古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

経口摂取再開できた方々(当院編)

2018-03-07 12:27:37 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

当院には 急性期病院あるいはリハビリ病院ないし亜急性期病院からの転院で
「嚥下テスト不良(内視鏡下あるいはレントゲン透視下の造影剤などの経口投与にて 
嚥下運動が不十分なために、飲食物が胃腸にいかず、肺のほうに流れこむケース)ですので
経口摂取は難しく、経管栄養(あるいは点滴)となり、諸般の事情でおうちに帰れませんので
あとは療養病床でよろしく」と言った主訴の患者さんが結構おられます。

その中の1割未満ですが、当院にて経口摂取が可能になった方がおられます。
その方々の共通点ですが

①当院に来られてのち 覚醒が上がってきて
②発声がしっかりしている(会話の内容は問わない)
③他の方が食事をされているのを 羨ましそうにご覧になる、指さす、催促する
④(発熱(呼吸器由来)や痰、咳がほとんどなく、SpO2は95%越え(室内気下)が望ましい)

この4つの条件を満たしたら、お茶ゼリーから初めて(職員の目の行き届く昼食から開始)
バイタルサインを見ながら 段階的に食事を開始し、大抵は
成功します。その時期がどれくらい続くかというのは
人それぞれですが・・・。
また食事を再開と言っても、大抵は脳卒中後だったり、
安静を強いられて 手足が思うように動かない方が多く、
通常食までのアップは難しいので、普通はソフト食や栄養ゼリー、あるいはムース
よくて荒刻み食くらいまでの方が大半ですが・・

回復の度合い著しく、パンまで召し上がれるようになった方もおられました。
(あまり知られていませんが、パンはお餅と同様 かなり
誤嚥窒息の可能性が高い方の食品で、パンの場合は相当
職員の方でちぎって差し上げないと危険です。この方はもともと主食は
ご飯よりパンという俗にいう「パン派」の方です。)

以前の嚥下テストが不良であっても、上記4つの条件を満たしたら
経口摂取の希望ある方なら ご家族の同意を得て、医療職の厳重な監視の下で
トライしてもいいかもしれません。

ご参考まで。

窒息事故の詳細分析について (消費者庁)
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/100625kouhyou_8.pdf

http://komori-hp.cloud-line.com/


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