余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

あれも嫌いこれも好き

2023-08-02 23:17:13 | マイブック(さ)
「あれも嫌いこれも好き」
      佐野洋子 著

佐野洋子が好きだ。
還暦くらいのころ。
ぱっぱぱっぱと思いをえいやっと綴る。
最近気になっている人物の森茉莉。
この本にも出てくる。
幸せで美しい世界は存在するものではなく、
自分で勝手に創り出すもの。
森茉莉はフワフワ歩き、
霧がかぶさっていて、霧ごと移動していたらしい。
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鳩の撃退法

2022-12-02 22:58:43 | マイブック(さ)
「鳩の撃退法 上下」
      佐藤正午 著

とにかく面白かった。
自身と他人。
他人からみた世界と、自身からみた同じ世界は、
微妙に食い違っているものだ。
その世界観を小説だからこその表現として、
とらえている。
主人公は直木賞をとったことのある小説家の津田伸一。
いまはお金もなく小説も書きあぐねている。
女の部屋に転がり込み送迎ドライバーをしている。
そこに大金が手に入ったらと思ったら、それは偽札。
小説を書きながら疾走する。
その小説のなかの出来事と、実際の出来事とを、
交錯させている。
その交錯が自身の津田伸一の世界へとなるのだろう。


時々思う。
ぼくはなにを見て、
なにを欲し、なにを好きで、
なにを楽しみ、生きるのだろうかと。
たしかな記憶のなかで。
今日も雪が降っている。
生きることを見続けているいま。
久しぶりにお酒を飲もう。
言の葉を吐き出しながら肴にして。
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身の上話

2022-11-24 23:18:25 | マイブック(さ)
「身の上話」
      佐藤正午 訳

古川ミチルは書店で働いている。
ミチルには恋人がいる。
恋人のほかに好きな人がいる。
ひょんなことから宝くじを買う。
その宝くじには二億円の高額当選。
そんなことは露知らず成り行きに起こす行動が、
人生の展開を次々とめくっていく。
その次々の展開は綱を渡る風を受けながら。
高額当選の人に渡される、
その日から読む本に目を通しながら、
ゆく先は風に押されて自我を夢みる。
ストーリー展開がやっぱりおもしろい。


宝くじはちょっとの趣味となっている。
そう、夢を見ながら。
いまの時代に風邪をひくのは大変だ。
とてもとても。
なにを気にしていいのか分からないくらいに。
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ジャンプ

2022-11-22 22:44:11 | マイブック(さ)
「ジャンプ」
      佐藤正午 著

日常の一コマを差し入れながら、
もしかしたらありふれたものだとしても、
その物語に浸れるのは、読みやすさに他ならない。
主人公の僕はあるカクテルを飲んで酩酊する。
付き合っていた南雲みはるに連れて行ってもらったバーで。
そしてその後南雲みはるはいなくなる。
突然に、なんの手がかりもなく。
そして行方を探す、なぜを抱えながら。
エンターテイメントが幕をあける。
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白の闇

2022-10-09 23:24:35 | マイブック(さ)
「白の闇」
      ジョゼ・サラマーゴ 著
        雨沢泰 訳

ある日突然男の目が見えなくなる。
そこから物語は始まる。
黒い闇ではなく、白い闇。
その病はやがて広がっていく。
ひとりふたりやがて多数へ。
広がり始めた病を抑えるため隔離されるのだが。
名前を持たない、けれどある、いる人々の、
そのなかでひとり見えるただ一人の女性を主として、
人としての尊厳を抱えるものとは、こととは。

食べて排泄する、また三大欲求。
罪や共存の精神。
白の闇は何を語り、語るのだろうか。
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