ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

「縄文ノート194 十津川村の『けずり花』と『山の神』信仰」の紹介

2024-05-26 14:44:28 | 女神論

 はてなブログに「縄文ノート194 十津川村の『けずり花』と『山の神』信仰」をアップしましたので紹介します。https://hinafkin.hatenablog.com/

 録画していた5月22日NHK・BSの新日本風土記「十津川村(とつかわむら)」(2019年1月初回放送)を見ましたが、杣師(そまし:きこり)が「けずり花」(男性のシンボル)をつくり、各家や山の大木の近くに宿る「山の神」に供える信仰や、山人(やまびと=やまと)の村の農業・食事・祭りなどたいへん興味深い番組でした。

 私が注目したのは、「山の神」=女神に男性が「男根」に似せた「けずり花」(なんとも奥ゆかしいネーミングです)を供えるという点です。

 この十津川村の「けずり花」を女神「山の神」に捧げる祭りは、単なる自然信仰ではなく、死者の霊(ひ)が山から天にのぼるアフリカ起源で世界に広まった神山天神信仰(神名火山(神那霊山)信仰、ピラミッド神殿、神籬(霊洩木)信仰)であり、縄文石棒やイナウ(アイヌ)、けずり花(十津川村)、金精(全国各地)は霊(ひ)の再生を願って男性が母系制社会の女神に捧げる神器であり、女神の依り代でもあったのです。

 

 なお、「縄文ノート15 自然崇拝、アニミズム、マナイズム、霊(ひ)信仰」において、「私は幣帛(へいはく)・御幣(ごへい)とイナウは、御柱や神籬(ひもろぎ)のミニチュア説とともに、その形状(陰毛らしきものが垂れている)からみて、大地に突き立てる石棒(男根)を受け継いだものではないか、という仮説も考えていますが、今後の検討課題です」と書きましたが、幣帛(へいはく:大麻(おおぬさ))と御幣(ごへい)は神が宿る神籬(ひもろぎ:霊洩木)であり、石棒・イナウ・けずり花・金精とは神器としての役割が異なり、修正いたします。

 

 古事記によればアマテル(天照大御神)が天岩屋戸に隠れた後の再生神事(次女王への霊継ぎ儀式)において、天香山の眞賢木(まさかき:榊)の上枝には勾玉と五百の玉を、中枝には八尺鏡を、下枝には白丹寸手・青丹寸手(しろにきて・あおにきて:木綿と麻)をつけた依り代を用意して次女王を迎えるのですが、この頭部に首飾り、胸に鏡(アマテルの御魂)、腰に木綿・麻の布をつけた神籬(霊洩木)は女神を示しています。

 鏡を太陽のシンボルとする「世界を照らすアマテラス太陽神」信仰の皇国史観の空想が未だにまかり通っていますが、古事記はニニギの天下りに際してアマテルは「わが御魂」として鏡をニニギに渡したとしているのであり、鏡は女性の「霊(ひ)が宿る神器」として胸に飾られたのです。エジプトの太陽神のように、頭上に掲げたのではありません。

 古事記序文で太安万侶は「二霊群品の祖」としているように、記紀神話は産霊(むすひ)夫婦(神皇産霊・高御産霊)を始祖神としており、この国は「人(霊人)・彦(霊子)・姫(霊女)」とその「御子人(みこと:命、尊)」「霊御子(霊巫女・霊皇子・霊皇女)」の「霊(ひ)の国」であり、神名火山(かんなびやま:神那霊山)や神籬(ひもろぎ:霊洩木)は天に霊(ひ)が昇り、降りてくる神山・神木として崇拝されてきたのです。

 本ブログの「スサノオ・大国主建国論」としても、死ねば誰もが霊神(ひのかみ)として祀られる八百万神信仰の神名火山(神那霊山)・神籬(霊洩木)崇拝を縄文文化・文明論に遡って位置づけて世界の神山天神信仰とピラミッド型神殿の解明に役立て、八百万神信仰の世界遺産登録を目指すべきと考えます。 

 また、古事記・日本書紀の神話を荒唐無稽な8世紀の創作と見るのではなく、歴史上の人物で死後に「神」と呼ばれたスサノオ・大国主一族の歴史として分析する若い考古学者の出現を期待したと思います。

 古事記は単なる「歴史書(ドキュメンタリー)」ではなく、虚構の天皇家建国史の裏に真実のスサノオ・大国主一族の建国史を巧妙に書き記した「ミステリー」であり、真実の歴史を空想的な物語として表現した「ファンタジー」の3層構造からなっているのであり、史聖・太安万侶のこの高度に知的な作業に敬意を払うべきです。

