珍しいロシア語の書籍を購入しました。
ロシアの作家、レフ・メイ(1822-1862)とアポロン・マイコフ(1821-1897)の作品を収録したものです。
ロシア語をろくに読めないのになぜこのような本を手に入れたかというと、両者ともその著作がリムスキー=コルサコフの作品の題材となっているからなのです。
特にメイは、リムスキー=コルサコフのオペラ《プスコフの娘》《皇帝の花嫁》《セルヴィリア》の原作者であり、今回の本にはその3作すべてが掲載されていることから、リムスキー=コルサコフ関連のコレクション(?)として、是非とも入手しておきたいと考えてのことでした。
メイは日本ではほとんどなじみはありませんが、これはロシア本国でもそうらしく、自身の作品よりもむしろリムスキー=コルサコフのオペラの原作者として知られているようです(リムスキーもメイもどちらも二流で…みたいな悪口をどこかで見たことがあります)。
さて、ページをぱらぱらとめくってみると、わからないなりにも面白い発見があります。
たとえば《皇帝の花嫁》。リムスキー=コルサコフのオペラでは最高傑作とも言われるこの作品ですが、原作ではオペラに登場していない人物がいるのですね。主人公の親衛隊員グリゴリー・グリャズノイの兄弟らしき人物がいたことにはびっくりです。
そして、オペラ第1幕の冒頭で歌われるグリャズノイのアリア。出だしのレチタチーヴォの「あの美女が忘れられない!」、単純ですが印象的なこの台詞で原作も始まるのかと思いきやどこにも見当たらず。
そもそも原作はグリゴリーの独白で始まるのではないのですね。
その後の宴会シーンではなじみのあるオペラの合唱の歌詞が出てきたりしましたが、全体的に構成などオペラとは少々違っているような感じです。
ということは、オペラ《皇帝の花嫁》の特徴でもあるドラマチックな進行は、台本作家イリヤ・チュメネフに負うところが大きく、《皇帝の花嫁》の成功の幾ばくかは、彼の功績ということになるのでしょう。
私は、オペラの台本作家の仕事は、原作を適当に間引いてまとめるだけだと誤解していましたが、こうやって原作とオペラの詞章を見比べてみると、そんな単純なものではなさそうだということが今更ながらわかりました。
不成功に終わったオペラの原因としてよく挙げられる「台本が弱い」というのも、台本の重要性があるからこそであって、台本作家はオペラの成否を握る重要な役割を担っているということなのですね。
ロシアの作家、レフ・メイ(1822-1862)とアポロン・マイコフ(1821-1897)の作品を収録したものです。
ロシア語をろくに読めないのになぜこのような本を手に入れたかというと、両者ともその著作がリムスキー=コルサコフの作品の題材となっているからなのです。
特にメイは、リムスキー=コルサコフのオペラ《プスコフの娘》《皇帝の花嫁》《セルヴィリア》の原作者であり、今回の本にはその3作すべてが掲載されていることから、リムスキー=コルサコフ関連のコレクション(?)として、是非とも入手しておきたいと考えてのことでした。
メイは日本ではほとんどなじみはありませんが、これはロシア本国でもそうらしく、自身の作品よりもむしろリムスキー=コルサコフのオペラの原作者として知られているようです(リムスキーもメイもどちらも二流で…みたいな悪口をどこかで見たことがあります)。
さて、ページをぱらぱらとめくってみると、わからないなりにも面白い発見があります。
たとえば《皇帝の花嫁》。リムスキー=コルサコフのオペラでは最高傑作とも言われるこの作品ですが、原作ではオペラに登場していない人物がいるのですね。主人公の親衛隊員グリゴリー・グリャズノイの兄弟らしき人物がいたことにはびっくりです。
そして、オペラ第1幕の冒頭で歌われるグリャズノイのアリア。出だしのレチタチーヴォの「あの美女が忘れられない!」、単純ですが印象的なこの台詞で原作も始まるのかと思いきやどこにも見当たらず。
そもそも原作はグリゴリーの独白で始まるのではないのですね。
その後の宴会シーンではなじみのあるオペラの合唱の歌詞が出てきたりしましたが、全体的に構成などオペラとは少々違っているような感じです。
ということは、オペラ《皇帝の花嫁》の特徴でもあるドラマチックな進行は、台本作家イリヤ・チュメネフに負うところが大きく、《皇帝の花嫁》の成功の幾ばくかは、彼の功績ということになるのでしょう。
私は、オペラの台本作家の仕事は、原作を適当に間引いてまとめるだけだと誤解していましたが、こうやって原作とオペラの詞章を見比べてみると、そんな単純なものではなさそうだということが今更ながらわかりました。
不成功に終わったオペラの原因としてよく挙げられる「台本が弱い」というのも、台本の重要性があるからこそであって、台本作家はオペラの成否を握る重要な役割を担っているということなのですね。