セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

クール・ジャパンとクールなソロス

2013-06-24 22:56:18 | 社会経済

今日は映画を見てきた。イ・ビョンホンも出演するアメリカのアクション映画『G.I.ジョーバック2リベンジ』だ。と言っても『G.I.ジョーバック2リベンジ』を書きたいわけではない。スクリーンを見て感じたアメリカ映画における日本文化の影響だ。

まず『パシフィック・リム』という近日中に上映する映画の予告編を見た。海中から巨大怪獣が現れてサンフランシスコをメチャクチにするが通常兵器では対処できない。そこで人類の最後の希望として人型巨大ロボットが投入される。それは2人の人間が意識をシンクロさせて操縦するとだ。あれ?これって『ゴジラ』と『新世紀エヴァンゲリオン』のパクリじゃないの。次に本編の『G.I.ジョー』を見ると、背中に刀を背負った忍者スタイルの人間がチャンバラをやるのはアメリカ映画だけでなく中国映画や韓国映画にもよく見られるが、『G.I.ジョー』にはその他に日本の戦隊物のヘルメットとコスチュームにそっくりの戦闘員が敵味方にも何人も出てくる。じつはアメリカでは日本のテレビ映画の『ゴレンジャー』がドラマ部分はアメリカの俳優が演じた部分と差し替えて放送されていたのだ。このため変身して戦闘場面になると全員短足になるとか。

アメリカが元なら権利問題で訴訟になりかねない。でも日本は鷹揚だからそんなことにはならないかも。むかし『ライオン・キング』と『ジャングル大帝』の類似性が指摘されたけど手塚プロダクションはディズニーに模倣されたのなら光栄ですと訴訟する気はさらさら見せなかった。

でも訴訟しようにも戦隊物のコスチュームは日本ではご当地キャラクターはじめいっぱいあるからそれらから訴訟しないとつじつまが合わない。ここはクール・ジャパンがハリウッド映画に影響を与えているということで満足しなければならない。

さて年末まで書かないと思ったアベノミクスの評価だがほぼ予想どおり進んでいるね。予想がチョつと外れたのは6カ月後に流れが変わるという歴史法則(?)を述べたにもかかわらず参議院選挙後の7月に大きく落ちこむと予想したことだ。でも株価については安部政権からきっかり6カ月後の5月23日に暴落したね。これで流れが変わったと多くの人が気づいたはずだ。最近の世論調査ではアベノミクス効果は「続かない」と思っている人が43%で「続く」と思っている人の36%を上まわっている。

僕は参議院選挙までは政府が選挙対策で財政出動するから株価と景気は持つという俗論に引きずられ6カ月で反転という歴史の峻厳な法則を軽んじてしまった。恥じ入るしだいだ。でもこれまでの経過を見ると、株価も為替も海外の状況にもっぱら影響されて動くということがはっきりしているね。円高も不況も日銀が通過供給量を増やせば自由に操作できるといっていたおまじない経済学とも言うべきリフレ理論は何の役にも立たないわけだ。

でも7月の予言物語のシナリオはまだ有効だよ。5月23日が単なる小さな前触れに見えることが起こるかも。

リフレ派は株価の下落は早過ぎ株価上昇の「調整」だという。でも「三歩すすんで二歩下がる」なら差し引き一歩進んでいるから「調整」でもいいけど、黒田日銀新総裁が異次元の金融緩和政策をはじめた時点に戻っている。つまり「三歩すすんで三歩さがる」ことでもとに戻るのを「調整」と言うのかな。

今年の3月号の雑誌で投資家のジム・ロジャーズが日本の金融緩和には反対だけど金融緩和すれば株価が上がるから日本株を買うと言っていた。僕はその時「いつ売るかに興味があるな」(2013ー02ー16)と書いた。実際ロジャーズは5月6日に日本株をすべて売った。それから少しして5月23日に暴落は起こった。またやはり2月ごろテレビ番組でアベノミクス支持者の評論家がソロスの側近からソロスが日本株を多量に買っていると聞いたと喜んでいた。僕はそれが喜ぶことかとあきれてしまった。もちろんソロスも暴落前に日本株をすべて売り大儲けしている。

ロジャーズとソロスは以前にコンビを組んでいた。だから同じ思考方法だと思う。その考えは「市場は必ず間違う。間違った考えに支配されるからだ。しかもその間違った考えは運動量を持ちとことん突き進む。だが必ず現実に引き戻される時がくる。そこに儲けの元がある」と言うもの。ロジャーズは人がいいから商売では日本株を買うけど金融緩和は日本にはよくないと正直に言う。ソロスは間違うのはその人の個人責任だし正しいことを忠告してもどうせ聞かないのだからと間違うことを助長するようなことを言いより大きい儲けを図る。そのため英国銀行を騙して記録的な大儲けをしたと非難された。

