古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

One healthの取り組みについて

2017-10-10 15:01:38 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

今日は、薬剤多剤耐性菌(複数の抗生物質の効かない菌)についての対策の1つの試みをご紹介いたします。


~One healthの取り組みについて~
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日本環境感染学会ホームページより
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=158

「人と動物の一つの衛生を目指すシンポジウム-人獣共通感染症と耐性菌-」開催のお知らせ

(このシンポジウムはすでに終了しています)

 厚生労働省からのお知らせです。エボラ出血熱や中東呼吸器症候群(MERS)などの、動物から人へ、人から動物へ伝播可能な感染症(人獣共通感染症)は、全ての感染症のうち約半数を占め、医師及び獣医師は活動現場で人獣共通感染症に接触するリスクがあります。こうした分野横断的な課題に対し、人、動物、環境の衛生に関わる者が連携して取り組むOne Health(ワンヘルス)という考え方が世界的に広がってきています。
 第1回となる今回のシンポジウム(2016年3月20日)では、ワンヘルスの考え方で取り組むべき課題の具体例として、世界的にも問題視されている薬剤耐性問題について取り上げます。入場は無料です。医療関係者や衛生関係者の方、人獣共通感染症に関心のある方を対象としております。下記申込用紙に必要事項を記載の上、お申し込みください。
 お申し込みいただいた方には、参加証をお送りいたしますので、当日忘れずにお持ちください。なお、申込は先着順で定員になりましたら締め切らせていただきます。

厚労省ホームページより
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138883.html(上記シンポジウムの開催要項 資料)

上記シンポで使用されたスライド
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000121426_1.pdf

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耐性菌発生は 抗生物質の過剰投与に伴う副産物ですが
養鶏場や牧場、魚の養殖場など畜産、養殖の幅広い分野で
家畜や魚の集団感染による大量死亡を防ぐため、

集団感染が発生する前に、抗生物質を多量に家畜や魚の餌に混ぜて与えることがあります。(これを予防投与と言います)

抗生物質の予防投与により発生した耐性菌は
食物連鎖によって、
最終的に人間の体内に持ち込まれることから 
人間のみならず、
人間以外の動物への抗生物質の使用についても
見直すべきだというのが 
最近の耐性菌対策の分野のトピックスで、

耐性菌対策だけではなく
高病原性鳥インフルエンザなどを初めとする
人畜共通感染症への対応も含めて
医師、獣医師等が共同して 人畜共通の
健全な公衆衛生システムを確立しようという潮流を 
今風に
one healthと呼称しているようです。

管理人がかれこれ17年ほど前に
広島に居住していたころ、

当時の職場の業務命令で某製薬会社後援の
講演会に行かされ(100人近く出席者がいました)

冒頭 後援されている製薬会社の営業の方が
その製薬会社の発売している ある抗生物質の宣伝を
15分ほどされ、
「この抗生物質は腎臓を通過してもほとんど分解されず、そのまま体外に排泄されるので
尿路感染症に非常に効果が高い」という趣旨のプレゼンテーションをしておられました。

その抗生物質宣伝の質疑応答の場面で 
そのプレゼンを聞いておられた一人の男性ドクターが立ち上がり
「そんな薬を発売して、瀬戸内海の魚が汚染されたらどうする!!
(薬が分解されないまま下水道に流れ、最終的に海にいくため)」
と発言され、会場は爆笑に包まれましたが、

(製薬会社のプレゼンターは「そこまで売れたら本望です」と切り返しておられました)

若かった管理人は「なるほど、そういう考え方もあるのか」と非常に感銘を受けました。

この話題を聞いたときに、その時のことを昨日のことのように画像で鮮明に思い出しました。
あのドクターは時を経てこのニュースを聞かれ わが意を得たりと思っておられるでしょう。

http://komori-hp.cloud-line.com/

今週号の感染症エクスプレスにて
One healthのことが載っておりましたので 追記いたします。

◆「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2017」を公表しました(2017年10月18日)

 ヒト、動物、食品、環境といった垣根を超えた「ワンヘルス」としての薬
剤耐性に係る統合的な動向調査の重要性が指摘されています。 薬剤耐性ワン
ヘルス動向調査に係る技術的事項について検討することを目的として、今年
より、薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会を開催しています。
 同会議において、「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2017」が取り
まとめられました。本報告書が、我が国の薬剤耐性(AMR)に係るワンヘルス・
アプローチの取組を国内外へ示す第一歩となり、さらには、AMRに関する対策
及び研究を進めるにあたって、関係府省庁、関係諸機関・諸団体に本報告書
を活用していただければ幸いです。

<薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2017>
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000180888.pdf

<薬剤耐性(AMR)対策について>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html



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