フェイスブックは15日、2014年7月~12月に世界各国の政府から寄せられた利用者情報の開示請求についての報告を公表し、日本政府から利用者の情報の開示を求められ、初めて応じたことを明らかにした。日本のどの政府機関の要請かは明らかにしていない。

 フェイスブックはこれまでにも刑事事件の捜査などの際に、各国政府から利用者の個人情報や、投稿内容などの提出を求められてきた。同社はその開示状況を半年ごとに公表している。

 2014年には、米国で障害者補助の不正受給の捜査にからみ、「裁判所がフェイスブックに対し、約380人分の投稿内容などの提出を求めたが、このうちの300人以上は起訴されなかった」とフェイスブック幹部が声明を発表するなど、大量の個人情報をひとつかみに入手しようとする政府のやり方を非難した。

 今回、利用者について情報開示の要請があったのは、約90カ国・地域の約3万5千件。昨年7月~12月の約2万8千件から約2割増えた。最も多いのは米国の約1万4千件で、請求のうち約8割の情報を開示した。請求数が急増したのはインドで、昨年の同時期に比べ、約5割増えた。日本の政府機関からは9件の要請があり、今回初めて、請求された情報量のうち約11%の情報を開示した。どんな中身を開示したのかは公表していない。

 フェイスブックは「請求には詳細な説明を求めており、請求が広すぎたりあいまいだったりする場合には開示を拒否している」としている。

 米国では、捜査当局などの要請でフェイスブックが利用者に無断で個人情報を開示することへの批判が強くあり、利用者からは不安の声も上がっている。(オースティン=宮地ゆう