古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

「りょーよーがた」でお願いします。

2015-09-02 19:37:47 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

最近、当院に入院を決められた方に
入院理由をお伺いしています。

断トツトップは「アクセス」
その次は「りょーよーがたで、長く入れるから」とのことでした。

当院はアクセスは非常によく、天神からは
目抜き通りが混んでなければ、バスで5分ほどです。

患者さんの居住区も拡大傾向にあり、福岡市内ならば天神までの
アクセス手段が豊富なので、特に車を運転されないご家庭の方に喜ばれています。

続いて「りょーよーがた(療養型)だから」ということですが・・

最近 国の予算がないため、患者さんはとにかく在宅の方向へと向かわされ
(国が診療報酬を操作し、そのように誘導)当院のような療養型病院は、
地域医療連携室から自動的に御紹介されることは少ないです。

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   現行システム
(高齢者の方が加齢、脳卒中、整形外科的疾患,認知症、進行性難病疾患などに罹患し、
寝たきりになられた時)

                  急性期病院        
               
               診療報酬(入院費用)は高いが 
               せいぜい一か月しか入院できない。
       (高い報酬は一定期間が過ぎると激減)
       
               ↓
  
    
                  地域包括ケア病棟     
                  回復期リハ病棟

              診療報酬は上記の急性期よりやや少ないが、
              地域包括ケア病棟は2カ月
              回復期リハ病棟は6カ月くらいしか入院できない。
        (同上の理由で)
      
                     ↓

                  在宅強化型老人保健施設 
                  医療型療養病床(在宅復帰機能強化型病棟)  

              報酬は比較的高め
             (ただし限度あり)。
           リハビリを行い、
     3か月ほどで在宅に返すことを目標としている。
                          
                     ↓
 
  在宅(自宅、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅 その他)

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  この順番で進むことが一番、いろいろな施設側に報酬が取れるシステムとなっています。
  逆にいえばこの順番でないと特に高齢者の方は家に帰れない人が多いから、そうなっている
ともいえます。

  この仕組みに、当院のような療養型病床
 (うちは「在宅復帰機能強化型病棟」ではありません)は入っていません。
  理由は「在宅に繋がらないから」
  しかも、昨年度から診療報酬が改定され、当院のような施設に急性期病院などから
  ダイレクトに来られる患者さんがある一定レベルを超えると、
  紹介元に診療報酬減というペナルティが来ます。

  この仕組みは事情を知らない人には非常に複雑で、難解なシステムです。
  診療報酬がかかっているので、患者さん側から「療養型にしか行かない」と言わないと、
入院元の地域医療連携室も自動的には紹介しません。
勢い、患者さんはよくわからないまま あちこち動かれることになります。

  最近は、要介護状態の高齢者の方が増えて 勢い、当事者になるご家族も急増しています。
  いろいろな事情で在宅に帰れないご家庭は、複雑な国の仕組みはご存じなくても、息子さん世
代がネット世代でインターネットで長期に入院できる施設を調べたり、
  当事者ご家族も増えておられるので、口コミで「りょーよーがたに行くって言わないと、
家で見ないといけなくなるわよ」
  と言われ「療養型」の意味はご理解いただけなくても、言われた通り、地域医療連携室の
ソーシャルワーカーに「りょーよーがたでお願いします」と言われる方も
増えてこられました。さらに「りょーよーがたの中にもずっといれるところと
そうじゃないところがあるから、しっかり聞かないとだめよ!」のアドバイスも
受けておられます。
  (本当にお詳しいです・・)

  最近になって、認知度が上がってきた「療養型病床」。
  厚労省は当院のような在宅に繋がらない(在宅をブロックしているわけではありません。
ニーズがないからですが。)
  療養型病床を出来るだけ少なくしたいという強い意向があり、
今後どうなっていくかよくわかりませんが
  在宅が難しいご家庭のアシストが出来るように、やって参りたく思っています。

  病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/
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