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竸基弘賞授賞式 オンラインで開催される

2021-01-13 23:16:55 | ニュース
 特定非営利活動法人 国際レスキューシステム研究機構(神戸市長田区)が、1月13日午後、第16回竸基弘賞の授賞式をオンラインで開催した。竸基弘賞は、レスキュー工学を担う若手研究者や技術者を奨励するもので、阪神・淡路大震災で亡くなった神戸大の大学院生にちなんで設けられたもの。学術業績賞は坂東宣昭さん、技術業績賞は干場巧太郎さんがそれぞれ受賞した。<塚本光>


(画像:オンラインで行われた第16回竸基弘賞授賞式。)

 震災10年にスタートした「竸基弘賞」は第16回を迎えた。
 国際レスキューシステム研究機構の田所諭会長は、「社会にどのように実践していくか。それをみなさまと協力していきたい。今後とも活動への協力をよろしくお願いします」と述べた。来賓の兵庫県立工業技術センターの北村新三特別顧問は、「研究機構の皆様や受賞者の方たちによって壁は打ち破られると思っています」とオンライン上で語りかけた。

 授与式では、賞状等の授与もオンラインで行われた。
 「ドローン聴覚を用いた音による被災者探索に関する研究」で技術業績賞を受賞した神奈川大学工学部電気電子情報工学科助教の干場巧太郎さんは、いかに早く被害者を探せるかということでドローンに着目したが、カメラに映らない人は探査できない。ロボット聴覚を使えば、音で探査できると着想を語り、「ロボット聴覚はまだあまり知られていない。これを機に発展させていけたらと思う。私の研究もまだまだ発展の余地があるので、研究を続けていきたい」と述べた。
 また、「レスキューロボットのための音響自己位置推定と音声強調に基づく極限ロボット聴覚の開拓」で学術業績賞を受賞した理化学研究所客員研究員の坂東宣昭さんは、「レスキューロボット聴覚を開拓できたのではないか。自分の出しているモーターの音以外のみを聴くことができればモーターを止めずに効率的にできるのではと思う」と記者の質問に答えた。

 松野委員長は、コロナ禍のもとでのレスキューロボットの重要性について、「対面でない作業ができるし、遠隔でできる。レスキューロボットで培った技術を(コロナ禍の社会で)発展させていけたらと思う。非常時のためのものだと非常時しか使えずまずい。日常でも使えるというコンセプトが重要だと思う」と語った。

【授賞式サイト(記念講演)】http://www.rescuesystem.org/kisoi16_ceremony/

 学術業績賞、技術業績賞以外の受賞者は以下の通り(敬称略)。
▽スキューロボットコンテスト奨励賞アイデア賞=「大工大エンジュニア」大阪工業大学モノラボロボットプロジェクト。
▽レスキューロボットコンテスト奨励賞スピリット賞=「MCT」松江高専 機械工学科。
▽レスキュー工学奨励賞=電気通信大学 渡辺亮太。

 IEEE IROS 2020 Best Paper Award in Safety,Security, and Rescue Robotics in memory ofMotohiro Kisoiの受賞者は以下の通り。
▽IEEE IROS 2020 Best Paper Award in Safety,Security, and Rescue Robotics in memory of Motohiro Kisoi=Amanda Bouman, Muhammad Fadhil Ginting, Nikhilesh Alatur,Matteo Palieri, David D Fan, Kim Sung-Kyun,Thomas Touma,Torkom Pailevanian, Kyohei Otsu, Joel Burdick,Ali-akbar Agha-mohammadi 「Autonomous Spot: Long-Range Autonomous Exploration of Extreme Environments with Legged Locomotion」

 
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 竸基弘賞は、阪神・淡路大震災で下宿アパートが倒壊し下敷きになって亡くなった、当時、神戸大の自然科学研究科博士前期課程1年だった竸基弘(きそい・もとひろ)さんにちなんで設けられた。
 国際レスキューシステム研究機構の副会長で、競基弘賞選考委員会の松野文俊委員長は、当時は竸さんの所属する研究室の助教授だった。授賞式の最後に竸さんの思い出にふれ、竸基弘賞の設立の経緯を述べて式を閉じた。

