セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

名古屋市健康福祉局嘱託職員不正採用事件の雑感

2012-12-22 23:02:47 | 名古屋

http://mainichi.jp/area/news/20121221ddh041040006000c.html

この件について僕が何か特別な情報を持っているわけでもない。また市役所内の最近の内実を知っていて告発とか提案をするわけではない。退職後もう何年もたっているし在職中でも地位も部署も市会議員の「口利き」とは無縁であった。だから純然たる雑感を書くしかない。それでも名古屋市役所には関係ない人には違う視点で参考になるかも。あ、もちろん名古屋市職員の多くからもお前の見方はおかしいと言われることは多いにある。事実関係で勘違いがあったら指摘してね。

まず記者会見に河村市長ではなく2人いる副市長のうち住田副市長がでてきたね。もちろん健康福祉局は住田副市長の所管でしかもこの嘱託職員の採用試験は健康福祉局保険年金課が行ったのだからなんら不思議はない。でも河村市政になってからやたらと住田副市長の姿が目に付く。これは河村市長という市政上の異常事態に対して住田副市長しか落とし所を作れないためではないかと思う。名古屋市に関係ない人に説明すると住田副市長というのは異例の人だ。普通は副市長というのは重要部署の局長が定年退職後になることが多いが、住田副市長は定年を数年後に残して理事という下の役職から副市長になったのだ。これは日本の官僚制度では異例なことだ。これが河村市長になってからなら外部からの新市長の慣例無視の人事でかたづけられるが、住田副市長が誕生したのは前松原市長の時だ。これで市役所の高級幹部から不満が漏れてこない(ように思える)のは住田副市長が明らかに他と違う能力があり回りもそれを認めざるをえないからだろう。僕は住田氏とはまったく面識がないのでこれは想像だけど、そう思わなければ理解できない。

それで住田副市長がどうこの件に関係してくるか想像してみよう。今年4月に「市長ホットライン」に通報があったとしたら河村市長は当然に知っている。そこで市長は両副市長や健康福祉局長・総務局長など幹部職員と対策を協議したと思う。握り潰すことは論外だ。握り潰しても通報者がマスコミにリークするかもしれないからね。問題は市役所内部での懲戒処分で収めるのか刑事告発までするのかということだ。他の幹部は市議の口利きは今までもあったことなので懲戒処分で収めようと思ったろうが、住田副市長はそれでは収まるらないと思い刑事告発を主張した。刑事告発なら元生活福祉部長は実刑でなくて執行猶予でも懲戒免職になるだろう。課長と係長は上司の命令に抗えなかったとして起訴猶予になって数ヶ月の停職というところだろう。虚偽有印公文書作成は公務員にとって決して軽い罪ではないので減給ではすまない。河村市長はどうすればよいか逡巡したが住田副市長の発言で力をえて刑事告発することにした。また記者会見は河村市長がしては河村市長が職員退治をしているように見えるので住田副市長は自分がするとかってでた。まあ僕の見てきたような空想話だがベストはこうなるので幹部で一番見切りができると思う住田副市長ならこう言うと思う。他の幹部は役人の性で先が見えず内々にすませたいとの傾向があると思う。

次に時期のこと。通報された時期と記者会見の時期それぞれに意味がある。今年4月に通報があったとすれば通報者は今年4月に保険年金課からあるいは健康福祉局から外へ異動した人だろう。あるいは3月に退職した人かもしれない。こんなことを言うと通報者が特定されて本人に迷惑がかかるというかもしれない。でも大丈夫だろう。「市議の口利き」をこころよく思わない職員が大多数だから通報者がわかっても何もないだろう。

次にこの12月に記者会見したということの意味は、嘱託職員を来年3月でクビをきるつもりだからと思う。当然に採用取り消しつまりクビにしたければならないがあまり早くてはその区役所が欠員になり事務とくに手続き中の案件に支障がでる。12月に記者会見して3月にクビにするなら4月から他区の新採用とともに補充できる。だから9月10月でできた記者会見を12月まで延ばしたと思う。

つぎに思うのは、当の嘱託職員は一般常識試験の成績がよくないのに改竄されて合格したことだが、勤務成績はどうなのだろう。平均より下ならば「なるほど試験成績と業務能力は相関関係がある」ことになるが、そうでなければ試験はただ数を絞るだけの手段。もし抜群に業務成績が良かったら選考規準を考え直さないとね。だってペーパー試験が本当は落ちていて面接は口利きで合格だから本来採用されない人だもの。

滞納整理嘱託職員は保険料未納世帯の財産調査や電話や文書による納付の督促を行うそうだ。昔なそんなのはなかった。つまり昔は職員がやっていた。なんかだんだんやな仕事や困難な仕事は嘱託や外部に回されて行くみたいな気がする。僕は区役所の保険料係長をやったことがある。もちろん督促だけでなく電話加入権の差し押さえや参加差し押さえをやったよ。でもそうして公務員というのは使える方法や行政的法的資源を見つけ出して問題解決する能力ができるのではないのかな。今の公務員は報告書の作成と数値目標の作成とその帳尻合わせを仕事と思っているのかもしれない。職員の全体の学歴水準は上がっているが問題解決能力は低下せざるをえない。


