1月27日(金)の日本経済新聞の朝刊の1面の大見出しは「投信 配当しすぎ歯止め」で小見出しで「過度な運用リスク制限『法改正検討』」と「毎月分配型 運用益に限定」とあった。要するに金融庁は投資信託の「配当のし過ぎに歯止めをかけ、個人投資家が安心して商品購入できる環境を整える」をことを目的に2013年の通常国会の投資信託法改正を目指すとのことだ。
僕の現在の生活の糧たる収入は共済年金と投資信託の配当が主でそれに株の配当がちょっと。退職金はもう無い。結果として退職金の特例加算も年金の増額も再雇用も拒否した僕が脱藩して悠々自適でいられるのは投資信託の配当があるからだ。でも計算したわけでも一時の感情の高まりで辞めたわけでもない。よいと思う道をたんたんと選んだだけた。でも気がつけば高配当の投資信託があるから不自由なく生活していける。昔の職場の友人が年賀状や麻雀仲間の人づてに、自分も辞めたいが生活出来なくなるが僕がどうして悠々自適な風なのか不思議だということを伝えてきた。「恒産なければ恒心なし(存在が意識を規定する)」という考えがあるがこれも洗脳論語(苫米地英人『洗脳論語』三才ブックス)かな。恒心あれば恒産もついてくる気がする。
そんなわけでこの記事は興味をひいた。毎月分配の投資信託の配当の原資は①株や債券などの配当・金利収入、②株や債券などの値上がり益、③投資家の元本、の三種類である。①と②は普通分配金で当然所得だから源泉税をひかれる。③は特別分配金で資産の取り崩しだから源泉税はない。だから特別分配金つまり損している月の分配金は受け取り額が多くなるという逆転現象がおきる。ちなみに僕が明後日31日に受け取るのは特別分配金だ。
記事によると、日本では①②③とも可能だが、米国では③はダメ。英国・フランスは②③がダメ。日本でもトラブルが増える傾向があるため③を禁止しようというわけだ。でも毎月分配の投資信託を持っている高齢者のなかには、分配金の元本を取り崩していることを知らない人もいるだろうが、知っていて年金の不足を補う意味で定額の分配金を望む人も多いと思う。元本は相続人のものだからあまり気にしないとしてだけど。
同じ新聞の7面の解説記事で分かったことがある。よく「通貨選択型」という言葉を聞くがよくわからなかった。「・・ブラジルレアルなどの高金利通貨の金利収入や為替差益も、上乗せする・・」なるほどこういうものか。
さてこの記事の内容から金融庁は野放しの強欲資本主義を規制しようとしているようにみえる。これなら規律ある資本主義論の共産党から主流派経済学者まで大歓迎だろう。でも僕には官製カルテルだと思えてならない。つまり投資信託では月分配ができないと顧客が他に逃げるから特別分配金をやめられない。だから元本の維持のため特別分配金をしない方がいい場合もあるが自社単独では無理だ。そのため金融庁を介してカルテルを結ぶことになったと思う。だがタイミングが必要だ。基準価格や純資産総額が減少する中で規制をぶち上げると危機感をあおり投資信託市場から資金が急速に流出するかもしれない。でも今なら良いと判断されたからだ。大和投資信託のブラジル・ボンド・オープンの例でいうと、ギリシャ危機の影響でブラジルはじめ世界の株価か下落していたが最近株価が再びあがっている。このため11月に最低となった基準価格が年末から上がりはじめている。だからいまがこの官製カルテルの打ち上げのチャンスということになる。
法律の改正が2013年通常国会ではのんびりすぎるという意見もでてくるかもしれない。でも官製カルテルは法律ではなく役所が発した時に成立する。いいかい官製カルテルは役所が国民のために作るのではなくて、企業が自分の利益のために役所の手を借りることだ。だから役所の意向を理由にぼちぼち特別分配金をしない投資信託もでてくるだろう。でも今は世界的に株があがっているから、1月31日は特別分配金だが2月分は普通分配金になるだろう。そうかな?そうならいいな。
本当は投資信託側が自己の判断で配当方法を決め、顧客も自己の判断で投資信託を選ぶのがいいのだ。機械的に横並びで特別分配金を廃止するのではなくて、中長期で業績の回復が望めるなら短期的には元本割れでも特別分配金を出す投資信託があってもいいと思う。だって月々安定した収入が必要な人もいるもの。でも金融機関も国民も隣り百姓(隣りを見ながら農作業の時期をきめる)だからなあ。