コロナ禍での外出自粛などで家族が家にいる時間が増えたことで、全国的に子どもの見ている前で夫婦げんかをする「面前DV」が増加している中、御坊市でも同様の事例が増え、継続的に見守りフォローが必要な支援対象児童が急増している。この現状に危機感を持った市が、緊急対策で国の事業を活用して8月から支援対象児童等見守り強化事業を始め、事業委託する団体が対象家庭への宅食や学習支援を行うことで虐待防止、必要な支援につなげていく。
全国的にコロナ禍で面前DVなど警察から児童相談所への通告が増加。面前DVは子どもへの心理的虐待に当たるが、子どもへの暴力(身体的虐待)が同時に行われている場合もあり、問題となっている。御坊市内でも面前DVなど警察から児童相談所への通告が増加したのに伴い、市が現在、把握している継続的に見守りフォローが必要な支援対象児童は34世帯77人(ゼロ歳児~17歳、施設入所除く)いる。令和2年度12世帯31人、元年度8世帯24人から2~3倍に急増しており、中には深刻なケースも数件あるという。
児童相談件数も2年度は53件107人あり、元年度24件36人、平成30年度17件28人、29年度13件26人、28年度5件6人と比べて大幅に増加している。相談のうち身体的虐待・心理的虐待の複合が16件40人と最も多い。ほかは身体的虐待が8件10人、心理的虐待が9件18人、ネグレクト(養育を怠る)が3件15人、その他(育児相談・不登校関係)が17件24人。
この現状に危機感を持ち、緊急対策として支援対象児童の見守りを強化しようと、国の支援対象児童等見守り強化事業を活用し、11日開会の6月定例議会に提案する今年度一般会計補正予算に650万円(すべて国費)を計上した。この事業は子ども食堂などを行う民間団体等に事業委託し、関係機関や専門家で構成する市要保護児童対策地域協議会が選定した支援対象児童の家庭を訪問して宅食(夕食の弁当配達)や学習支援等を通じて状況を把握し、虐待防止や必要な支援につなげるもの。
宅食は週2回程度で児童40人を想定。学習支援は委託団体が用意した場所で教職員OBが土・日曜日、長期休業中の平日に行い、児童20人を想定。現在、委託団体の要件等を検討しており、議会承認後に公募を行い、7月中に選定して8月から事業を始める。市社会福祉課は「コロナ禍で児童虐待のリスクが高まっており、この事業を通じて支援ニーズの高い子どもを見守り、必要な支援につなげいくための体制を強化したい」としている。
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