ブランコにバンビ
雨が優しく降り続く
雨に包まれたブランコ
ブランコにバンビ
白いブランコが静かにゆれて
ゆらゆらバンビ
ブランコにバンビ
通り雨だった優しいしずく
虹とブランコとバンビ
神経が刺激される
雷光のとぐろが
ざくざくと雨音と合致され
唸りをあげる
ひかる
なりひびく
ぎろろろろ
がろろろろ
ざざざざざ
色をなくす
目を奪われる
雨音と雷光の
瞬間に現われる
確かにいたあの龍に
目を閉じると
周りの景色が回転する
するどい速さで
やがてゆるやかに流れる景色
中に自身の存在を認識すると
一つ一つの感覚が自然のリズムで
染み込んでいく
音から
匂いから
肌から
色彩から
光が姿を再認識させ
酸素や二酸化炭素や窒素
そんなリズムまでも体内に入る
一人勝手に
指先がなでる
空気の粒を
つまんで食べた
何かを知るということは
とても痛いことでした
痛みに耐えられるだけの
強さもなく
非力な僕は
夜明けに寒さで泣き崩れそうでした
伸びすぎた髪が泪を隠して
よりそえる
よりかかれる人はもういない
あの人は今何をしているのだろう
ふとうかんで
そしてまたコールドがおそってくる
とても寒い夜明けでした
青と白の間
そして間にいる僕
痛いからやっぱり泣く
知る後悔はありません
ただ赤く泣くだけです
ああ 朝が来る
すこしだけ朝を呪ってしまいました
秋と冬の間のことでした
僕は永遠をすこしだけ知り
あの人の名前を口にしてみました
胸の痛さをうずかせて
負けずに泣きました
我はまた
知らないことが
多かりき
おーやあーを
どんどん貯めていく