悲しみがいつも私を
つよくする
今の心のペンキぬりたて
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Eva Cassidy - autumn leaves (cover by Angelika Gil) (Studio M Opole)
https://www.youtube.com/watch?v=BhxxvEBYNg0
長電話すればするほど
会いたくて切れない心
置けない受話器
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CHRIS BOTTI IN BOSTON | Shape of My Heart Sting & J. Groban
https://www.youtube.com/watch?v=DpYYJgvgDmo
人生は積み重ねだと誰でも
思っているようだ。
ぼくは逆に、積みへらすべき
だと思う。
蓄えれば蓄えるほど、かえって
人間は自在さを失ってしまう。
過去の蓄積にこだわると、
いつの間にか堆積物に埋もれ
て身動きができなくなる。
人生に挑み、本当に生きるには、
瞬間瞬間に新しく生まれ変わっ
て運命をひらくのだ。
それには心身とも無一文、無
条件でなければならない。
捨てれば捨てるほど、いのちは
分厚く、純粋にふくらんでくる。
今までの自分なんか、蹴トバシ
てやる。
そのつもりで、ちょうどいい。
社会的な状況や世間体を考えて
自分を守ろうとする。
それでは駄目だ。
社会的環境が変わったのだ。
自分に対しても戦わなければ
ならない。
これはむずかしい。
ほんとうに生きていくためには
自分自身と闘わなければだめだ。
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Shirley Horn - "Here's To Life"
https://www.youtube.com/watch?v=QOj1JryGj8A
夏の名残りがまだどこかに
漂っている 秋の初めの
日曜日の午後 海を見にゆく
古本屋のかえりも
海を見にゆく
あなたが病気なら
海を見にゆく
こころ貧しい朝も
海を見にゆく
ああ 海よ
大きな肩とひろい胸よ
どんなつらい朝も
どんなむごい夜も
いつかは終わる
人生はいつか終わるが
海だけは終わらないのだ
かなしくなったときは
海を見にゆく
一人ぼっちの夜も
海を見にゆく
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Ramsey Lewis - Portuguese Love
https://www.youtube.com/watch?v=NOS4VSXTkto
大恋愛を経験
して、なお無事でいられたら、
それは本当に運の良いことだ
と思う。
たとえ相手に恋人や妻子がいな
かったとしても、究極、他者を
完璧に自分のものにすることは
できないし、幸福な時は永遠に
続かない。
その欲望を成就させるには、相
手を死なせるしかない。
だから私は純粋な恋愛とは本来
すごく危険なものだと思う。
一方で、その極限を上手く伝え
られる自信はあまりない。個人
的な経験というのは共有でき
ない。恋に溺れない人からすれ
ば、たかが恋愛で、と首を傾げ
るかもしれない。
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Uru 〈名曲 cover〉BEST
https://www.youtube.com/watch?v=fbjzC2-wB-4
~夕暮れ便り~
ほんの迷いを 旅の空の風に
散らそうとして
また、新しい思い出と迷いを
かかえてしまいそう
小さな煩悩なんて けし飛びそう
な荘厳な落日を見て
ひととき 無になりそうでも
それこそ生きてきた時間から
見ると ほんの一瞬で
すぐ夜が来て また日は昇る
大人になりきれない時期は
ささいなことでも 一日にひ
とつは 小さな刺を
かかえてしまうようで
そして 同じように こちらも
誰かに その刺を
感じさせているのかもしれない
ひとり旅は解放感とともに、
その反動の物思いも増える
顔を見たり、直接、
言葉をかける機会がな
かった平安時代。
想いを伝える第一歩は、