 私が学生時代の1960年代中頃には「聖書は後世の創作」「キリストはいなかった」などの説が見られ、それを真似したのか「記紀神話は後世の創作」「スサノオ・大国主・アマテルなどは創作された人物」などの説がまかり通っていましたが、「化石頭」の学者たちに任せず、若いドキュメンタリー・ミステリー・ファンタジー好きの人たちによる分析を期待したいと思います。 雛元昌弘

 

□参考□

<本>

 ・『スサノオ・大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)

 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)

 ・『奥の奥読み奥の細道』(アマゾンキンドル本)

<雑誌掲載文>

 2012夏「古事記」が指し示すスサノオ・大国主建国王朝(『季刊 日本主義』18号)

 2014夏「古事記・播磨国風土記が明かす『弥生史観』の虚構」(前同26号)

 2015秋「北東北縄文遺跡群にみる地母神信仰と霊信仰」(前同31号)

 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(前同40号)

 2017冬「スサノオ・大国主建国論1 記紀に書かれた建国者」(『季刊山陰』38号)

 2018夏「スサノオ・大国主建国論2 「八百万の神々」の時代」(『季刊山陰』39号)

 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)

 2018夏「スサノオ・大国主建国論3 航海王・スサノオ」(『季刊山陰』40号)

 2018秋「『龍宮』神話が示す大和政権のルーツ」(『季刊 日本主義』43号)

 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(前同44号)

 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(前同45号)

<ブログ>

 ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina

 帆人の古代史メモ          http://blog.livedoor.jp/hohito/

 ヒナフキンの邪馬台国ノート     http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/

 霊(ひ)の国の古事記論       http://hinakoku.blog100.fc2.com/


「縄文ノート181 縄文石棒と世界の性器信仰」の紹介

2023-11-15 19:16:22 | 女神論

 はてなブログに「縄文ノート181 縄文石棒と世界の性器信仰」をアップしましたので紹介します。https://hinafkin.hatenablog.com/

 縄文文化・文明を論じる際、世界の中で「日本独自の縄文文化文明」という特殊性を強調する視点でみるか、それとも「アフリカ・アジア文化・文明を継承した縄文文化文明」という普遍的な視点でみるか、どちらの仮説で検証していくのかで分析結果は大きく異なってくると考えます。

 トルコのアナトリア遺跡の12000~8000年前頃の世界最古の神殿「ギョベクリ・テペ遺跡」(世界遺産)をネットで検索していて、13000〜11000年前頃の「カラハン・テペ遺跡」に「自然の岩盤から彫られた高さ2.4メートルほどの硬直した朱色の男根が十数個、青天井の小部屋に押し込められている」という記事を見つけました。

 さらに8500年前頃のチャタルホユック遺跡からは、ライオン像をあしらった手すりの玉座に座る豊かな乳房をもち、両足の間には赤ん坊を生み落している地母神像=女王像が見つかっているのです。

 縄文遺跡の石棒・男根型石棒と妊娠土偶・女神像がワンセットになったのと同じ宗教文化が、アナトリア遺跡にあったのです。それは女神に男根を捧げる母系制社会の宗教文化でした。

 単なる偶然の一致か、それとも人類共通の母系制社会の宗教が人類大移動とともに伝わったのか、多角的に検討しました。

 本ブログの「スサノオ・大国主建国論」としても、母系制社会の夜這い・妻問夫招婚による八百万神信仰のスサノオ・大国主一族の百余国の「委奴国(い(ひ)なのくに)」建国を世界史の中に位置付け、世界遺産登録を目指して欲しいと考えます。 雛元昌弘

□参考□

<本>

 ・『スサノオ・大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)

 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)

 ・『奥の奥読み奥の細道』(アマゾンキンドル本)

<雑誌掲載文>

 2012夏「古事記」が指し示すスサノオ・大国主建国王朝(『季刊 日本主義』18号)

 2014夏「古事記・播磨国風土記が明かす『弥生史観』の虚構」(前同26号)

 2015秋「北東北縄文遺跡群にみる地母神信仰と霊信仰」(前同31号)

 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(前同40号)

 2017冬「スサノオ・大国主建国論1 記紀に書かれた建国者」(『季刊山陰』38号)

 2018夏「スサノオ・大国主建国論2 「八百万の神々」の時代」(『季刊山陰』39号)

 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)

 2018夏「スサノオ・大国主建国論3 航海王・スサノオ」(『季刊山陰』40号)

 2018秋「『龍宮』神話が示す大和政権のルーツ」(『季刊 日本主義』43号)

 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(前同44号)

 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(前同45号)

<ブログ>

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「縄文ノート102 女神調査報告6 北沢川・月夜平大石棒と男根道祖神」の紹介