 当時自分の勤めていた神戸大学工学部システム工学科では成績の優秀者は、希望の研究室に入ることができ、そこで自分の研究室に入ってきたのが竸くんだった。青春を謳歌しながら研究もしている笑顔の似合う学生だった。
 センター試験の日にスキーに行ってきますといって、その翌々日に阪神・淡路大震災が起こった。
 私は大阪の池田に住んでいたが、揺れを感じ立って荷物が落ちてこないように支え、もう一度眠りに入った。大学に行かないといけない日だったので、朝起きてテレビを見ると電車が止まってるな、くらいだった。しかし、だんだん大変な状態がわかってきた。
 電話をかけようとするが、かけても繋がらなかった。神戸が大変になっていることがわかってきた。現地に行こうとしたが、電車も止まっていたので、どうしたらいいかと思っていた。
 翌日、西宮北口まで電車で行った。十三は普段と変わらなかった。尼崎から状況が変わっていった。大変なことになっていた。
道のないところは線路伝いに歩いたりして三宮の方向に歩いて行った。私たちの研究室の学生たちが全員無事だと聞いたので、軽装だったこともあり一度引き返した。
 後日、一本の電話があった。電話口の向こうから予期せぬ『竸君が亡くなりました』という言葉が聞こえた。
 竸くんのご両親に頼まれ、死亡診断書を受け取り、実家のある名古屋でお渡しした。お葬式にも参列した。明日のことを考えるのが精一杯な生活の中で、取り壊されることになった下宿跡で遺品を探した。
 更地になったアパートを見て私は何をしているんだろうかと思うようになった。私たちは彼の想いを受け止めて、人を助けるというのもロボットとしての大事な側面だということで、貢献があった方を表彰するという形で広めていこうということになった。

【関連記事】
「慰霊碑の向こうに⑧ 故・竸基弘さん =母・恵美子さんと妹・朗子さんの証言=」
 https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/bbbdb927d2917cdde7834b73e8dfd2b4





1月17日のサンテレビ震災特番 神戸大の遺族記録も紹介

2021-01-13 12:18:51 | 阪神・淡路大震災
 サンテレビが阪神・淡路大震災関連の特番『バトン1.17』を放送する。今年は、神戸大生の長男を震災で亡くした白木利周さんの足跡や、ニュースネット委員会の震災遺族のインタビュー記録活動にスポットを当てる。またパンデミック社会での避難をどうするか、神戸大名誉教授の室崎益輝さんの知見を解説するコーナーも。1月17日(日)17時から19時。スタジオゲストは、元NHKアナウンサーの住田功一さん(1983年経営学部卒)。

 『バトン1.17』は、阪神大震災26年を迎える兵庫県内の動きとともに、遺族の思いや震災を伝える若い世代の思いを伝える。

 阪神・淡路大震災を後世に伝える役割を果たした人たちが相次いで亡くなった。
白木利周さんもその一人。震災で、東灘区御影町郡家大倉の自宅が被災。経済学部Ⅱ課程3年だった長男・健介さん(当時21歳)を亡くした。
 2002年から2年間、NPO法人 阪神淡路大震災117希望の灯り(略称HANDS)の初代の理事長つとめるなど、震災遺族の交流と情報発信に力を尽くしてきた。番組ではその足跡に触れる。

 一方、震災の記憶や教訓を次世代に継承することも課題だ。神戸大の報道サークル「神戸大学ニュースネット委員会」の学生はコロナ禍のなか、オンライン取材で遺族のインタビューを続け、情報を発信している。その活動の様子も番組が取材している。

 また、パンデミック社会で地震が起きた場合の避難をどうするか、神戸大名誉教授の室崎益輝さんの知見を解説するコーナーや、都市安全研究センター・飯塚敦教授によるスーパーコンピューターを活用した災害シミュレーション、附属図書館の震災文庫にサンテレビジョン撮影・制作による阪神・淡路大震災関連映像公開についても紹介される。

 このほか、若い世代とともに追悼行事を続ける神戸市須磨区の遺族や、歌い継がれる「しあわせ運べるように」を作詞・作曲した小学校教諭の活動なども紹介される予定だ。

●番組名=『バトン1.17〜パンデミック時代のあなたへ』。
●メディア=サンテレビジョン。
●放送エリア=兵庫、大阪とその周辺。
●放送時間=2020年1月17日(日)17:00〜19:00。
●司会=藤岡勇貴サンテレビニュースキャスター、小松田梓左ディレクター兼リポーター。
●ゲスト=住田功一元NHKアナウンサー。
●番組サイト=
https://sun-tv.co.jp/shinsai117/shinsai26