無職の生活にリズムがあるとしたらそれはテレビの帯ドラマによる。メロドラマは趣味ではないので、結果として韓流の歴史ドラマが多くなる。
月曜から金曜の午前10時から11時までは、『風の絵師』だ。舞台は18世紀の朝鮮王朝で王様が正祖の時代。主人公は師匠と弟子の2人の絵師だ。2人とも歴史上に有名な絵師だが、弟子の方の経歴が謎に包まれているので、このドラマでは男装している女性という設定。でも今日までの展開では師匠はそのことを知らない。2人とも宮廷おかかえの絵師で朝廷内の陰謀に巻き込まれてドラマは進展する。まあようするに料理と医術の『宮廷女官チャングムの誓い』の絵画版というところ。絵画も画面によく出てくるが映画自体の風景も美しい。でも何よりもドラマ自体が面白い。
ところで正祖といえば、NHKのBS2で日曜午後9時に放送している『イ・サン』の主人公だね。イ・サンは正祖の本名。『イ・サン』の方ではまだ王様になっていなくて王世孫で王様の英祖(祖父)の後を継いで王様になることが予定されているが、宮廷内では彼を陥れようとする勢力が陰謀をめぐらしてイ・サンは危機に陥っている。これは官僚の派閥争いに深い根思っている。『張禧嬪(チャンヒビン)』の時に西人派と南人派という派閥があったね。その時には西人派もすでに老論派と少論派に分かれていた。『張禧嬪』の時代の王様は粛宗、その次の王様は景宗だがその母親は張禧嬪だから南人派の王様といえるかも知れない。でもすぐに死んでしまい、次の王様が景宗の異母弟の英祖だ。英祖の母親は低い身分のものだが、『張禧嬪』では老論派の支持する王妃に強い忠誠心を持っていたので、老論派の王様ともみえる。当初は少論派を追放して老論派を支持したが、やがて派閥を均衡させて王権を強化しようとしてきた。荘献世子は英祖の子で世継ぎなのだが、老論派と貞純王后(英祖の若い後妻)の陰謀により、謀反の疑いで英祖により殺された。『イ・サン』ではイ・サンが王位についたなら父の敵討ちで老論派が粛清されるのではと老論派の官僚と貞純王后がさまざまな陰謀を行っている。
話は『風の絵師』に戻るが、正祖は王様になっていて、なんとか父の荘献世子の冤罪をはらし、また老論派に復讐しようと考えている。まだこの時点では領義政(首相みたいなもの)は貞純王后の小父で老論派だ。ドラマの時々に正祖と貞純王后が茶飲み話をしたり将棋をしたりする場面が出てくるが、腹の中では二人とも相手を敵だと思っている。正祖が貞純王后を「おばあさま」と呼ぶのでアレと思った。だって貞純王后って正祖といくつも違わない若さに見えてかなり色っぽいもの。実は貞純王后は英祖の後妻なのだが、英祖とは歴代一番の年の差婚なのだ。王様がお后を亡くして新しいお后を迎えるとどうしても年の差婚になる。だって王様は歳をとってもお后になる人の適齢期があるもの。『王の女』というドラマで宣祖という王様が後妻のお后を迎えることとなった。それは側室の子の光海君を王様にしたくない勢力が勧めたもの。正室の産んだ男子が優先的に世継ぎになるのは決まりだから。前のお后には子供がなかった。臣下が宣祖に言う「お后候補が見つかりました。家柄容姿才能とも申し分ありません。ただ本人が婿を選びすぎているうちに歳をとってしまいました。」宣祖は「歳をとっているのか」と当惑気味。臣下は「19歳になっています」という。宣祖は急にあわてて「構わん。わしは構わんぞ。それでよい」といった。そのとき宣祖は50を超えていた。それでも英祖と貞純王后の歳の差(66歳と15歳)にはかなわない。そんなわけで正祖にとって貞純王后は祖父の妻なのだから義理の祖母になるわけだ。
