根こそぎ自分をどこかに持って
いかれるような、心許ない感覚。
心許ないのに、それは限りなく
純粋で、石のように確かだった。
私たちは一度も、言葉でその
ことを確かめ合ったりしなか
ったけれど、それはそのこと
が、あまりにも明らかな、
いわば自明の理だったから。
好きだと言う必要もないほど、
好きだった。
いかれるような、心許ない感覚。
心許ないのに、それは限りなく
純粋で、石のように確かだった。
私たちは一度も、言葉でその
ことを確かめ合ったりしなか
ったけれど、それはそのこと
が、あまりにも明らかな、
いわば自明の理だったから。
好きだと言う必要もないほど、
好きだった。