総選挙後の雑感

2012-12-19 22:32:28 | 社会経済

予定どおりというか期待どおりというか安部自民党が総選挙で大勝したので政権に返り咲くことになった。期待どおりといっても僕は安部晋三の政策とか考え方とか人格とかを支持するものではない。安部政権に期待する理由はこの前に書いたとおりだ。何日か前の中日新聞のたしか(名古屋)市内版のページに記者が友人の公務員に日本を良くするにはどうしたよいと思うかと聞いたところ「財政破綻させるしかない」とのことであった。行政の中や近くに居ながら取り込まれていなくて醒めた目でみることができるなら同じ答えになるのかなと思った。

 

ところで自民党が大勝したと言っても安部自民党に人気も期待もあったわけではない。自民党は大敗した前回よりも得票数を減らしている。しかし民主党がもっと大きく得票数を減らしたから各選挙区で自民党と民主党の得票順位が逆転して軒並み勝者敗者が入れ替わったのだ。自民党には既得権益で結びついた固定支持層がある。それはあまり変化しないから対抗政党の浮き沈みとの比較で沈みまた浮くわけだ。

 

しかし自民党をこんなにも大勝させたのは民主党の沈没だけではない。いわゆる第三極といわれる諸政党の合従連衡のまずさというより不可解さが問題だ。かなりの選挙区で自民党票より(民主党+第三極)票が多いからどちらかが控えれば反自民政党が当選したというのではない。反自民票をどう固めるかではなくて、自民党と民主党に共通するものと違うものをどう第三極として提示できるかだよ。つまり自民党と民主党を第一極としてそれと明確に違う第二極として現れて民主党を凌駕すれば自民党にも勝てた選挙区が数多くあったと思う。あ、共産党はたしかに自民党とも民主党とも明確に違うけど明後日の方に行っちゃっているから伸びる可能性はない。この点の総括がないと共産党は衰亡の一途だ。ともかく「立ち上がれ日本」を含んだ日本維新の会も小沢一郎を含んだ未来の党も自民党や民主党との類似性や継続性が感じられて魅力や期待を失った。前議員62名の未来の党が9名になって前議員8名のみんなの党が18名になったのも、まあそんなところかな。みんなの党はインフレターゲットなんて言うから支持はしないけど、安部自民党と同様に期待している。ああニヒリステックな爆弾魔のアナーキストの気持ちがよくわかる。これしかないもの。あっと僕は同じアナーキストでもアナルコキャピタリストの方だからニヒリストではないし爆弾を作らない。ただ息をひそめて安倍晋三の自爆テロで日本政府が財政破綻するのを待っているだけだ。

 

それはさておき、元々減税日本だが合従連衡で未来の党から愛知1区で出て敗れた元河村たかし秘書の佐藤夕子氏の敗戦の弁は「減税日本で戦いたかった」だ。河村市長もこのことについて今ごろ忸怩たる思いがあることだろう。また脱原発も国民の関心は高いのに選挙の争点に持ってこられなかった不思議さも月曜日の「TVタックル」に指摘されていた。これについて別のテレビである人が「任期が最長4年の衆議院議員候補が20年先にどうするといっても国民はピンとこない。最長4年先までどうするという話をしなければ」と言っていた。なるほどと思った。僕は前回「脱原発という戦線ができたならそれに乗ったほうが有利なのかよくわからなくなった。というより戦線をどうつくりどうマネジメントするかでしょぼくれるか化けるかが決まる」と書いたけど結局しょぼくれた。まあ僕に分かることが河村市長になぜ分らなかったのか。河村市長が僕よりあたまが悪いからか。そうではない。あ、いやその仮説も僕には捨てきれないが、岡目八目で関係ない者には見えても当事者には見えないこともある。だから僕が軍師になっても僕も見えなくなるかもしれない。

 

ところで今回の投票で守山区の某投票所でアルバイトの投票事務従事者が「家族から投票を頼まれてきた」という人に小選挙区の投票用紙を二枚渡して投票させてしまったね。直接的にはアルバイトへの説明の不徹底と説明されている。多分庁内的にはアルバイトを使い過ぎる点にも批判がでるかもしれない。僕の見方は、まず職員にとっては当たり前過ぎることでも非職員にはそうでないかもしれないのに同じ常識を共有していると思いこみ説明がおろそかになったかもしれない。それから、アルバイトもこの要求は間違っているかもしれないと頭によぎったがはっきり間違っているとして拒否する根拠も持っていない。本来ならば投票所内にいる職員か投票管理者に聞けばよいが何か声をかけにくいものがあり、そこでアルバイトは当面する困った状況のストレスから抜け出す方法として、言われるままに二枚渡してしまったのだ。勿論後でもっと困るかもしれないことは知っているだろうがでも当面するストレスから逃れることで頭が一杯になってしまうのだ。

 

なぜこんなことを取り上げたかというと、これこそ世の中の不可解な事象を解く鍵ではないのかということ。これにより河村市長の迷走もこれからの安倍自民党の財政金融政策も理解できる。