日本聴導犬・介助犬訓練士学院(以下:『学院』)は通常2月入学のところ、仕事の引継ぎや引っ越しもあり4月から始まった学院生活も早 9ヶ月。27年間勤めた看護師を辞め、学院で勉強させていただく こと を決めたのは50歳になった時。ずいぶんと遅いスタートでした。
子供の頃から動物好きで、将来は動物と関われる仕事 がしたいと思いました。中学生の頃、盲導犬を知り、ぼんやりと“盲導犬の訓練士っていいなあ”と思いながら看護師として過ごしてきま した。そのまま定年まで勤め上げる道はもちろんありましたが、残りの10年 間 を動物とも関われる仕事に挑戦したいと強く思いました。「学びたいと思う気持ちにトシは関係ない」と、学べる場所を探すと、『学院』 では第二の人生「ライフワーク」として中高年の入学生も積極的に募集していました。ただ、戸惑ったのは、これまで住環境の理由で 犬を 飼った経験のない私が「犬舎を持たない」という協会の方針で「24時間、犬との生活」でした。ちょっと気を抜くと、何かをしでかす子 犬たちのやんちゃぶりにも。
でも、 最近あるボランティアさんが「犬への接し方に余裕が出てきたね」と言ってくださいました。自分では気がつきませんでしたが、毎日の世 話や日々犬たちに接する日課や訓練で協会が目標とする「自然体(肩の力を抜いて)で行う」訓練ができたようです。
『学 院』の指導とともに、ボランティアさんやご支援者様など協会に関わる多くの方々、そして協会犬たちに私自身が育てられていると実感で きる日々です。協会の訓練は「脳の活性化」を目標として聴導犬や介助犬訓練に「遊び」を組込んだユニークなカリキュラムです。そ のユ ニークさが高く評価され、協会の国際支援として国立屏東科技大学付設「工作犬訓練学校」への訓練協力や権威ある同大学獣医学部での講 義のための有馬会長の招台となり、私も同行させていただきました。
国内外 の様々なイベントにも同行し、幅広い知識と技術を学ばせていただいています。「1時 間目○○」「2時間目○○」という、普通の学校のようなカリキュラムでは ない 毎日に、当初は戸惑うことばかりでしが、充実した日々はあっという間に過ぎ、学院生としての生活もあと3ヶ月となりました。新しい知識を覚えたり慣れるのに時間がかかり、熟練のスピード は遅 いですが、卒業までの期間を大切にしたいと思います。特例で1月 からは半 分学院生、半分スタッフとなれました。これからもよろしくお願いいたします。
日本聴導犬・介助犬訓練士学院 第5期生
前田来仁子(くにこ)