古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

風邪と抗生剤

2014-01-22 15:17:49 | 日記
明けましておめでとうございます。

古森病院@福岡市博多区です。

さて福岡市は先週くらいからインフルエンザが外来で見受けられるようになりました。
以下は福岡市内の学級あるいは学年閉鎖の資料です。
http://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokenyobo/life/kansenjyoho/kansen_houdou/flu_kyugyou/flu_kyugyou201312012_1_2_2_3_2_2_2.html

東区に多く見られるようです。
インフルエンザの定点報告(医療機関からインフルエンザの確定あるいは疑い診断となった患者さんの数を一週間まとめて
市に報告し、市が取りまとめて発表するもの)は学校の学級または学年閉鎖報告情報より遅れる傾向がありますので
こちらのほうが早い情報となります。

ところで この寒い時期になると決まって患者さんから受けるリクエストがあります。
それは・・・

「抗生剤(抗生物質)って頂けないんですか?」

いわゆる風邪といわれる疾患はほとんどがウイルス性のものと言われています。
抗ウイルス剤が開発されているウイルス性疾患は限られており、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、HIVウイルス、ヘルペスウイルスに
対するものが代表的ですが、これらのウイルスはほっておくと命に関わることもあって開発されているのであり、通常のウイルスに対しては
そこまで害がないので、薬も研究されていません。抗生剤は細菌を中心に増殖を抑える薬物であり、ウイルスには効果はないとされています。
また抗生剤は乱用すると、いざというときに効果が無くなります。細菌も生き物ですから、生存して子孫を残さないといけないので
耐性菌という抗生物質が効かない菌へと変化していくためです。これはウイルスにも同じことがいえ、処方頻度の高いインフルエンザなどでは
タミフル耐性のウイルスがちらほら報告されています。


従ってウイルス性の風邪と思われる患者さんには、説明して抗生剤は基本的に出さないようにしています。
諸般の事情で希望が強いときには、その方が以前使用した既往のある抗生剤を出して、いろいろな種類の抗生剤を同一の人が飲まないように
しています。抗生剤の処方希望の強い方に 私自身が適応がないから抗生剤を何が何でも出さない としても その患者さんは当院受診後に、
ほかの医療機関で抗生剤をもらう可能性が高いからというのも理由の一つです。

私自身のことを言えば、医者になってから抗生剤は飲んだことがないです。
風邪薬さえもあまり飲みません。
理由は簡単で、「薬がキライだから」。
注射も痛いので嫌いです。(子供のような理由ですが・・)
タミフルは仕事柄、予防内服することがあります。これも本当はしたくないのですが、患者さんに移しては一大事ですので
止むをえません・・・

ということで、皆様、抗生剤は気軽に飲まないようにしましょうね。
院内感染対策をしよう!と叫ばれて久しいですが、抗生剤の使用頻度の少ない病院は、
ばい菌検査をするとばい菌に効く薬がたくさんあって、感染対策の優れた優秀な病院とされているような時代です。

以上、古森病院でした。
ホームページ  http://komori-hp.cloud-line.com/


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする