今日は映画を見てきた。イ・ビョンホンも出演するアメリカのアクション映画『G.I.ジョーバック2リベンジ』だ。と言っても『G.I.ジョーバック2リベンジ』を書きたいわけではない。スクリーンを見て感じたアメリカ映画における日本文化の影響だ。
まず『パシフィック・リム』という近日中に上映する映画の予告編を見た。海中から巨大怪獣が現れてサンフランシスコをメチャクチにするが通常兵器では対処できない。そこで人類の最後の希望として人型巨大ロボットが投入される。それは2人の人間が意識をシンクロさせて操縦するとだ。あれ?これって『ゴジラ』と『新世紀エヴァンゲリオン』のパクリじゃないの。次に本編の『G.I.ジョー』を見ると、背中に刀を背負った忍者スタイルの人間がチャンバラをやるのはアメリカ映画だけでなく中国映画や韓国映画にもよく見られるが、『G.I.ジョー』にはその他に日本の戦隊物のヘルメットとコスチュームにそっくりの戦闘員が敵味方にも何人も出てくる。じつはアメリカでは日本のテレビ映画の『ゴレンジャー』がドラマ部分はアメリカの俳優が演じた部分と差し替えて放送されていたのだ。このため変身して戦闘場面になると全員短足になるとか。
アメリカが元なら権利問題で訴訟になりかねない。でも日本は鷹揚だからそんなことにはならないかも。むかし『ライオン・キング』と『ジャングル大帝』の類似性が指摘されたけど手塚プロダクションはディズニーに模倣されたのなら光栄ですと訴訟する気はさらさら見せなかった。
でも訴訟しようにも戦隊物のコスチュームは日本ではご当地キャラクターはじめいっぱいあるからそれらから訴訟しないとつじつまが合わない。ここはクール・ジャパンがハリウッド映画に影響を与えているということで満足しなければならない。
さて年末まで書かないと思ったアベノミクスの評価だがほぼ予想どおり進んでいるね。予想がチョつと外れたのは6カ月後に流れが変わるという歴史法則(?)を述べたにもかかわらず参議院選挙後の7月に大きく落ちこむと予想したことだ。でも株価については安部政権からきっかり6カ月後の5月23日に暴落したね。これで流れが変わったと多くの人が気づいたはずだ。最近の世論調査ではアベノミクス効果は「続かない」と思っている人が43%で「続く」と思っている人の36%を上まわっている。
僕は参議院選挙までは政府が選挙対策で財政出動するから株価と景気は持つという俗論に引きずられ6カ月で反転という歴史の峻厳な法則を軽んじてしまった。恥じ入るしだいだ。でもこれまでの経過を見ると、株価も為替も海外の状況にもっぱら影響されて動くということがはっきりしているね。円高も不況も日銀が通過供給量を増やせば自由に操作できるといっていたおまじない経済学とも言うべきリフレ理論は何の役にも立たないわけだ。
でも7月の予言物語のシナリオはまだ有効だよ。5月23日が単なる小さな前触れに見えることが起こるかも。
リフレ派は株価の下落は早過ぎ株価上昇の「調整」だという。でも「三歩すすんで二歩下がる」なら差し引き一歩進んでいるから「調整」でもいいけど、黒田日銀新総裁が異次元の金融緩和政策をはじめた時点に戻っている。つまり「三歩すすんで三歩さがる」ことでもとに戻るのを「調整」と言うのかな。
今年の3月号の雑誌で投資家のジム・ロジャーズが日本の金融緩和には反対だけど金融緩和すれば株価が上がるから日本株を買うと言っていた。僕はその時「いつ売るかに興味があるな」(2013ー02ー16)と書いた。実際ロジャーズは5月6日に日本株をすべて売った。それから少しして5月23日に暴落は起こった。またやはり2月ごろテレビ番組でアベノミクス支持者の評論家がソロスの側近からソロスが日本株を多量に買っていると聞いたと喜んでいた。僕はそれが喜ぶことかとあきれてしまった。もちろんソロスも暴落前に日本株をすべて売り大儲けしている。
ロジャーズとソロスは以前にコンビを組んでいた。だから同じ思考方法だと思う。その考えは「市場は必ず間違う。間違った考えに支配されるからだ。しかもその間違った考えは運動量を持ちとことん突き進む。だが必ず現実に引き戻される時がくる。そこに儲けの元がある」と言うもの。ロジャーズは人がいいから商売では日本株を買うけど金融緩和は日本にはよくないと正直に言う。ソロスは間違うのはその人の個人責任だし正しいことを忠告してもどうせ聞かないのだからと間違うことを助長するようなことを言いより大きい儲けを図る。そのため英国銀行を騙して記録的な大儲けをしたと非難された。
ところでリフレ政策は現実と無関係のおまじないだけど、伝統的な考えからしても逆に動いていることがある。黒田日銀が長期国債を多量に購入したから普通なら長期金利が下がるはずなのだが逆に長期金利が上がったのだ。つまり意図と結果が無関係どころか全く反対になったのだ。
長期金利は長期国債の金利で決まる。長期国債の金利は市場での長期国債の値段なのだが長期金利が低いほうが値段の高いことになる。例えば10年後に1万円が国から返される国債があるとする。確か国債は毎年支払われる利子のクーポンみたいな物が付いていたような気がするが簡単にするため省略する。10年後の1万円のために今の1万円を払うのでは意味がない。だから例えば9000円で取引されているとする。1万円から9000円を引いた1000円が利子で1000円割る9000円が10年間の利子率だ。1000÷9000だと0.11つまり11%が10年間の利子率。1年にするといくらになるか面倒臭くて計算しない。国債の人気が高いと高く取引される。たとえば9500円になる。500円が利子になり500÷9500の5.2%が10年間利子率となる。つまり国債を大量に購入すれば国債の値段が上がり長期金利は低くなるはずだ。
ところが黒田日銀が多量に国債を購入したのに長期金利は上がったのだ。普通はあり得ないことだ。上がった国債の長期金利を下げるには一層の国債購入と行きたいが国債購入したための金利上昇の可能性があるのでそれは躊躇せざるを得ない。まあ兵力の逐次投入はしないと言って最大限購入したはずだから、さらに購入額を増やすと結局逐次投入しているように見えるものね。
国債の購入と言っても政府が発行したものを直接日銀が買うのではない。市中の金融機関が持っているものを購入するのだ。こうすれば長期金利を下げるとともに金融機関に購入代金の貨幣が多量に流入するからね。これで質的(利子率)にも量的(お金ジャブジャブ)にも金融緩和なる。そんな面倒なことをしなくても政府から日銀が直接購入すればと言う意見もあるが、日銀が政府から購入すると日本国債は危ないから金融機関が買わなくなったから日銀が買うしかないとの憶測を生むから禁じ手だ。
では日銀が多量に購入したのになぜ国債価格がさがり長期金利が上がったのか。実は日本のメガバンクは国家破産(X-day)による国債大暴落に備えて目立たぬように売り抜けにくい長期国債をへらして短期国債に切り替えていたのだ。財務報告書のうえでは国債所有額は変化がないのでお上に楯突いてはいないように見える。ところが黒田日銀新総裁が長期国債を多量に購入すると宣言したため堂々と日銀に長期国債を売却して手放すことができる。かくして日銀が購入する以上に国債が市中に出回り国債価格が下がり長期金利は上がるわけだ。
リフレ派の人は国債が日本国内で所有されているから投機的な投げ売りはないから安全と言っていたが、政府に従順な国内金融機関に国債を手放させているから、内部から防御壁を崩しているようなものだ。X-dayはいつか分かった時がX-dayって誰かが言ってたね。