2021-10-14 06:05:24 | 女神論
 はてなブログに「縄文ノート102 女神調査報告6 北沢川・月夜平大石棒と男根道祖神」をアップしました。https://hinafkin.hatenablog.com/
9月11日、安曇野の穂高神社をあとにして、佐久の日本一大きい私の身長を超えた男根型の北沢川大石棒と月夜平大石棒(大宮諏訪神社)、原諏訪神社の男根道祖神を調べました。
 石棒(男根・金精)というと男社会の祭りとばかり私は思い込んでいましたが、尾瀬湿原のある群馬県片品村の仕事で、女体山(日光白根山)に男が金精を捧げ、山の神「十二様」(女神)に男が性器型などのツメッコ(すいとん)を入れた汁粉を供える祭りで、女性は女神が嫉妬するので参加できないことを知り、びっくりしました。女性差別ではなく、女神信仰の母系制社会の祭りが続いていたのです。
 さらに武尊山のほとりの武尊(ほたか)神社の猿追い祭りでは、2組に分かれて「エッチョー」「モッチョー」と言い合いながら赤飯を投げるのですが、男性たちは赤や紫などのスカーフで頬かむりをしており、元々は女性の祭りであった可能性があります。この信州の「穂高岳」と上州の「武尊山」(江戸時代に「武尊」字に変更)、安曇野の「鳥追い行事」と武尊神社の「猿追い祭りの赤飯投げ行事」の関係については最後の「縄文ロマンチック街道」で取り上げています。
 女神調査の締めくくりとして、この男根型大石棒の信仰が「縄文石棒(墓石型・共同祭祀型・神棚型)→男根型道祖神→男女性器道祖神→夫婦道祖神」として現代にまで残っていることを明らかにしています。
 本ブログのテーマの「スサノオ・大国主建国論」としても、スサノオ・大国主一族の「百余国」の建国が弥生人(中国人・朝鮮人)によるものではなく、縄文時代から連続した内発的発展であることを縄文人の宗教と広域的な交易・交流からとらえる参考にしていただければと思います。雛元昌弘


















□参考□
<本>
 ・『スサノオ・大国主の日国(ひなこく)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)
 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)
<雑誌掲載文>
 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(『季刊 日本主義』40号)
 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)
 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(『季刊日本主義』44号)
 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(『季刊 日本主義』45号)
<ブログ>
  ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina
  ヒナフキンの縄文ノート https://hinafkin.hatenablog.com/
  帆人の古代史メモ    http://blog.livedoor.jp/hohito/
  邪馬台国探偵団   http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/
  霊(ひ)の国の古事記論 http://hinakoku.blog100.fc2.com/

「縄文ノート101 女神調査報告5 穂高神社の神山信仰と神使」の紹介

2021-10-08 18:22:53 | 女神論
 はてなブログに「縄文ノート101 女神調査報告5 穂高神社の神山信仰と神使」をアップしました。https://hinafkin.hatenablog.com/
 9月11日、諏訪を後にして北上して安曇野の穂高神社を見学し、佐久の北沢川大石棒と大宮諏訪神社の大石棒、原諏訪神社の男根道祖神を調査しました。今回は穂高神社とその神使と鳥追い行事の関係だけを報告しました。
 「漢夷奴国王」の金印が発見された博多湾入口の志賀島を本拠地とする海人(あま)族のスサノオの異母弟の綿津見3兄弟の安曇(あずみ)族(海人津見族)の穂高見氏がなぜ海を離れて内陸山岳地帯の信州に住み着き、奥穂高岳を神山としたのか、穂高神社の祭神はスサノオ初代系か大国主(出雲スサノオ7代目)系か、南インドのドラヴィダ族(タミル人)のカラスに赤飯を与える「ポンガ」の行事がなぜ安曇野に「ホンガラ」の鳥追い行事として伝わっているのか、安曇野の縄文時代とスサノオ・大国主建国にはどのような連続性があるのか、縄文石棒と安曇野に約400体以上と日本で一番多い道祖神との関係など、現地で考えるのが今回の目的でした。
 本ブログのテーマの「スサノオ・大国主建国論」としても、スサノオ・大国主7代の何次にもわたる各地への米鉄交易による水利水田稲作の普及による百余国の「豊葦原水穂国」の建国の参考にしていただければと思います。雛元昌弘





















□参考□
<本>
 ・『スサノオ・大国主の日国(ひなこく)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)
 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)
<雑誌掲載文>
 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(『季刊 日本主義』40号)
 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)
 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(『季刊日本主義』44号)
 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(『季刊 日本主義』45号)
<ブログ>
  ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina
  ヒナフキンの縄文ノート https://hinafkin.hatenablog.com/
  帆人の古代史メモ    http://blog.livedoor.jp/hohito/
  邪馬台国探偵団   http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/
  霊(ひ)の国の古事記論 http://hinakoku.blog100.fc2.com/