ひどい言い方かもしれま
せんが、恋人も旦那さまも、
子供でさえ持ち物であり
付属品であることに変わり
はなく、
いざというとき
置いてゆかねばならない
ものであることに変わりは
ありません。
持ち物である限り、時の流
れとともにうつろうてゆく
のは当たり前のこと。山と
積まれた財産が借金に変わ
るのも当たり前の道理。
「二人の愛は永遠に」なんて
馬鹿なことがあるはずがない。
愛が薄くなり、やがて憎悪に
変わる日が来るのも当たり前。
若さは老いへ、命あるものは
やがて死んでゆきます。
“諸行無常”という道理の
まえに、すべて当たり前の
ことばかりです。
そんな浮き草のようにひとと
ころにとどまらず、うつろう
てゆくものに、幸せのよりど
ころを求めているという生き
方そのものに、
基本的な問題があるのではな
いのでしょうか。
持ち物よりも、持ち主である
私自身、衣装を着る人である
あなた自身の生き方が忘れら
れていることに、私たちは気
づかなくてはいけないのでは
ないでしょうか。