「和歌」を送ることでした。
いわばラブレターです。
紙に趣をそえて、芳しい
香りを焚きしめ、
墨色を気遣いながら、
その筆遣いに想いを吹き
込む。
たとえば、木々が芽吹き、
地上にいのちが咲き誇る
情景をかさね合わせ、歌
を詠んだのです。
人が、人を想う気持ちを、
人の手で、心を込めてカタ
チにする。
和歌は、手作りの贈り物
なのですね。
自由に、人が、人と会え
なかった時代、会えない
時間が長いからこそ、
人を想う時間は色濃く、
鮮やかだったのかもしれません。
飛行機の小窓に額をくつけて、
眼下に広がり景色を見つめた。
なんて広大な森。
アメリカに来るのは、初めて
だった。海外旅行は高校生の
時、母とふたりでツアーに参加
したパリとウィーン、大学時代
に友だちと出かけた香港、その
二回きり。
今回も、パケージツアーに申し
込んだ。「ニューヨークシティ
五日間のバカンス」。飛行機
とホテルと、空港・ホテル間の
送迎バスだけがついてくる。
残っていた有給を、まとめて
取った。退職が受理されて、
冬のボーナスをもらったあ
とで、会社を辞めることに
していた。
どうか会えますように。
神さま、あのひとに、会わせて
下さい。
ツアーに申し込む前に、あのひと
の借りている家の一階に住んでいる、
大家さんに電話をかけてみた。
その電話でやっと、わたしはあの
ひとが家を留守にしていること
を知った。
「カイセイは、この町から車で三時間
ほど北へ走ったところにある、
ナチュラル・アグリカルチャー・
プログラムに参加しているのです。
おそらくあと二週間ほどしたら、
戻ってくるでしょう」
「彼の滞在先の電話番号は、わか
りませんか?」
「残念ながら、それは聞いており
ません。もしかしたら、電話も
電気も水道も、ないところかも
しれませよ。あのあたりは山奥
ですから。かまびすしい現代
文明から開放された、聖域みた
いなところなんです」
そう言ってジャネットは笑った。
わたしは彼女に、渡米の予定
――――それもちょうど二週間
のちだった――――を伝え、
「もしもそれまでに彼が戻って
きたら、わたしに直接、電話を
かけてもらえるよう、伝えてく
ださい」と頼んだ。
「わかりました。伝えます。
問題ありません」
と、彼女は約束してくれた。
マンハッタンを出て三十分ほど
過ぎると、電車の窓から見える
景色は一変した。
電車の揺れに身をまかせ、夕闇
を溶かし込むように暮れていく
河を眺めているうちに、緊張と
昂揚のあまり張り詰めていた
気持ちが、ゆるゆると解けて
くるのがわかた。
きっと会える。
必ず会える。
絶対に会える。
胸の中で念じ続けていたそれ
らの言葉が、静かにその輪郭を
失ったあと、澄みきった心の
表に浮かんできたのは、たった
ひとつの想いだった。
あのひとが、好き。
父が逝った夏、八番目の曜日に、
あのひとは言った。
泣いていいよ。泣きたければ、
いつまでだって、好きなだけ
泣いて。俺はずっとそばにいる
から。
あのひとの言葉を、ひとつ残らず
覚えている。
優しい言葉も、熱の籠った言葉も、
さり気なく置かれたひとことも、
ただの相槌でさえも。いいえ、それ
は覚えているのではなくて、突き刺
さっているのだ。
ガラスの破片のように、柔らかい
薔薇の棘のように。だからわたし
の胸は、こんなにも、痛い。
北へ、北へと、あのひとの住む
町に向かって、まるで河面を滑る
ように走る電車の中で、泣き出し
てしまいそうになるくらい、叫び
出してしまいそうになるくらい
・・・・
あなたが、好き。
アイシテイル
トオクハナレテイテモ
ワタシタチハ
ツナガッテイル
魚にもシュンの季節がある
ように、「さよなら」にも
シュンの時期がある。
目の赤くなってしまった
「さよなら」や、鮮度の
落ちた「さよなら」、加工
されたり、冷凍保存された
「さよなら」は喜ばれない。
機を見て、グットタイミン
グで言われた「さよなら」
だけが、
二人に楽しい思い出を分け
てくれるのである。
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Shirley Horn - "Blue In Green(Bill Evans/Miles Davis)"
https://www.youtube.com/watch?v=jn51v_cMHCw