古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

食欲

2024-02-10 07:22:33 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

糖尿病の治療薬の中のGLP-1受容体作動薬という種類の薬には
食欲減退の副作用が見られます。

それを利用して、「ダイエット薬」として
糖尿病でもないのに減量したい人向けに
オンライン自由診療でばんばん薬を処方している医師がいて
薬が少なくなり、相対的に糖尿病の患者さんが割を食う形になって
問題になっていますが

勧告も出ています。

日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/uploads/files/document/info/jds_statement_GLP-1.pdf

厚労省事務連絡
http://www.jds.or.jp/uploads/files/document/info/2023-07-28.pdf

管理人はBMI35以上の高度肥満の方に
GLP-1受動体作動薬を処方したことしかありませんが
(未だ数名です)

いずれも脱落しました。

その理由は・・

「食欲は確かになくなったけど・・」

どうも「生きがいもなくなった」みたいでした。

痩せたいと思っていて、すごく薬に興味を持っておられましたが
いずれもそこまで健康に支障をきたしていないせいか
(例えば肥満による腰痛やひざ痛などの整形外科的な疾患を抱えていて、
日常生活に支障をきたしているとか)

「その薬は飲みたくない」とのことでした。

管理人は肥満とは程遠い体型ですが(妊娠中以外、BMI20になったこともない)
やはりBMI35を超える高度肥満の体型を長年保っている方は、

「何も食べてないのに・・」と口をそろえて言われるものの(そんなわけありませんけどね)

そこまでして 食事をコントロールしたいとは やはり思ってないんだなあ・・と
妙に納得しました。アルコール依存症ならぬ 軽めの食事依存症というか、高カロリー摂取依存症なんでしょう。
摂食障害(過食症)の病名までつくかどうかは わかりませんが・・

まだ数名なので 確たることは言えません・・

なので、健康面で「減量」の必要はまったくないのに 
減量したい人は、GLP-1受容体作動薬でそこそこさらに痩せ、
逆に健康面でやせたほうがいいけど、無症状の人にはまったく届かないという 皮肉な結果に
なっているようです。

引き続き 外来で ウオッチングしていきたいと思います。

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