セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

敵性国家と自己保身大事の官僚・政治家を利するだけの特定機密保護法

2013-12-09 19:54:54 | 社会経済

特定機密保護法で利益を得るのは敵性国家と自己保身大事の官僚と政治家だけだ。被害者は一般国民と日本国だ。なぜ敵性国家が利益を得るのか。敵性国家にとっては相手国(この場合日本)の単に機密を知るだけではほとんど価値がなく、重要なのは相手の機密を知ったことを悟られないことだ。例えば太平洋戦争直前にアメリカは日本の外交暗号をすでに知っていたが日本にはそのことを悟らせなかった。だからアメリカは日本の開戦意志を知っていた。真珠湾攻撃まで知っていたかどうかは論争のあるところだけど。日本陸軍のパープルと呼ばれる暗号もアメリカは解読していた。陸軍はパープルに絶対の自信を持っていて一部の将校が暗号を読まれているのではと疑問をていしても強く否定した。アメリカは周到に日本の暗号を解読してることを隠蔽していた。連合艦隊の参謀が飛行機の事故でフィリピンで親米ゲリラに捕まったとき、アメリカはカバンから機密書類を入手したが内容を読んだのちカバンに戻し日本軍の捜索する海に流した。

こうした適性国家のスパイ活動には特定秘密保護法は役に立たないどころかスパイ活動を保護する要素がある。というのは情報の流失は関係省庁の役人か政治家からなのだが単に罰則を強化しても流出させる者は流出させる。今まででも国家公務員法や自衛隊法で守秘義務もあり罰則もあるがハニートラップにかかる防衛省職員も後を絶たない。バレれば生活の途を失うことは百も承知なのに。それは自分はバレないという意識があるからだ。だから役人や政治家からの国家機密の流失は必ず起こる。そして特定秘密保護法は流出されたことを隠蔽しようあるいは考えないようにしようという心理的圧力を官僚と政治家に与える。かの連合艦隊参謀も親米ゲリラにつかまったのに情報流失の査問もされずに左遷もされなかった。これは軍機法があるためへたに追求すると仲間の高級将校を罰せなければならなくなるからだ。これは軍人だけでなく役人の習性、このことを無視してはどんな方策も国民のためにならない。これと同じことが特定秘密保護法では起こりうる。

では国家機密はどうして守るのか。僕の提案は機密指定は範囲は国会で決めて、その基準をつかって省庁内部で指定してもよい。ただし機密指定されたものは一定期間後に必ず開示される。そして機密指定されたものは永久保存され廃棄は許されない。罰則も重くしても良い。しかしジャーナリズムや民間人は金銭や便宜の供与及び脅迫や窃盗及び強奪の手段では罰せられるがそれ以外の手段なら取材しても罰せられない。つまり民間人は罰則の対象外なの。官僚や政治家から機密事項が流失が判明した場合は当然に起訴されるが、同時に流出された情報は機密解除されるとともに関係省庁は流出した情報を無効とする処置をおこなう。流失が明らかなのに機密のままなのはおかしいし誤った処置でもある。政府には情報収集分析機関を置き、特定機密が国内や海外に流れていないかを常に監視する。流失がわかった場合、政府は流失経路を解明して防止策を構築する。

いいかいもう一度言うけど、機密情報の流失の一番の問題は流失したことをこちらが知らないことだ。特定機密保護法はこの面でマイナスに作用する可能性がある。


オリンピックと消費税増税

2013-09-11 20:31:21 | 社会経済

研究して書きたいテーマはいくつもあるが常に興味が拡散する事もありなかなか筆が取れない。これではいつまでたってもブログが書き込めないのでとにかくつれづれなるがままに旬のテーマについて思うことを書こう。

最近の話題は2020年の東京オリンピックだね。新聞なんかでは経済効果を期待する論調がある。アスリート以外の人にはそちらの方の関心が深いかもしれない。でもさあ今この時期にオリンピックの経済効果を期待するのは正しいことかな。アベノミクス支持者の人はデフレ脱却のこの時期こそオリンピックによる需要喚起が必要と言う。でも今は東日本大震災の復旧と過去の公共事業の老朽化による補修の喫緊の必要性に加え防災目的の国土強靭化も叫ばれていて建設土建業については人手不足でさえある。つまり2020年までは建設業は過度に忙しいが2020年をすぎる頃にはバタリと需要かなくなり建設恐慌になりかねない。極端な建設労働者不足はオリンピックに間に合わすためにやむなく多量の外国人労働者を導入することになるかもしれない。そうなると2020年に多量の外国人失業者が市中に放たれ新たな社会問題になりかねない。

インターネットの「アゴラ」で反リフレ派の小幡績氏がオリンピックに反対の記事を書いているが僕はまだ読んでいない。だから上記の考えは僕の自然発生的なもの。後で小幡氏と比較してみよう。

ところでオリンピック以外の今の話題は消費税増税だね。アベノミクス支持者にも意見の分裂があるみたいだ。つまり今消費税増税すると国民の購買力を奪うからデフレ脱却の腰が折れるから避けるべきだと言う意見と、今消費税増税しないと日本は財政再建をする気がないというメッセージを世界に放つことになり国債が買われなくなり国債価格が暴落して金利があがり日本政府の債務が雪だまり式に増え日本は財政破綻すると言うもの。

確か何日か前の日経新聞「経済教室」で伊藤元重氏が「どちらも危険があるならリカバリーできない方に対処しなければならないので消費税は増税して国債暴落に備えなければならない。消費税増税で景気が悪くなるというなら、持論の金融緩和で対処すればよい」との趣旨のことを書いていた。伊藤氏は皮肉のつもりではないだろうが、僕にはきつい皮肉に聞こえる。あ、「経済教室」の内容は僕の記憶で書いたので用語や言い回しは本人と違うかもしれないが内容はだいたいあっていると思う。もっとも消化しすぎて別物になっていたらご免。

消費税増税への景気への弊害は2種類あるらしい。一つは直接に購買力を奪うと言うもの。もう一つは消費税増税前に駆け込み需要がでるがその反動で増税後に需要が極端に減ると言うもの。新聞に多分日経新聞の記事だが、地デジとエコポイントでテレビ産業が大打撃を受けたと書いてあったが何を今さらと笑ってしまう。火を見るより明らかなことなのに当時新聞はエコポイントに反対したのかな。僕がこのブログで度々言っていたことだ。ただエコポイント当時に書いたかどうかは記憶がない。ただこうした政策の弊害はオーストリア経済学のイロハなのだから当然思ったはずである。この件に関してリフレ派(自分はリフレ派ではないと言ってるけど)の首魁の浜田氏と反リフレの小幡氏がもし消費税増税するなら1%ずつ上げるのが良いと同じようなことを言っているのが面白い。浜田氏はあげない方がいいけどもし上げるならだが。小幡氏は以前からの持論だ。

リフレ派にとっては進むも地獄退くも地獄と言ったところだと思うのだが、神懸りリフレ派は消費税を上げなければ万事うまく行くつもりらしい。「日本政府の財政は絶対に破綻しない。国債の買い手がいなくなったら日銀がいくらでも買えばよい。デフレの日本はハイパーインフレにならない。」とのことだ。すごい確信だね。「アメリカ人は個人主義だから厭戦気分で講和を求めてくる」「アメリカ人は潜水艦に乗るものがいないので通商破壊はない」とかの戦前戦中を思い出す。そういえばリフレ派評論家の上念氏は「国体」とか戦前の右翼論客みたいなことを言い出している。

リフレ派でもイデオローグの評論家は消費税増税反対、実務家の黒田日銀総裁は消費税増税やむなし。最近の政治情勢から見ると消費税は増税の方向だね。え、経済情勢もだって?それは保留。というのは経済報道が操作されている可能性がある。多くのデータが意図的に消費税増税を許容できる経済という解釈で報道されている。例えばなかなか設備投資が上向かなかったのが本当の景気回復ではないとの証拠だったのだが、ここにきて設備投資が上向いたとの報道が新聞の一面を飾った。でもよく読むと製造業の設備投資は減って非製造業の設備投資が増えてトータルで設備投資が増えていることになる。報道の仕方で記事の印象はだいぶ違う。日本人は日本が民主主義国家で報道の自由があると思っているが、日本の民主主義度は先進国の中では低くランクされている。その原因は女性の社会進出の低さの他は報道の自由度だ。役所が記者クラブを通じて発表した事柄は役所の発表の趣旨で記事にしなければならない。多数の人が読むわけではない評論では異論も許されるが報道記事では皮肉ることさえ許されない。

リフレ派の中にはこの段になっても安部首相が自分のリーダーシップを見せるために敢えて消費税増税を延期するだろう言うものもいる。でもあの人は周りの意見に逆らわない人だから消費税は来年4月から行われる。でも僕は消費税増税反対のリフレ派が本当は消費税増税を実行してもらいたいのではと思っている。そうすればどのみち破綻するリフレ政策の失敗の言い訳ができるから。こんなことを僕が思うのは、歴史にこんなことがあった。戦前の日本は陸軍にしろ海軍にでも敢闘精神が尊ばれた。だから戦に勝った指揮官が敢闘精神が足りないとけなされ、戦に負けた指揮官が敢闘精神があると敗戦をとがめられるどころか出世さえした。こんなわけで大日本帝国軍人は常に勇ましいことしか言わない。日米開戦にあたって東條首相を含む陸軍指導者も海軍指導者も戦争の見通しに自信がなくて、誰かが開戦に反対するだろうからそしたら自分は開戦したいがシブシブ従うということにしようと思っていた。ところが誰も開戦をのぞんでいないがそれを口にする者がいなかって日米開戦となった。もし重臣のなかに一人でも見えや外聞にとらわれないで国を思い開戦に反対して腹を切るものがいたら天皇も戦争回避を強く求めることができて太平洋戦争は起こらなかっただろう。

ところでリフレ派が消費税増税の反対の理由に「よいインフレと悪いインフレがあると」という。よいインフレとはそれで景気がよくなるインフレと言う意味だがそんなものないよ。高度経済成長の時に物価が持続的にあがったのは経済成長の結果であって原因ではない。そんなのは誰にでもわかることだ。それも結果に付随したことであっても避ければ避けたいことだ。だから都知事が物価を抑えられるとは思えないけど「物価の美濃部」と言う人が都知事に当選した。リフレ派の人は諸外国ではインフレターゲットを定めているというが、アメリカ以外ではそれはインフレ達成の目標ではなくてインフレの許容範囲の限界として。これを超えそうになったら金融緩和を中止しなければならないもの。過去の日本だけでなく世界の成長国ではもちろんインフレは歓迎されない。リフレ派みたいに成長の素とは思わないで、むしろ成長の阻害要因と見ている。

リフレ派が「悪いインフレ」というのがおかしいのは、よいインフレなどないからだけでなく、「悪いインフレ」の中でも「より悪いインフレ」を推奨しながら「比較的悪くないインフレ」の懸念をいうからだ。物価上昇が国民の購買力を奪うのは、あんたらが今さらいうまでもない。しかし経済学的にみれば消費税増税は国民の購買力を奪う反面、政府支出が増えるから国民経済的にはブラスマイナスゼロ。これは比較的悪くない物価上昇といえる。ところが円安によるエネルギーや食料の価格上昇は購買力が国外に流出するから悪い物価上昇だ。不況下の物価高というスタグフレーションが1970年代で起こったのは産油国が原油価格を上げたためだ。おっと僕は消費税増税がいいと言っているわけではない。経済学の解釈にもかかわらず現実の消費税増税分は政府支出としては十全に経済を潤さない。たぶんそのうちの一定の部分は行政癒着企業や役人の懐にただ移るだけ。つまり貧乏な庶民から裕福なものへの所得移動が起こるだけ。これならそのまま庶民の手元に残った方が健全な経済活動に資するよ。以上はリバタリアン的見解でした。

リフレ派はその場その場で非論理的な取り繕いするな。一年前のリフレ派からは「悪いインフレ」に気をつけようなんて言葉は絶対に出てこなかった。

オリンピックの影響で株価が再びあがり始めたね。僕の予想では10月末に株価の大暴落がありそれからしばらくさらに下がり続けるはずだが、大暴落には落差がたりない気がしていたが予定どおりになりそう。


参議院選挙後の感想

2013-07-27 18:00:22 | 社会経済

しばらく書いていないので書いてみる。

まず自炊は続いている。しかし自炊ばかりしていては何もできないのでなるべく夜テレビを見ている時にスキャナーをまわして朝昼は他のことをしようとつとめている。最近のふと気づいたのだが本をPDF化したファイルを誤って消去したら何百万円分の書籍が消えてしまうことになる。そこで外付けハードディスクを買ってきてファイルのコピーを作ることにした。今のところコピーには約1時間かかる。

誤って消去してしまう危険はPDFファイルは保存しやすいようにデスクトップに置いていることによる。実は書籍をPDF化するに当たってフチ切りの不完全による接着のためか紙質自体の相性のために二枚重なってスキャナーをすり抜けるものがある。その補正のためPDF組換えソフトを使って本一冊のPDFをバラバラにして間に欠損ページ分を組み入れたりすることがある。そうした作業のあと使ったPDFの断片をゴミ箱に消去してデスクトップ画面をきれいにしている。その時ウッカリすべてのPDF化した書籍の入ったファイルを消去しかけてビックリしたわけである。

スキャナーで読み込んだあとの本は紙資源にだしている。したがって究極には我が家には一冊の本もなくて、ただコンピュータの中にPDFファイルのみが残る。そのときもし誤ってそのファイルを消去したら究極の断捨離で悟りが得られるかなあ。

さて参議院選挙の感想をこの機会に書いておこう。自民党の過半数超えは予測のとおり。僕のシナリオをどおりに進んでいる。僕のシナリオは財政破綻による日本改革なので安倍首相はいい仕事をしていることになる。僕の想定では財政破綻後の日本再建にはリフレに手を染めなかった与野党の政治家が中心となる。リフレに手を染めた政治家は資質的に正しい政治が行えないことが明らかに証明され、A級戦犯で公職追放だ。

僕の想定では自民党では河野太郎と小泉進次郎が残るのではないかと思っている。参議院選挙の特集番組をみて、やはり小泉進次郎は間違いないと思った。小泉進次郎は自民党の青年局長なので自民党の党執行部の一員なのだが、参議院選挙時には選挙の行方にあまり関係ないと思える被災地や離島ばかりを遊説していた。その意味はアベノミクスなどの安倍首相の政策に触れたくないからだ。つまり内心では批判的だからだ。都市部の激戦地にいくと野党との競合で大勢の人々の前で与党の経済政策の成果を強調せざるを得ない。その点離島で数十人から数百人からの人の前でその土地の言葉でその土地の産物についての話の他は「みなさんは今の自民党に満足していますか」の話だけだ。聴衆の中にはアベノミクスに幻惑させられていて「満足している」という人もいて進次郎氏が戸惑うこともあるが、ともかく小泉進次郎氏はこれでアベノミクス敗戦のA級戦犯にならずにすむ。

しかしすでに否定されたはずのものが安倍内閣のもとで次々大手を振って復活している。公共事業による景気回復は効果がないことが明らかになっていたはずなのに復活している。国家公務員の天下りも良くないとのコンセンサスがあったはずなのにテレビをみると当選した自民党議員が「役所人事の若返りには必要」と述べている。これが安倍内閣の本質だから小泉元首相の息子としては安倍首相とは距離をおかざるをえない。

数日前の本の新聞広告で日本の中国研究者の人が中国の歴代王朝の盛衰は同じパターンの繰り返しだから共産党政権もそうなる趣旨の本を出しているらしい。共産党政権の前の国民党政権が違うような気がするので共産党も別の形で崩壊する気がするのでその本どおりではないかもしれない。むしろパターンをいうなら中国の統一と分裂の繰り返しの方が多いにありうる。統一あれば分裂ありが中国の歴史。踏み込んで予言じみたことを言うと、原発事故により中国内部に空白地帯ができそれを契機とした中国の分裂だ。中国の解決が難しい難問は水(水不足と水汚染)と空気(大気汚染)にそれに予測される土(原発事故による土壌汚染)が加わる。原発事故は空白地帯を作り物理的に中国を南北に分けるだろう。

オット話がそれた。実は日本の歴史にもパターンがある。体制の末期に人々から英明と期待される貴公子がでてくるが、結局その貴公子が体制崩壊の元となるもの。徳川18代将軍徳川慶喜であり近衛文麿首相だ。この二人の共通なのはそれまでに実績がないのに英明との評判をとったことだ。徳川慶喜は御三卿の出身で領国を経営したことはない。御三卿というのは領地がなく幕府からの米や金子の支給を受け家臣も幕臣の出向だ。近衛文麿も役所勤めとか代議士経験があるわけではない。ではなぜ「英明」との評判がたつのか。それは幼い頃から周りの人びとが期待し喜ぶことを察知しそれを言う能力に長けているからだ。

安倍首相も全くこのパターン。前の首相のとき「失われた年金はすべて解明します」と言った。もちろん出来なかったし、もともの「すべて」は不可能だ。「できる限り努力します」ならよい。でも彼は言い切ってしまうのだなあ。それは聞く相手が喜ぶから。あきらかに味方にならない人は非難するが、味方になりそうな人にはその場その場で相手が喜びそうなことを言う。当然矛盾する事もでてくるがいつも本気ではないので気にしない。話がちがうと文句もでそうだが、再び面と向かって快い言葉を言われると過去のことは忘れてしまう。カルト宗教信者と同じだ。だから安倍首相こそこの時に出てきた「奇跡の人びと」だ。

ところで最近の出たリフレ派の本を立ち読みしたら「インフレーションは金持ちほど不利だ。金融資産を持っているが価値がへるから」と書いてあった。これは論理的な誤謬でもあるが悪質な歪曲でもある。論理的な誤謬というのは、貧しい人びとはその収入のすべてを生活物資の購入に使わざるを得ない。だからインフレによる生活圧迫はほほ100%に及ぶ。だから富裕層が貧乏人より不利だということは論理的にありえない。エジプトでもブラジルでもインフレにより庶民のデモが起こっているが、かの国のDJポリスが「富裕層の人はもっと苦しんでいるが経済成長のためにガマンしているのです」と言った話は聞いたことがない。

悪質な歪曲というのは、金持ちの金融資産は現金や預金で持っているのはホンの一部だ。金融資産といえば株式や投資信託だ。これらはインフレになれば値も上がる、いやインフレにするという目的のために金融緩和で値を吊り上げようとしている。また富裕層はインフレになるとすでに持っている金融資産や不動産を担保に金を借りその金で新たな資産を買い求める。かくしてアメリカでは金融緩和により1%の人間に国中の富の4割が集中した。金持ちが豊かになれば回り回って底辺層も豊かになるからひがむべきではないという意見がある。この間、藤沢数希氏がブログで「アメリカで富裕層が豊かになったが、庶民も2%だが所得が増えているからトリクルダウン効果はある」と書いたところ、多くから「2%名目所得が増えても3%のインフレだから実質は1%の所得減だ」との声が寄せられた。藤沢数希氏は反リフレ派だけど金持ち相手の金融マンだからトリクルダウン効果を信じたかったのか、それともわざと突っ込まれるようにしたのかは不明だ。でも藤沢氏のブログに載せたグラフからの必然の結論では99%の非富裕層が所得を減らしているのは明らかだ。お金持ちになる確実な方法は作家にとか歌手あるいは宗教家にせよ幅広い庶民から少しづつお金を集めること。インフレは大衆収奪のその際たるものだ。


クール・ジャパンとクールなソロス

2013-06-24 22:56:18 | 社会経済

今日は映画を見てきた。イ・ビョンホンも出演するアメリカのアクション映画『G.I.ジョーバック2リベンジ』だ。と言っても『G.I.ジョーバック2リベンジ』を書きたいわけではない。スクリーンを見て感じたアメリカ映画における日本文化の影響だ。

まず『パシフィック・リム』という近日中に上映する映画の予告編を見た。海中から巨大怪獣が現れてサンフランシスコをメチャクチにするが通常兵器では対処できない。そこで人類の最後の希望として人型巨大ロボットが投入される。それは2人の人間が意識をシンクロさせて操縦するとだ。あれ?これって『ゴジラ』と『新世紀エヴァンゲリオン』のパクリじゃないの。次に本編の『G.I.ジョー』を見ると、背中に刀を背負った忍者スタイルの人間がチャンバラをやるのはアメリカ映画だけでなく中国映画や韓国映画にもよく見られるが、『G.I.ジョー』にはその他に日本の戦隊物のヘルメットとコスチュームにそっくりの戦闘員が敵味方にも何人も出てくる。じつはアメリカでは日本のテレビ映画の『ゴレンジャー』がドラマ部分はアメリカの俳優が演じた部分と差し替えて放送されていたのだ。このため変身して戦闘場面になると全員短足になるとか。

アメリカが元なら権利問題で訴訟になりかねない。でも日本は鷹揚だからそんなことにはならないかも。むかし『ライオン・キング』と『ジャングル大帝』の類似性が指摘されたけど手塚プロダクションはディズニーに模倣されたのなら光栄ですと訴訟する気はさらさら見せなかった。

でも訴訟しようにも戦隊物のコスチュームは日本ではご当地キャラクターはじめいっぱいあるからそれらから訴訟しないとつじつまが合わない。ここはクール・ジャパンがハリウッド映画に影響を与えているということで満足しなければならない。

さて年末まで書かないと思ったアベノミクスの評価だがほぼ予想どおり進んでいるね。予想がチョつと外れたのは6カ月後に流れが変わるという歴史法則(?)を述べたにもかかわらず参議院選挙後の7月に大きく落ちこむと予想したことだ。でも株価については安部政権からきっかり6カ月後の5月23日に暴落したね。これで流れが変わったと多くの人が気づいたはずだ。最近の世論調査ではアベノミクス効果は「続かない」と思っている人が43%で「続く」と思っている人の36%を上まわっている。

僕は参議院選挙までは政府が選挙対策で財政出動するから株価と景気は持つという俗論に引きずられ6カ月で反転という歴史の峻厳な法則を軽んじてしまった。恥じ入るしだいだ。でもこれまでの経過を見ると、株価も為替も海外の状況にもっぱら影響されて動くということがはっきりしているね。円高も不況も日銀が通過供給量を増やせば自由に操作できるといっていたおまじない経済学とも言うべきリフレ理論は何の役にも立たないわけだ。

でも7月の予言物語のシナリオはまだ有効だよ。5月23日が単なる小さな前触れに見えることが起こるかも。

リフレ派は株価の下落は早過ぎ株価上昇の「調整」だという。でも「三歩すすんで二歩下がる」なら差し引き一歩進んでいるから「調整」でもいいけど、黒田日銀新総裁が異次元の金融緩和政策をはじめた時点に戻っている。つまり「三歩すすんで三歩さがる」ことでもとに戻るのを「調整」と言うのかな。

今年の3月号の雑誌で投資家のジム・ロジャーズが日本の金融緩和には反対だけど金融緩和すれば株価が上がるから日本株を買うと言っていた。僕はその時「いつ売るかに興味があるな」(2013ー02ー16)と書いた。実際ロジャーズは5月6日に日本株をすべて売った。それから少しして5月23日に暴落は起こった。またやはり2月ごろテレビ番組でアベノミクス支持者の評論家がソロスの側近からソロスが日本株を多量に買っていると聞いたと喜んでいた。僕はそれが喜ぶことかとあきれてしまった。もちろんソロスも暴落前に日本株をすべて売り大儲けしている。

ロジャーズとソロスは以前にコンビを組んでいた。だから同じ思考方法だと思う。その考えは「市場は必ず間違う。間違った考えに支配されるからだ。しかもその間違った考えは運動量を持ちとことん突き進む。だが必ず現実に引き戻される時がくる。そこに儲けの元がある」と言うもの。ロジャーズは人がいいから商売では日本株を買うけど金融緩和は日本にはよくないと正直に言う。ソロスは間違うのはその人の個人責任だし正しいことを忠告してもどうせ聞かないのだからと間違うことを助長するようなことを言いより大きい儲けを図る。そのため英国銀行を騙して記録的な大儲けをしたと非難された。

ところでリフレ政策は現実と無関係のおまじないだけど、伝統的な考えからしても逆に動いていることがある。黒田日銀が長期国債を多量に購入したから普通なら長期金利が下がるはずなのだが逆に長期金利が上がったのだ。つまり意図と結果が無関係どころか全く反対になったのだ。

長期金利は長期国債の金利で決まる。長期国債の金利は市場での長期国債の値段なのだが長期金利が低いほうが値段の高いことになる。例えば10年後に1万円が国から返される国債があるとする。確か国債は毎年支払われる利子のクーポンみたいな物が付いていたような気がするが簡単にするため省略する。10年後の1万円のために今の1万円を払うのでは意味がない。だから例えば9000円で取引されているとする。1万円から9000円を引いた1000円が利子で1000円割る9000円が10年間の利子率だ。1000÷9000だと0.11つまり11%が10年間の利子率。1年にするといくらになるか面倒臭くて計算しない。国債の人気が高いと高く取引される。たとえば9500円になる。500円が利子になり500÷9500の5.2%が10年間利子率となる。つまり国債を大量に購入すれば国債の値段が上がり長期金利は低くなるはずだ。

