お釈迦さまは、「過去も現在も、
誰からも良く言われる一方の
人もいなければ、悪く言われ
る一方の人もいない。
良い面と悪い面を併せ持つの
が人間だ」と言っています。
「あの人が好きだ」と思えば
良い面だけが見え、「あの人
は嫌いだ」と思えば悪い面ば
かりが鼻につくようになりま
す。
どちらに見えるかは、自分の
心の反映にしかすぎません。
人は誰でも、一人ひそかに
我が身を喜ぶよりも、大切
な人や他人に喜んでもらう
ほうが本来ずっと楽しい
はずです。
私が落語家を志したのもそ
のためで、自分の命が最も
輝くようにできています。
そんな気持ちを最澄は
「忘己利他(もうこりた)」と
言いましたが、簡単に言えば
「お客様第一」の心です。
ともすれば私たちは「自分ほ
ど可愛い者はない」
「自分がまず幸せになりたい」
という“我”にとらわれて、
「私が、私が」と自己中心の
考え方ばかりしている結果、
かえって煩悩の世界の中で
悲しみ、苦しんでいます。
自分の立場ばかり考えないで、
ちょっと自分を離れてみると、
いろんなものが見えてきたり、
感謝の気持ちが湧いてきます。
それが、真の「お客さま第一」
の心だと思います。