ところでリフレ政策は現実と無関係のおまじないだけど、伝統的な考えからしても逆に動いていることがある。黒田日銀が長期国債を多量に購入したから普通なら長期金利が下がるはずなのだが逆に長期金利が上がったのだ。つまり意図と結果が無関係どころか全く反対になったのだ。

長期金利は長期国債の金利で決まる。長期国債の金利は市場での長期国債の値段なのだが長期金利が低いほうが値段の高いことになる。例えば10年後に1万円が国から返される国債があるとする。確か国債は毎年支払われる利子のクーポンみたいな物が付いていたような気がするが簡単にするため省略する。10年後の1万円のために今の1万円を払うのでは意味がない。だから例えば9000円で取引されているとする。1万円から9000円を引いた1000円が利子で1000円割る9000円が10年間の利子率だ。1000÷9000だと0.11つまり11%が10年間の利子率。1年にするといくらになるか面倒臭くて計算しない。国債の人気が高いと高く取引される。たとえば9500円になる。500円が利子になり500÷9500の5.2%が10年間利子率となる。つまり国債を大量に購入すれば国債の値段が上がり長期金利は低くなるはずだ。

ところが黒田日銀が多量に国債を購入したのに長期金利は上がったのだ。普通はあり得ないことだ。上がった国債の長期金利を下げるには一層の国債購入と行きたいが国債購入したための金利上昇の可能性があるのでそれは躊躇せざるを得ない。まあ兵力の逐次投入はしないと言って最大限購入したはずだから、さらに購入額を増やすと結局逐次投入しているように見えるものね。

国債の購入と言っても政府が発行したものを直接日銀が買うのではない。市中の金融機関が持っているものを購入するのだ。こうすれば長期金利を下げるとともに金融機関に購入代金の貨幣が多量に流入するからね。これで質的(利子率)にも量的(お金ジャブジャブ)にも金融緩和なる。そんな面倒なことをしなくても政府から日銀が直接購入すればと言う意見もあるが、日銀が政府から購入すると日本国債は危ないから金融機関が買わなくなったから日銀が買うしかないとの憶測を生むから禁じ手だ。

では日銀が多量に購入したのになぜ国債価格がさがり長期金利が上がったのか。実は日本のメガバンクは国家破産(X-day)による国債大暴落に備えて目立たぬように売り抜けにくい長期国債をへらして短期国債に切り替えていたのだ。財務報告書のうえでは国債所有額は変化がないのでお上に楯突いてはいないように見える。ところが黒田日銀新総裁が長期国債を多量に購入すると宣言したため堂々と日銀に長期国債を売却して手放すことができる。かくして日銀が購入する以上に国債が市中に出回り国債価格が下がり長期金利は上がるわけだ。

リフレ派の人は国債が日本国内で所有されているから投機的な投げ売りはないから安全と言っていたが、政府に従順な国内金融機関に国債を手放させているから、内部から防御壁を崩しているようなものだ。X-dayはいつか分かった時がX-dayって誰かが言ってたね。


名古屋市嘱託職員不正採用問題の報告書

2013-06-20 23:13:42 | 名古屋

しばらく書いていなかったので努力して書いてみよう。書いてなかったのは書きたいテーマがなかったからではない。数週間前に映画の『県庁おもてなし課』を見た時これについて思いついたことを書きたくなった。だが映画ではよくわからないこの物語の世界の背景を原作小説を読んで知ってから書こうと思ってすぐ書けなかった。でもそれだけが原因でなかなか書けなかったのではない。実は家にいる時はいつも見ているテレビの時間以外は本をスキャナーにかけるのに忙殺されている。将来的には謀反、ちがった、無本の家を目指しているのだがなかなか終点が見えてこない。本の解体とスキャナーがけばかりやっていると本を読む時間がほとんどないまま死んで行くのではという恐怖もある。でもたとえ一万冊あったとしても一日30冊処理すれば一年つまり365日で終わるはずだと思うと途中でやめられないのだ。

それで長い間の空白ができた。そこで今日はスキャナーを休み休みして書いてみよう。といっても『県庁おもてなし課』についてではない。旬な話題は気付いた時に書かないと書き時を失うから、インターネットで見かけた名古屋市の「嘱託員不正採用問題にかかる中間報告書」を読んだ感想だよ。

http://nagoya.ombudsman.jp/data/130403nagoya.pdf

この「嘱託員不正採用問題」というのは名古屋市役所の健康福祉局が国民健康保険料滞納整理嘱託員を採用するにあたって採用選考試験を行ったが、市議会議員から圧力を受けた市職員が特定の受験者の答案用紙を改ざんして不正に採用としたもの。のちに「市長ホットライン」への匿名電話により判明したもの。名古屋市は関係した3人の職員を刑事告発したが不起訴(起訴猶予)となった。しかし名古屋市の処分は2名が懲戒免職で1名が停職6カ月となった。