毎日の韓流歴史ドラマでは、あとは午後3時からの『淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)』(BS朝日)、午後4時からは『大王世宗』(BS日テレ)。『淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)』は高句麗後期の隋や唐との戦争の英雄物語。『大王世宗』は李朝3代目の王様の物語。今日の時点では単なる王子で王世子は兄だが、人民や臣下たちの期待が集まってきている。
週間では、イルジメという怪盗ものが2つある。月曜日は午後9時に『美賊イルジメ伝』(BS日テレ)、火曜日は午後8時に『イルジメ』(BSジャパン)。どちらも歴史上(伝説上?)のイルジメ(一枝梅)という盗賊が主人公だが生い立ち等の設定は異なっている。ただどちらも貴種流転という感じはする。ただ『美賊』の方は母が下女なので朝鮮での基準は貴種にはならない。父が両班でも側室の子は科挙を受けれないし、女子はキーセンか側室になるしかないのだって(『女人天下』によると)。さてこの両イルジメにはそれぞれ別角度からだが政治的な背景がある。水曜日は午後7時から『必殺!最強チル』(BS朝日)で午後9時からは『女人天下』だ。『必殺!最強チル』は日本の「必殺シリーズ」の翻案ということだが、庶民の恨みを晴らすなんて話は2・3回ぐらいで、あとは全くの政治劇だ。『女人天下』(三重テレビ)も中宗の時代、つまりあの『チャングム』と同じ時代の、これも政治劇だ。『チャングム』では名前だけしか出てこなかったチョ・ガンジョという急進的儒教原理主義者の政治家がわき役だけど出てきている。金曜日は午後9時から『龍の涙』(BS日テレ)だ。これは李朝成立期の政治ドラマだ。
こやってみると、韓流ドラマの李朝時代が舞台のものはすべて政治ドラマになってしまうような気がする。高句麗を舞台のドラマも戦争や英雄ものだが、その地域の多くは現在中国領なのでこれまた別の意味での政治劇といえる。ちなみに李氏朝鮮のドラマでも遼東半島(現中国領)への出兵が政争の軸になって何度もでてきているようだ。
月曜から金曜の午前10時から11時までは、『風の絵師』だ。舞台は18世紀の朝鮮王朝で王様が正祖の時代。主人公は師匠と弟子の2人の絵師だ。2人とも歴史上に有名な絵師だが、弟子の方の経歴が謎に包まれているので、このドラマでは男装している女性という設定。でも今日までの展開では師匠はそのことを知らない。2人とも宮廷おかかえの絵師で朝廷内の陰謀に巻き込まれてドラマは進展する。まあようするに料理と医術の『宮廷女官チャングムの誓い』の絵画版というところ。絵画も画面によく出てくるが映画自体の風景も美しい。でも何よりもドラマ自体が面白い。
ところで正祖といえば、NHKのBS2で日曜午後9時に放送している『イ・サン』の主人公だね。イ・サンは正祖の本名。『イ・サン』の方ではまだ王様になっていなくて王世孫で王様の英祖(祖父)の後を継いで王様になることが予定されているが、宮廷内では彼を陥れようとする勢力が陰謀をめぐらしてイ・サンは危機に陥っている。これは官僚の派閥争いに深い根思っている。『張禧嬪(チャンヒビン)』の時に西人派と南人派という派閥があったね。その時には西人派もすでに老論派と少論派に分かれていた。『張禧嬪』の時代の王様は粛宗、その次の王様は景宗だがその母親は張禧嬪だから南人派の王様といえるかも知れない。でもすぐに死んでしまい、次の王様が景宗の異母弟の英祖だ。英祖の母親は低い身分のものだが、『張禧嬪』では老論派の支持する王妃に強い忠誠心を持っていたので、老論派の王様ともみえる。当初は少論派を追放して老論派を支持したが、やがて派閥を均衡させて王権を強化しようとしてきた。荘献世子は英祖の子で世継ぎなのだが、老論派と貞純王后(英祖の若い後妻)の陰謀により、謀反の疑いで英祖により殺された。『イ・サン』ではイ・サンが王位についたなら父の敵討ちで老論派が粛清されるのではと老論派の官僚と貞純王后がさまざまな陰謀を行っている。
