老後は京都で !

京都の町中(堺町六角)と東京(青山)を気ままに行き来する二地域居住を実践中。 

「天使突抜  おぼえ帖」

2022年06月02日 | 京都本

「 京都でも知られていない小さな町、

それが「天使突抜(てんしつきぬけ)」。

オシャレな名前に聞こえるけれども、

古都の地場産業を支える職人さんを初めとする、

庶民が暮らす下町です。

この天使突抜で、

風呂敷職人の家に生まれた少女が

プロの音楽家を目指すに至るまでの物語や、

さまざまな人々との出会いを描く、

喜怒哀楽に満ちた珠玉のエッセイ。  

通崎睦美(つうざき・むつみ)

1967年京都市生まれ。

京都市立芸術大学大学院音楽研究科修了。

マリンバのソリストとして活動する中、

2005年東京フィルハーモニー交響楽団

定期演奏会(指揮/井上道義)で、

木琴の巨匠・平岡養一が初演した

紙恭輔『木琴協奏曲』(1944)を平岡の木琴で演奏。

それを機に、

平岡の愛器と約600点にのぼる楽譜などを譲り受ける。

以後、クラシックの分野で世界唯一の木琴奏者として、

演奏や執筆を通して木琴の復権に力を注ぐ。

13年に上梓した

『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』(講談社)で、

第24回吉田秀和賞、

第36回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)を受賞。

18年4月、ニューヨーク州立大学オスウィゴ校の招きで渡米。

同大学をはじめニューヨーク州各地で

コンサートやマスタークラスを行なった。

また、2000年頃より

アンティーク着物の着こなしや蒐集が話題となり、

様々なメディアで紹介される。

著書に『天使突抜一丁目~着物と自転車と』

『天使突抜367』(淡交社)他。

21年、第39回京都府文化賞功労賞。   」

「 著者まえがき(抄)

私は、一九六七(昭和四十二)年生まれ、

今年五十五歳。

一九六四年の東京オリンピックは知らない。

一九七〇年の大阪万博は記憶にないが、

黄色い万博の帽子をかぶった写真が残る。

そんな世代だ。

近くのお寺、上徳寺の一室で開かれていた教室で

マリンバのお稽古を始めたのは五歳の時のこと。

だからマリンバを弾き初めて五十年になる。

プロの演奏家を名乗るようになって三十年、

京都とアンティーク着物のことを書いた

初めてのエッセイ『天使突抜一丁目』(淡交社)

を上梓してからは、二十年が経つ。

時の流れは早い。自分でも驚くばかりだ。

当初、「天使突抜のこと」、

すなわち京都の下町の日常を綴る

と言われてもピンとこなかった。

しかし、

「むっちゃん」と呼んでかわいがってくださった、

近所のおっちゃんやおばちゃん達が

次々と鬼籍に入られていく。

そして、古くからあった家が解体され

マンションが建ち並ぶ。

つい最近まで、お仏壇に供える御仏花は

うちに回ってきてくださる

「白川女」のおばさんから買っていた。

しかし、そんな京都の風物も、

この十年、二十年で、

見られなくなるものがどんどん増えている。

今年、八十九歳、八十六歳を迎える両親が、

いつまでも元気でいるとは思えない。

母が戦後、満洲から引き揚げてきた話も、

今聞いておかなければ、

知らないままになってしまう

ことがあるだろう……。 」(内容)

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