池谷裕二 『進化しすぎた脳』 講談社 (2007) 読みました。
実は買ってから大分経ってたのですが、先日ざっと読みました。
内容はすごく面白いです。
そして、それをうまく説明できる池谷さんもすごいと思いました。
専門家だと「それって常識でしょ?」と思うことも、一般の人には通じない事が多い。
でも、それをうまくまとめたり、はしょったりして、読んでいて惹き込まれる感じがしました。
で、第5章 (特に、"5-11 意識とはなにか?") の議論は、私が前回書いた内容にかなり近いなぁとも思いました。
私が書いた内容よりもシンプルに書いています。
だから分かりやすい。
そして、あぁやっぱりそういう考えにみんな行き着くのかなぁとも思いました。
「複雑系」というのがこれからの脳科学のキーワードになると私も思います。
もしかしたら、脳科学に限らないかもしれません。
20世紀は物理至上主義のような面があり、基礎方程式はあるのだからあとはそれを解けば原理的には全て解けるはず、と。
でも、実際にやってみると、解ける問題がほとんどない。
みんな、どこかで近似したり簡単なモデルにして解いたりします。
で、それって理解したことになるのかどうか、私には懐疑的です。
マーフィーの法則の中に、うまい事言うなぁというのがありました。
「モデルを現実と思ってはいけない」
私も含め、モデルを立てて計算が現実とぴったり一致したら、分かった気になっちゃう。
でも、モデルはあくまでモデルなんだから、それを現実と一対一対応させるのは正直どうなのよ、と思います。
この『進化しすぎた脳』は内容が豊富で色々考えながら読んで、まだ消化していないというか、未だにこの本の内容を色んなシナプスへフィードバックされ続けている感じがします。
脳に限らず、研究ってなんなんだろう、と思っている方にもお勧めです。
私は特に第5章がお気に入りです。