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冒頭に掲げたのは、
「 読書がそれ程までに
私を熱中させることは
めったにない 」
と森有正を唸らせた
ジャンケレヴィッチの代表的著作、「死」。
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石原慎太郎氏も
(先日拙ブログご紹介した)
「老いてこそ生き甲斐」
の中でこの書について
ふれている。
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「 人間の永遠のテーマである〈死〉
を主題として奏でる
ポリフォニックな思索世界。
三つのモチーフ
〈死のこちら側の死〉
〈死の瞬間における死〉
〈死のむこう側の死〉
の展開によって、完璧に、
精妙に演じられる一大交響曲といえよう。
〈 昨日『死』を読み始めた。
一挙に私は、密度が高く
胸の高鳴る文章に熱中し、魅了された。
ソルボンヌ大学で彼の講義をしばしば聴講し、
私の内的苦悩に照応する稀な哲学者の一人だ
という印象を得た。
この本もそれを証拠立てている。
私の心を打つのは、人間的経験のさまざまな秩序だ。
この差異が
内的に深く「人格」の差異と結びついている。
この間題は、
日本語文法の人称の問題を取扱う必要のあった時、
私の心を占めていたことだ。
「実存」の問題が
はじめから記述の中心に位置している。
「経験」の単独性は、
死の事実によって否み難く実証される。
それは経験の最も鋭い特徴ではないか。
愛と死の近似性に私は強い関心をもっている。
それがどうあろうと、
それを深める前に先ず、
この驚くべき書物を読まねばならぬ。
読書がそれ程までに私を熱中させることはめったにない 〉。
(森有正『砂漠に向かって』より) 」(内容)
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