ところが黒田日銀が多量に国債を購入したのに長期金利は上がったのだ。普通はあり得ないことだ。上がった国債の長期金利を下げるには一層の国債購入と行きたいが国債購入したための金利上昇の可能性があるのでそれは躊躇せざるを得ない。まあ兵力の逐次投入はしないと言って最大限購入したはずだから、さらに購入額を増やすと結局逐次投入しているように見えるものね。

国債の購入と言っても政府が発行したものを直接日銀が買うのではない。市中の金融機関が持っているものを購入するのだ。こうすれば長期金利を下げるとともに金融機関に購入代金の貨幣が多量に流入するからね。これで質的(利子率)にも量的(お金ジャブジャブ)にも金融緩和なる。そんな面倒なことをしなくても政府から日銀が直接購入すればと言う意見もあるが、日銀が政府から購入すると日本国債は危ないから金融機関が買わなくなったから日銀が買うしかないとの憶測を生むから禁じ手だ。

では日銀が多量に購入したのになぜ国債価格がさがり長期金利が上がったのか。実は日本のメガバンクは国家破産(X-day)による国債大暴落に備えて目立たぬように売り抜けにくい長期国債をへらして短期国債に切り替えていたのだ。財務報告書のうえでは国債所有額は変化がないのでお上に楯突いてはいないように見える。ところが黒田日銀新総裁が長期国債を多量に購入すると宣言したため堂々と日銀に長期国債を売却して手放すことができる。かくして日銀が購入する以上に国債が市中に出回り国債価格が下がり長期金利は上がるわけだ。

リフレ派の人は国債が日本国内で所有されているから投機的な投げ売りはないから安全と言っていたが、政府に従順な国内金融機関に国債を手放させているから、内部から防御壁を崩しているようなものだ。X-dayはいつか分かった時がX-dayって誰かが言ってたね。


橋下発言と日本文化

2013-05-18 12:16:31 | 社会経済

今日は本の自炊を少し休んで書き込みする。

まずは橋下大阪市長発言について。橋下氏の発言は本人の意図とは別にアメリカ国内の韓国系市民による「性奴隷」論者を助けたね。と言うのは、多分アメリカの大部分の市民は韓国系市民がいかに叫ぼうとも関係ないからほぼ無関心で、また韓国系市民のことだから誇張が多いのではないかと思うのだが煩わしいから信じたフリをしていたと思う。でも橋下発言で「他の国もやっていた」と言われると、アメリカ市民も「おいおい、それは違うぞと」と関心を高めたと思う。

日本の否定派の論拠は「従軍慰安婦」は民間業者の売春業だから国家権力により狩り出されものではないということ。だから他国にもあるだろうと橋下発言が出てきた。しかし奴隷かどうかは自由に辞めたり入ったりできるかということ。戦前の日本の売春業には借金とかによる拘束が大きい。だから他国と同じとは言いきれない。

会社の仕事が嫌でイヤで仕方がなくても辞めることが出来ないならばそれを「賃金奴隷」という。従軍慰安婦たちが自由に辞めたり就業できたりしたかが解明されなければならない。あ、もちろん補償をうけなければならないと判断されるなら謝罪は別としても補償すべきは韓国政府だ。日韓基本条約があるからね。

ところで橋下氏は「沖縄の駐留米軍は風俗業を活用しろ」と言ってアメリカ政府のヒンシュクを買った。アメリカ兵は買春を禁じられているのだ。橋下氏は日本の風俗業は法で認められたもので売春ではないと言う。アメリカには「ナンノコッチャ」と理解できない。これは橋下氏の説明不足。

ここは若干詭弁だけどもっと日本文化について説明すべきだったね。江戸時代、日本では政治批判は禁じられていた。もちろん演劇でも同じ。ところが本質的に現政権のことを批判しているのだが別の時代のことだとして時代設定や登場人物名を変えれば罰せられない。つまり江戸時代から日本はそれなりの法治国家だったのだ。つまり法律の形式性を認めそれをかいくぐれば違法ではないのだ。現在の日本では売春は禁止されている。売春を金銭の対価による性器の接続と定義すると性器どうしが接続しなければ売春にはあたらないことになる。そこで日本文化の特性が発揮される。売春でない範囲で売春に限りなく近い効用を工夫する。これこそ日本文化の真髄。橋下氏はもっと説明すべきだ。

でもやはりヒンシュクを買うだろうな。