イスラエル旅行記

旅行記が完成したので、あとは普通に。、

71.シナイ山のふもと

2006年09月30日 | Weblog
 【写真:次の朝、シナイ山を下りてから】

 さて、水を十分補充して、更に長い時間走り、シナイ山のふもとに着いたのは何と夜も8時を過ぎていました。タバの通関手続きがもっとスムーズになされていたら、6時ごろには着いていたかも知れません。とにかく真っ暗です。向こうにかすかな明かりが浮いて、目が慣れると、周りは覆い被さるような岩山で、息が詰まりそうです。
「さて、どっちを向いてもホテルらしい建物はみえませんね」
「あの、明かりがそうじゃないの?」
「だって、あれはレストランでしょう? 一階建てよ」
「おかしいわね」
 そうなんです。ここで私たちの常識にヒビが入ったんです。普通ホテルと言えば決まってるじゃないですか。夜になると明かりがついて、入って行くとフロントがあって、少なくても5階以上はありますよね。それがないんです。それらしきものは何にもないんです。とにかく倉田さんと泉さんの後から、羊のように付いて行きました。やはりレストランです。バイキング料理を好きなだけ食べた後、倉田さんから部屋の鍵を受け取り、明日の予定を聞きます。もう9時を回りました。

「明日は・・・・・といっても、あと5時間しかありませんが、夜中の2時に出発です。バスの所に集まってください。いいですね。3時間半かけて登りますから、くれぐれも水を忘れないように! モーニングコールは1時にします。心配な方は、今から着替えていただいて、着たまま休んだ方がいいかも知れませんね」
 それから外へ連れ出されて、しばらく歩きました。うっすらと目に入ったのは、自然の丸石を「雷おこし」のように積み重ねた一軒家。それがいくつもいくつも、都営住宅のように並んでいるのです。そう、それがホテルだったのです。

 さて、小室夫妻と私と児玉さんが同じ家の番号を持っていました。星明かりの中を案内人の後からついて行きます。玄関を入ると、ベッドルームが二つと、広いリビングルームがありましたが、どこを探しても電話がありません。
「誰か起こしにくるんじゃないの? もう寝ようよ」

 遅いからと、とにかく登山の準備をして、床に入ったのが10時半過ぎ。果たして1時に起きれるだろうか。2時間半の睡眠で、その後ずっと3時間半も歩き続けるなんて、私に出きるだろうか。
「父よ、熟睡できますように、祝福してください」
 毛布の中で両手を組みながら、いつの間にか眠りの底へ落ちて行きました。
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70.ヌエバで水の補給

2006年09月30日 | Weblog
 【絵:荒野で生きる人たち】

 エジプトのバスに乗り換えて、紅海のエーラット湾を左手に見ながらフルスピード。通関手続きで遅れた2時間を、どのように取り戻すのか、ただ走るしかないでしょう。お国の事情なのでしょうか、たまたまそうだったのでしょうか、バスはイスラエルの方がずっと快適だし、運転手もイスラエルの方がフレンドリーです。

 さて、ヌエバという町に着いた時は、ほとんど日が沈みかけていましたが、水の補給のため、ここでしばらく休憩のようです。町と言っても私たちにはピンときませんが、荒野を基準にしますと、確かに町と言えるかも知れません。なにしろ、周りは世界の果てまでも続いているかと思われる荒野です。
 バスを降りて散歩しながら、背を伸ばしたり、写真を撮ったりの自由行動です。ラクダが、犬や猫のように狭い路地を行き交い、軒下の地べたに、民族衣装のアラブ人がごろごろと座っている様は、まるで「おとぎばなし」の絵のようでした。
「♪つきの~~さばくを~~は~る~ばると~~♪」
思わず鼻歌が出てきます。これこそロマン、セピア色の夕闇に点り始めた、一握りの町の明かり・・・・その中に小さなスーパーマーケットが一軒あって、そこで倉田さんが水を補給しています。一緒に店を覗いてきた鈴木さんが言うには、臭くて中にいられなかったとか・・・。
 みなそれぞれに気分転換をして、異国情緒を満喫しておられるようです。子供のころ、絵本で見た人々や風景の中に、今、自分がいる不思議、説明のしようがありません。

 近くの家の前に、ソドムのりんごと言われる木を見つけました。りんご状の青い実がなっていますが、猛毒な上、中身は空っぽで、果肉は全く無いそうです。死海の周辺に多く、地元の人は「これこそ神の呪いだ」と言っているとか・・・・。確か、マサダの入り口で見ましたが、それがここにもあったのです。私にすれば以外な発見でした。
 聖書の中の「ソドムのぶどうの木」(申命32:32)と言うのは、これではないかと言われているそうです。
                  
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