この専門調査委員(弁護士)の中間報告書は僕が見たのは今日だけど、文書自体の日付は「4月3日」となっている。関係職員の処分は最近だからこの中間報告書が処分の判定に使われたのは明らかだ。

さて気がついたことを書いてゆこう。刑事告発された市職員は3名だがなお数名の市職員が関係者として中間報告書にでてくる。停職処分となった丙(文書上の仮名)の職務上の後任者の丁もその一人だ。採用選考試験は主査が担当らしい。主査というのは係長級の役職だがラインではなくスタッフだ。一般に主査から係長にキャリアが進むと思われている。22年3月時点での主査丙は上司の保険年金課長(乙)から不正を指示されているが4月1日の異動で同じ課内の保険料係長になった。そうすると4月24日に行われる採用選考試験の担当者は新任の主査丁となる。丁は丙から議員案件として付箋の付いた二通の募集申込書を渡されたが、課長の乙のところまで行き「議員要請には応じない」「試験は公正にやる必要がある」と言った。乙が「局長から言われている」と言ったところ、丁は「私が局長に言います」といったので、乙は「それには及ばない」と止めた。丁はこの案件はこれで解決したと思った。かくして再び丙にお鉢が回ってきて丙は試験日の昼休み中に会場にもぐりこんで答案用氏を改ざんすることになる。

丁は立派だ、丙はバカだという意見に僕も100%同意する。しかし僕が気にかかるのは丙の対応の仕方だ。誰しも不正なヤバイことはしたくない。だから丙も当然に最初は断った。でもその断り方が悪かったので付け込まれたのだ。丙は乙から最初に頼まれた時「他の人に頼んだらどうか」と言った。これがよくない。本当は「不正なことだから出来ない」と言うべきだった。こう言うと乙は話を続けられなかったはずだ。(自分でなく)「他の人」ならいいようなことを言うから、「他の人に頼めないからお前に話している」とつけ込まれるのだ。『八重の桜』ではないが「ならぬことはならぬのです」と突っぱねるのが正しい。

オット、でも凡庸な公務員がよく言う「規則ですからできません」とは違うぞ。「規則ですからできません」の多くは能力不足かめんどくさいからやりたくないということが多い。

あ、そうそう乙課長は丁に「局長から言われている」と言ったね。局長が知っていたかどうか疑念があるが、経過からして局長が直接乙と話した場面がないし話す必要があったと思えない。だから局長云々は乙の作り話しだと思う。僕は以前(2012-12-22)に部長は懲戒免職で課長と係長は停職と予言したが、課長が懲戒免職になったのは局長の名前を出して嘘を言ったことも関係しているかもしれない。

ちなみに係長丙は実行犯なのに停職6カ月なのはやはり通報者なのだろう。しかし停職6カ月というのは停職の最大ではないのかな。停職は3カ月がよく聞くが、停職1年は聞いたことがないからないのだろう。しかし停職中は給料がでないから貯金が相当なければ生活できないぞ。若い人なら海外へ放浪旅行してきますもいいが。50を過ぎていてはね。あ!そうだ停職中に四国四十八箇所巡礼したらよい。そうすれば市長や人事当局の受けがよくなるかも。

えーっと、あと一人の当事者の生活福祉部長の甲だけど、議員から話しを持ち込まれた段階でキッパリ断らなければならないので一番罪が思いと思う。でもここでの考察は最初の議員とのやりとり内容。議員が「局長に言えば良いのか」といったところ、「自分の『部』内で処理しなければいけないと考えた。」と報告書に書いてある。これはどういうことだろう。一般に公務員は上司をよべとか言われても「どうぞどうぞ」というところ。あまり上の方を呼べと言われても困るけど一階級や二階級上ならよい。生活福祉部長から局長は一階級か二階級だけ上だもの。僕なら「どうぞ局長とお話ください。でも結論はかわりませんので、あまり大ごとにすると議員自身のお立場によくないと思います」と言うね。

この場合の甲の問題は、局長とあまり関係がよくないので、局長のところまでいかれると、あとで局長から「なんで自分のところで処理しなくて厄介な問題を俺のところまで持ち込むのか」とお目玉を喰らうと思ったのだろう。まあ「厄介なことは自分のところまで持ってきなさい」なんていう役職者はあまりいないけどね。