製図が苦手だったA君は、宿題
があると、五枚は必ず書く。
その中で気に入ったものを提出
したという。彼は卒業生総代に
なった。
ある年配の女教師は、「私は縫製
が好きじゃなかったの。それで、
皆が一枚縫うときに二枚縫い上
げたのよ。
同じものを二枚縫えば、たいてい
はコツが飲み込めますものね」と
言う。
一方、Bさんは縫製が嫌いで、い
つも養護室に逃げ出していた。
でも縫製は必ず作品を提出しなけ
ればならないので、家に帰って
眠い目をこすりながら縫わなけ
ればならなかった。
縫い方がわからないから母に聞
いて縫うのだが、それが嫌で仕
方がない。
そうして得たものは、縫製を憎
むことだけだった、と語ってい
る。
苦手なもの―――それが、人間
であれ、食べ物であれ、教科で
あれ、何であれ、苦手であるほど
避けずに、飛び込んでいくこと
です。
向こうから嫌いな人がくれば避
けて通りたくなるが、好きな人
ならば駆け寄っていけるはずです。
自分から寄っていけば、おのずと
好きになってくるもの。
そうすれば、自分の人生をのびの
びと生きることができます。
ココ・シャネルは、12歳になる
前に母が病死、行商人の父アルベ
ールに修道院の前で「いつか、迎
えにくるからと言われ」捨てられ、
修道院で嫌々ながら縫製の仕事を
覚え、歌手になることを夢みて酒
場で歌っていた歌が「トロカデロ
でココを見たのはだれ」という
題名にちなんでつけらた愛称が
「ココ」。
1906年歌手を断念しパリの
カンボン通り21番地に帽子の
アトリエを開業する。
嫌いな縫製を根気よく教えてくれ
た修道女たちの愛がここに育った
瞬間だ。
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Just The Way You Are
https://www.youtube.com/watch?v=RtbX7dZOsus