まちおもい帖2

日ごろ感じていることを書き記します。

戦争反対と叫べばよいのだろうか

2015-10-11 02:25:57 | 日記

1.戦争は、反対だ

ETV特集「むのたけじ 100歳の不屈 伝説のジャーナリスト 次世代への遺言」を見た。100歳とは思えないほど、声も大きく、全然ボケていない。これは凄いと思った。

彼は、報知新聞、朝日新聞と勤めたが、戦争報道をしたとの自戒から、8月15日に退社し、故郷で週刊の新聞「たいまつ」を30年ほど発行し、現在は、講演活動をしている。

「必ず戦争を絶滅させる。今の若者たちと話すと、新しい日本人が出てきたという希望を感じる。」と言っていた。

戦争には、おそらく多くの人が反対に違いない。誰だって、殺されるかもしれないのは、嫌だろう。そして、ひとたび戦争が始まれば、これは狂気であり、止めるのは難しい。

昔、富士山麓にある自衛隊基地を見学した際、戦車に乗ったり(サスペンションがないからか?なにしろすごく揺れる、良くこんなに揺れるなかで、照準を合わせられるものだと思う)、射撃訓練のビデオを見ているうちに、「ヤレ!ヤレ-!」と言う気になる自分に驚いた。暴走族のバイクの後ろに乗って、囃したてる気分だ。

一人殺したら罪になるのに、大勢殺せば英雄になるのは、どう考えてもヘンだ。でも、戦時体制になれば、やられそうになれば、やらざるを得ないだろう。

2.現在の国際情勢を考えたら、アメリカと組む以外方法は無いのかもしれない

中国が大きな軍事力を持ち、相対的にアメリカ一人が世界の警察であった時代が終わってしまった今、日本が選択できる道は、これまでの同盟国であるアメリカ等と組むしかないのかもしれない。日本だけで、中国ほかと戦えるだけの力はないのだろうから、一番現実的な解決方法なのだろうと思う。アメリカの力が相対的に低下しているなか、日本がこれまでよりも主体的に役割を果たさざるを得ないのも確かだろう。

日本の自衛隊やもしかすると徴兵制などが制度化されて若者が戦地に送られるかもしれない事態になるのは、これまで70年間平和でいられた時代を考えると嫌なことだが、少なくとも、自由世界のなかで相応の役割を果たすべきなのだろう。

吉田茂がサンフランシスコ平和条約や日米安全保障条約を結んだ折には、日本が戦後復興を果たすにあたって、軍備にお金を掛けず、アメリカに守ってもらえばよいと考えていたとも言われる。私も、昔は、日米安保条約というのは、アメリカ兵を雇っているようなものなので、なんとも、上手いやり方だなぁと思っていた。しかし、良く考えれば、アメリカの若者が、ベトナム戦争などで大きな犠牲(身体も心も)を払っているのに、いつまでも、日本だけ、平和ボケしていて良いのかなぁという気もする。

つまり、「戦争は、反対」だし、「若い命を戦争で失う」などは、嫌なのだけれど、それをアメリカ兵には、やらせておいて良いのだろうかという疑問が残る。

つまり、むのたけじさんが言われることは、大賛成なのだけれど、世界中から戦争や紛争が無くならない限り、日本だけ、憲法9条を掲げて、安全地帯に居ることは許されるのだろうかと思うのだ。

3.アメリカと先に約束し、後から国会にかけるのはルール違反だ

もっとも、手続き的に、今回は、民主主義がないがしろにされた気がする。国内の世論をまとめきれないと思ったからなのか、最初にアメリカ等外国と約束に近いことをやってしまってから、国会に掛けた。国会がその機能をちゃんと果たせているかどうかは別として、形の上では、国民の代理人である議員による国会での審議がないがしろにされた。これは、独裁政治に近い。

かといって、こうなると最初から分かっていた安倍さんなり、自民党なりを選挙で勝たせてしまったのは、我々国民なのだから、議会の外でデモをして叫んだところで、犬の遠吠えでしかない。

数ケ月に一度会う、もと会社社長、会社役員、あるいは現在社長の方々のご意見も、「安倍さんは、外交を含め良くやっている。安保改定は良い」とのことだ。

4.肌感覚か、国際情勢等の判断か

むのさんのように、こころから素直に、「戦争はいけない、(反対を叫ぶ若者に)日本の未来を見た!」と言えたらどんなに良いだろう。

良く言われる「女子供」の皮膚感覚は、概ね正しい。

国際情勢を考え、やむをえないと判断するのは言わば「男」の考え方だ。第二次世界大戦も、いろいろな「やむをえない」が重なって戦争に、戦争拡大に向かわざるをえなかった。

吉田茂がマッカーサーに「450万トンの食糧を緊急輸入しないと国民が餓死してしまう」と訴えたが、アメリカからは結局その6分の1以下の70万トンしか輸入できなかった。しかしそれでも餓死者は出なかった。マッカーサーが「私は70万トンしか出さなかったが、餓死者は出なかったではないか。日本の統計はいい加減で困る」と難癖をつけた。それに対して吉田は「当然でしょう。もし日本の統計が正確だったらむちゃな戦争などいたしません。また統計どおりだったら日本の勝ち戦だったはずです」と返した(wikipediaより)というエピソードがある。

正しい判断なんて、人には出来ないものだろうけれど、これから先、その都度、引き返したり、したたかに振る舞うなどの高度な判断が必要になってくるのだろう。

吉田茂が高齢でも元気ですねと言われると「だいたい君たちとは食い物が違う」と答えた。それはどんな食べ物なのかとさらに問われると、「それは君、人を食っているのさ」といったという。吉田茂はそばにいたら嫌なやつだったかもしれないが、私もこれから「人を食って」長生きしてみたいものだと思う。

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