販売者でなく、飼育者であり続ける

　何度か言ってきましたが、僕が自分の育てたカメを売るのは、大きく分けて二つの目的からです。
　一つは、日本産まれのカメを流通させ、少しでも野生のカメ、僕の場合はリクガメの乱獲を防ぐため。もう一つは、我が家で産まれたカメによって、カメの可愛さ、素晴らしさを少しでも多くの方に知ってもらうためです。そのために日頃心がめていることがあります。それは、一飼育者であり続け、決して、販売者に成りきらないことです。リクガメを繁殖させて、それを販売する、これは、誰が見ても販売者です。これは否定出来ません。しかし、販売にのみ徹してしまうと、里親さんに喜んでもらえる子ガメに育たない様な気がするんです。また、親ガメの健康状態にも影響すると思います。常に、カメの様子、状態に目を光らせておく、これによって、カメ達の健康状態が分かり、その延長線として、繁殖時期が分かり、産卵の時期を見逃さない様になるのです。これには、ブリーダーとしてのみでなく、もっと大きく飼育者としての目を持つことが大切です。また、孵化した子をただ育てるのではなく、どんな子に育てれば喜んでこらえるか、この子の性格からは、どう育てればいいのか、これにも、常に観察することが大切になってきます。
　今、全部のカメが眠っています。これらの寝顔を一つ一つ見て、なぜか微笑んでいる自分がいます。

サンブンノイチ

　品川庄司の品川ヒロシ監督作品です。話の流れ的には、行き詰まった３人の男が銀行強盗をして、そのお金をどう分けるのかという単純なストーリーです。しかし、色んな人間（悪人）の悪知恵が迷路のように交差し、行っては戻りを繰り返す。緻密な展開となっています。楽しめました。