話は『風の絵師』に戻るが、正祖は王様になっていて、なんとか父の荘献世子の冤罪をはらし、また老論派に復讐しようと考えている。まだこの時点では領義政(首相みたいなもの)は貞純王后の小父で老論派だ。ドラマの時々に正祖と貞純王后が茶飲み話をしたり将棋をしたりする場面が出てくるが、腹の中では二人とも相手を敵だと思っている。正祖が貞純王后を「おばあさま」と呼ぶのでアレと思った。だって貞純王后って正祖といくつも違わない若さに見えてかなり色っぽいもの。実は貞純王后は英祖の後妻なのだが、英祖とは歴代一番の年の差婚なのだ。王様がお后を亡くして新しいお后を迎えるとどうしても年の差婚になる。だって王様は歳をとってもお后になる人の適齢期があるもの。『王の女』というドラマで宣祖という王様が後妻のお后を迎えることとなった。それは側室の子の光海君を王様にしたくない勢力が勧めたもの。正室の産んだ男子が優先的に世継ぎになるのは決まりだから。前のお后には子供がなかった。臣下が宣祖に言う「お后候補が見つかりました。家柄容姿才能とも申し分ありません。ただ本人が婿を選びすぎているうちに歳をとってしまいました。」宣祖は「歳をとっているのか」と当惑気味。臣下は「19歳になっています」という。宣祖は急にあわてて「構わん。わしは構わんぞ。それでよい」といった。そのとき宣祖は50を超えていた。それでも英祖と貞純王后の歳の差(66歳と15歳)にはかなわない。そんなわけで正祖にとって貞純王后は祖父の妻なのだから義理の祖母になるわけだ。
毎日の韓流歴史ドラマでは、あとは午後3時からの『淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)』(BS朝日)、午後4時からは『大王世宗』(BS日テレ)。『淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)』は高句麗後期の隋や唐との戦争の英雄物語。『大王世宗』は李朝3代目の王様の物語。今日の時点では単なる王子で王世子は兄だが、人民や臣下たちの期待が集まってきている。
週間では、イルジメという怪盗ものが2つある。月曜日は午後9時に『美賊イルジメ伝』(BS日テレ)、火曜日は午後8時に『イルジメ』(BSジャパン)。どちらも歴史上(伝説上?)のイルジメ(一枝梅)という盗賊が主人公だが生い立ち等の設定は異なっている。ただどちらも貴種流転という感じはする。ただ『美賊』の方は母が下女なので朝鮮での基準は貴種にはならない。父が両班でも側室の子は科挙を受けれないし、女子はキーセンか側室になるしかないのだって(『女人天下』によると)。さてこの両イルジメにはそれぞれ別角度からだが政治的な背景がある。水曜日は午後7時から『必殺!最強チル』(BS朝日)で午後9時からは『女人天下』だ。『必殺!最強チル』は日本の「必殺シリーズ」の翻案ということだが、庶民の恨みを晴らすなんて話は2・3回ぐらいで、あとは全くの政治劇だ。『女人天下』(三重テレビ)も中宗の時代、つまりあの『チャングム』と同じ時代の、これも政治劇だ。『チャングム』では名前だけしか出てこなかったチョ・ガンジョという急進的儒教原理主義者の政治家がわき役だけど出てきている。金曜日は午後9時から『龍の涙』(BS日テレ)だ。これは李朝成立期の政治ドラマだ。
こやってみると、韓流ドラマの李朝時代が舞台のものはすべて政治ドラマになってしまうような気がする。高句麗を舞台のドラマも戦争や英雄ものだが、その地域の多くは現在中国領なのでこれまた別の意味での政治劇といえる。ちなみに李氏朝鮮のドラマでも遼東半島(現中国領)への出兵が政争の軸になって何度もでてきているようだ。