千人、女性や子供を入れると、一万人以上の人がいたって言うのに・・・』(マルコ6:44、マタイ14:21参照)

 そういう私の気持ちを見抜いたかのように、山を下りてからバスの中で説明がありました。やはり同じ疑問を投げかけた人がいたそうです。しかし、ガイドさんの説明にコロッと納得しました。つまり、こういうわけです。
「そこである学者がですね、この斜面に実際3千人の人たちを集めまして、ガリラヤ湖の岸辺から簡単な言葉を発してみました。するとその結果、全員が正しく聞き取りましたので、聖書にあることが実証されたわけです。これはですね、がリラや湖から吹く風が、自然の拡声器になったんですね」
 そういえば、カイザリアの円形劇場も、アテネのそれも、地中海の風を利用するように出来ていました。一つの疑問を通して、人間がいかに自然から学び、いかに自然の恩恵にあやかってきたかを、改めて知らされた思いです。それにしても、発掘された遺跡を当時と同じように使うなんて、イスラエルもギリシャも洒落ていると思いませんか。
 
 さて、今年の話に戻りましょう。散策が終わって正門に戻ると、いつの間にか出店が開店していました。倉田さんのおっしゃるように、安くて良い品があります。小室さんの奥さんから一口飲ませていただいた、あのザクロの生ジュースは最高でしたね。
 そういえば昨年の冬、また昨年の話になりますが、ご一緒だった西浦さんが、ここで買ったイナゴ豆をかじっていたので感想を聞くと、味は天津甘栗に似ているが、たくさん食べるほどには美味しくないと言ってました。収穫前なのでしょうか、今回はありませんでした。
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38.山上の垂訓の山 A

2006年09月07日 | Weblog
 【写真:祝福の山の教会】

 ガリラヤ湖に沿って北上し、右へ左へ繰り返し曲りながら、祝福の山、すなわち山上の垂訓の山に着きました。頂上に見える8角形の建物は、1938年に建てられたフランシスコ教会です。バスを降りて正門を進むと、花が咲き、鳥が鳴き、オレンジ色のなつめやしの実が、たわわに生っています。実りの秋です。
 昨年の夏には強い陽射しを浴びながら、また冬には、寒さに震えながらここを通ったのを思い出しました。観光客もこんなにはいませんでした。今年は朝一番で来ても、もう10台のバスが身動きできないほど、ひしめき合っています。
 あちらこちらから巡礼者の賛美歌が流れ、宗派も国境も越えてみな「ひとつ」になっている喜びがただよっています。この雰囲気はソルトレークの総大会を思わせました。ガイドの倉田さんは、教会の入り口から少し離れた所に私たちを集め、聖書を読みながら説明して下さいます。
「ええとですね、マタイの5章から7章まで、イエスはここで、この山で群集に語ったと伝えられています。そこのところを少し聖書を読んで見ましょう。
*こころの貧しい人はさいわいである。天国は彼らのものである。
*悲しんでいる人たちは、さいわいである。彼らは慰められるであろう。
*柔和な人たちは・・・・、
*あなたがたは、地の塩である。もし塩のききめがなくなったら、何によってその味が取りもどされようか。もはや、なんの役にも・・・・」

 ある人は頭を下げ、ある人は目を閉じ、またある人はビデオを撮りながら、倉田さんの説明に導かれて、誰もかれもみな、当時の世界にタイムスリップしているかのようです。現実には倉田さんの声を聞きながら、魂の世界ではイエス様の足元にひれ伏しているのです。
「みなさんの、右手の奥の方にですね、湖に向かってなだらかな斜面が広がっていますが、そこにおびただしい群集が座って、イエスの教えを聞いたであろうと伝えられています。またイエスが十二人の弟子を選んだのも、この山であろうと言われております」(マタイ4:25、ルカ6:12~16参照)

 そう言ってまた聖書を読まれました。その後、20分の自由時間をいただき、足の向くまま気の向くまま、そうぞれに散策を楽しみました。私も歩きながら小さく声を出して、「主よ、天にます父よ・・・・・」と何度も祈りました。
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37.朝のひととき B

2006年09月07日 | Weblog
「涼しそうですね。半袖を持って来られたんですか」
「ああ、これね。夕べ作ったんだよ。携帯用のこんな小っちゃいハサミがあるだろう。あれで袖を切れっていうもんだからサ・・・。切れったって、あのハサミじゃ、おれの指が入らないわけよ」
「それで、どうしたの」
と私がまた訊ねます。
「ま、こんな風にチョビチョビと、えらい苦労をしたよ」
「なんて羨ましい! ご主人が切って、奥さんが縫ったのね」
確認するとご主人の答え。
「いや、縫うのもおれがやったんだよ。自慢じゃないけど、ほとんど徹夜サ」
 大爆笑です。2センチの刃を含めても、全体の長さが8センチしかないあのハサミを・・・あの太い指がまあ・・・想像するだけで、お腹がよじれてしまいます。でもその間、奥さんはせっせと洗濯をしていたというから、やはり仲良し夫婦の旅っていいですね。

 やがて朝食をすませ、出かける準備をして再びロビーにいますと、いきなり背後から、
「ねえ、これどう?」
と小室さんの奥さんの声。振り返ってこれまたビックリしました。いつのまにか二人とも揃いのTシャツ姿なのです。腹部に描かれた、ガリラヤ湖となつめやしの木が、いとも涼しげです。
「ね、ね、どうしたの? どこで買ったの?」
「ほら、そこの売店で・・・これじゃおかしいかな」
「いえいえ、素敵です。私も買って着替えるわ」

 ところが、私が着れるサイズは売り切れで、仕方なく今日も長袖をめくり挙げて過ごすことにしました。いよいよ2日目の見学開始です。日本を経ってから3日目になります。バスにエンジンがかかりました。もう一晩ここに宿泊するので、部屋の荷物をそのままで行けるのが嬉しく、何となくイスラエル人になったような気分です。いざ祝福の山へ、バスが動きました。
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